MediaTek Helio P60とQualcomm Snapdragon 660を比較

MediaTekが方針転換をした後の第一弾のSoCとなるMediaTek Helio P60(MT6771)を登載したOPPO R15が発表されたのでAnTuTuベンチマークやGeekbenchでの計測結果が出回るようになりました。今回、Helio P60の仮想敵且つOPPO R15の上位版として設定されているOPPO R15 夢鏡版に搭載されているQualcomm Snapdragon 660(SDM660)と比較をしたいと思います。

比較対象はHelio P60とSnapdragon 660に加え、Helio X30(Meizu PRO 7 Plus)、Helio P20(Meizu M2 E)、Snapdragon 636(Meizu E3)、Snapdragon 625(Meizu M6 Note)となっています。Helio P60とSnapdragon 660はこちらの記事のデータを拝借し、Helio X30は2018年2月現在のAnTuTuベンチマークスコアランキングに載っているスコア、他のSoCは実機での計測を採用しています。

 

スペック

基本的に製造プロセスは省電力性や高性能化に期待できるので小さい方が良く、Helio P60とSnapdragon 660では前者のほうが優れていることになります。CPUは同じマイクロプロセッサを採用していますがクロック数が異なっており、bigコアではSnapdragon 660の方が高くLITTLEコアではHelio P60の方が高いです。Helio P60のGPUにはSAMSUNG Exynos 9 Series(9810)にも採用されたARM Mali-G72を3コア(MP3)搭載しています。流石に3コアというのは中途半端で4コアや8コア搭載して欲しかったという声があります。

 

総合性能

総合性能ではSnapdragon 660がHelio P60を下す結果になりました。このグラフで判断するとCPU性能の差が大きいように見えます。とは言え今までのMediaTekはQualcommの2世代前のSoCといい勝負をしていたので、今回のように1世代前といい勝負しているというのは方針転換してよかったのではないでしょうか。

 

CPU性能

Snapdragon 660がHelio P60に3,000点以上の差をつける結果になりました。製造プロセスはHelio P60の方が優れている、クロック数の平均は同じなのに負けてしまった要因としてはQualcommによるセミカスタムの技術力が高かったというのが挙げられます。Qualcomm KryoはARMが開発したマイクロプロセッサをセミカスタムしたものの名称で、Snapdragon 660もQualcomm Kryoが搭載されています。一方でMediaTekはチューニングはしているもののARMが開発したものをそのまま利用しているので差が生まれたのだと考えられます。

AnTuTuベンチマークではMEM性能を計測しており、その数値が高いほどCPU性能が高くなる傾向にあります。MEM性能については後述します。

 

GPU性能

今回の計測ではSnapdragon 660が僅かながら優勢に立ちました。ただ、差が1,000点以内に収まっているので一概にSnapdragon 660が優れているとは言えません。ゲームをする際にはMediaTek製SoCだからカクつく、フリーズするということにはならずカクついた場合には単にGPUのパフォーマンスが低いことが原因になります。

 

UX性能

この数値が高いと快適性が高いということになります。つまり、よりストレスの溜まらない動作をする方はSnapdragon 660ということになります。今の所快適に利用できる(文句の出ない)数値は4万点以上が目安になっていますので、Sapdragon 660は特に問題ありませんが、Helio P60ではどこか不便さを感じることがあるかもしれません。

ただ、Helio P60はHelio X30よりも快適性が高いということになり、2017年のフラッグシップSoCが2018年のミドルレンジSoCに負けているというどれだけHelio X30が優れていないのか表れています。この状態なら開発を一時停止したのは正解と言えるでしょう。

 

MEM性能

MEM性能はRAMと内蔵ストレージ読み書きの速さを計測し、この数値が高いとCPU性能も高くなります。Snapdragon 660の方がHelio P60よりも高く、CPU性能でもSnapdragon 660が優れていたというのに合点がいきます。

 

Geekbench

シングルコア性能ではHelio P60は2.0GHz、Snapdragon 660が2.2GHzなのでSnapdragon 660が100点ほど上回っています。マルチコア性能では双方とも平均クロック数が2.0Ghzと同じなのでわずかにSnapdragon 660が優位に立っていますが誤差の範囲と言えるでしょう。

またもやHelio X30がHelio P60に負けているのが表れており、数多のメーカーがHelio X30を採用しなかった理由がひと目で分かります。MEIZUはこのSoCをフラッグシップモデル、更には最上位モデルとして採用したので見事に衰退の一途をたどっています。

 

総括

MediaTekが大きく進化したとうことがよく分かる比較でした。先程も言いました通り、今までのMediaTekはQualcommの2世代前と良い勝負している状態だったのが、今回は1世代前といい勝負をしています。Helio XシリーズとHelio Pシリーズを開発していた時は結果としてどちらも中途半端なSoCになっていましたが、Helio Xシリーズの開発を一時停止した後の第一弾となるHelio P60はさすがの完成度となっています。MediaTekはフラッグシップ市場を捨てたわけではなく、2018年後半に再度開発予定であることもわかっているので2018年のHelio Pシリーズの開発で得たノウハウを使って今までのHelio Xシリーズとは違うものを開発してもらいたいです。

 

今までMediaTek製SoCが敬遠されていた一番の理由としてGPUのパワー不足が挙げられていましたが、このHelio P60では充分な性能を持っているので今まで嫌ってきた人で引き続き嫌うのであれば何故MediaTek製SoCが嫌いなのかを改める時が来ています。Snapdragon 660よりも性能が低い、ということは明らかになっていますのでこれを搭載したスマートフォンをリリースするのであれば安価にすれば飛ぶように売れるのではないでしょうか。もちろん価格を触るだけで売れるのであれば今の頂点はAppleやSAMSUNGではなくXiaomiが取っているので他に理由はありますが、Qualcomm製SoCを採用しないと売れないという時代は終わりを告げようとしています。

QualcommはSnapdragon 660の後継機としてSnapdragon 670、更にはAI機能やISPを重視したSnapdragon 700シリーズが控えており、まだまだQualcommが負けるということはないでしょう。MediaTekもHelio P60の上位版としてHelio P70を控えているという話も出ており、SAMSUNGも立て続けにミドルレンジSoCを開発・発表しているので2018年のミドルレンジ市場は熾烈な戦いが繰り広げられるでしょう。

 

ちなみにOPPO R15のコストパフォーマンス比(スコア÷価格)は46点、OPPO R15 夢鏡版は44点なので、Helio P60モデルの方がコストパフォーマンスが高いことになります。

 

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