Qualcomm Snapdragon 710のベンチマーク結果が判明。Snapdragon 660からGPU性能が大幅アップ

Qualcomm Snapdragon 710のベンチマーク結果が判明。Snapdragon 660からGPU性能が大幅アップ

2018年6月1日
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5月24日に発表された「Qualcomm Snapdragon 710 Mobile Platform」を搭載したXiaomi Mi 8 SEのベンチマーク結果が公開されました。

Qualcommは今のスマートフォン市場は完全なスペックを誇るSnapdragon 845を選択するか、Snapdragon 600シリーズのようなミドルレンジモデルを充分に活用するしか無いのでその間となるQualcomm Snapdragon 700シリーズを開発したようです。

 

AnTuTuベンチマーク Ver.7で計測されたスコアは、総合性能が169,889点、CPU性能が69,291点、GPU性能が47,685点、UX性能が44,681点、MEM性能が8,232点という結果です。従来機となるSnapdragon 660が約14万点なので約1.2倍、つまり20%の性能向上が出来ており、Qualcommが発表した通りのスコアとなっています。

今回、このスコアをSnapdragon 660とMediaTek Helio P60を比較したいと思います。あくまでもベンチマークスコアで比較をしますので、実際の動作などは考慮していません。Snapdragon 710搭載機はXiaomi Mi 8 SE、Snapdragon 660搭載機はOPPO R15 夢鏡版、Helio P60搭載機はOPPO R15です。

 

スペック

スペック表は上図の通りです。製造プロセスはSnapdragon 710が10nm FinFETで一番小さく、CPUはSnapdragon 710のみ2+6のオクタコア構成、GPUはSnapdragon 845に採用されているAdreno 6xxシリーズを採用しています。

Snapdragon 845のCPU構成はA75x4 + A55x4なので、上手に差別化が図れていると思います。

 

総合性能

Snaodragon 710がSnapdragon 660を約23,000点上回りました。CPU性能はどれも横ばいですが、GPU性能で大きな差が生まれていると図からわかります。

ちなみにXiaomiは17,4000点出たと言っていましたが、発表会で言われるスコアは何回も計測された中の最高値を公表するのでスコアとしては今回の約17万点が標準的な点数になりそうです。

 

CPU性能

CPU性能はSnapdragon 660から3,000点の差をつける結果になりました。大きな要因として製造プロセスのアップグレード、bigコアに高性能なA75を採用したことが挙げられます。

ちなみにSnapdragon 845は約9万点、Snapdragon 835は約73,000点となっています。つまり、AnTuTUベンチマークにおけるSnapdragon 710はSnapdragon 835に迫るCPU性能を持っていることになります。

 

GPU性能

GPU性能はSnapdragon 660から1.5倍の性能向上が出来ています。今回Snapdragon 710がSnapdragon 660から何が進化しているのが大きいかというのは、このGPU性能です。昨今のスマートフォン市場ではどれだけゲームが快適に行えるか、というところに比重が置かれているのでGPUの大幅進化は多くの人が願っていることです。Qualcommは消費者の期待に応えています。

ちなみにSnapdragon 845は約11万点、Snapdragon 835が約84,000点、Snapdragon 821が約68,000点となっており、GPU性能がフラッグシップレベルになるにはもう少し時間がかかりそうです。

 

UX性能

この数値が高いと快適性が高いということになります。今の所快適に利用できる(文句の出ない)数値は4万点以上が目安になっていますので、Snapdragon 710は満足の行く動作が期待できそうです。

ちなみにSnapdragon 845は約59,000点、Snapdragon 835は約44,000点となっています。快適性ではSnapdragon 710はSnapdragon 835レベルということになります。

 

MEM性能

MEM性能はRAMと内蔵ストレージ読み書きの速さを計測し、この数値が高いとCPU性能も高くなります。Xiaomi製スマートフォンは代々MEM性能が低くなる傾向にありますので、好調時でも9,000点を下回るレベルになると思います。

HUAWEIスマートフォンに独占提供されているHiSilicon Kirinはこの数値が高くなる傾向があり、Kirin 970は約13,500点、Kirin 960は約11,000点となっています。こういう細かいところでベンチマークスコアランキングが上下しますので、高いに越したことはありません。

 

Geekbench

シングルコア性能は約1.16倍、マルチコア性能は約1.01倍の性能向上が出来ています。シングルコア性能では2.2GHzのA75コアが採用されているので大幅に数値が伸びたと考えられます。マルチコア性能はA75を採用していますが、A55コアが6コアありますので落ち着いたスコアになったのでしょう。一応マルチコア性能は6,000点を超えている時もありますので(Xiaomi Mi 8 SEと表記されていないため非採用)、どちらも進化が出来ています。

 

総括

AnTuTuベンチマークではSnapdragon 710はCPU性能はSnapdragon 835レベル、GPU性能はSAMSUNG Exynos 8 Octa 8890レベル、UX性能はSnapdragon 835レベル、MEM性能はSnapdragon 821レベルということになります。一方でGeekbenchではSnapdragon 835はシングルコア性能が約2,000点、マルチコア性能が約6,800点なので大きな差があります。なぜこのような差が生まれるのかというとGeekbenchではL1キャッシュなどを考慮する為です。フラッグシップモデル向けSoCはキャッシュが大きい傾向にあるのでSnapdragon 835の方が上回ります。

 

Snapdragon 710はSnapdragon 660から大幅な進化を見せており、ミドルレンジ市場はこのSoCが支配すると見て間違いないでしょう。GPU性能はフラッグシップモデルに劣りますが、ミドルレンジレベルでは最高位に高いので他者に差をつけることは可能でしょう。余程ヘビーなゲームをしない限りはSnapdragon 710搭載機を買ったほうが値段を考えても満足できると思います。

 

ちなみにOPPO R15のコストパフォーマンス比(スコア÷価格)は46点、OPPO R15 夢鏡版は44点、Xiaomi Mi 8 SEは94点なのでかなりコスパが高いことになります。2018年4月におけるAnTuTuベンチマークでのコスパランキングではSAMSUNG Exynos 5 Series 7872を搭載したMeizu S6/M6sと同率5位になります。Lenovo ZUK Z2やZTE Axon 7に次ぐコスパが代名詞になるスマートフォンになりそうです。

 

 

参考

Source