Qualcomm Snapdragon 845をSnapdragon 835、820/821、810と比較

Qualcommによるフラッグシップモデル向けプラットフォームの「Qualcomm Snapdragon 845 Mobile Platform」を旧世代モデルとなるSnapdragon 835とSnapdragon 820/821、Snapdragon 810をAnTuTuベンチマークとGeekbenchを用いて比較します。比較に使用したツールはAnTuTuベンチマーク Ver.7とGeekbench 4です。

それぞれの搭載機種はAnTuTuが公開した未公開機種(Snapdragon 845)、OnePlus 5(Snapdragon 835)、OnePlus 3T(Snapdragon 821)、OnePlus 3(Snapdragon 820)、Google Nexus 6P(Snapdragon 810)です。Snapdragon 810を搭載したOnePlus 2のAnTuTuベンチマーク Ver.7でのデータが見つからず、同じプラットフォームを搭載したGoogle Nexus 6PのデータをRedditにて発見しましたのでこちらを利用しています。Snapdragon 835からSnapdragon 820まではAnTuTuベンチマークスコアランキングに載っているものを利用し、Snapdragon 810は1回の計測を利用しています。

AnTuTuベンチマークスコアランキングに載っている数値は1000回以上計測されたものの平均点ですので比較に使用するのに妥当だと判断しています。

スペック

今回の比較表からLPP/LPEの表記を付けてみました。完璧に理解しているわけではありませんが優劣としてLPU(Low Power Ultimate)>LPC(Low Power Compact)>LPP(Low-Power Plus)>LPE(Low-Power Early)の順番でLPUが一番優れています。今の所実用されているのがLPPとなっているようで、LPCやLPUは7nmや5nmでの採用が期待されています。

製造プロセスは順序よく小さくなっていき、基本的に小さいほうが省電力性と高性能化に期待出来ます。MediaTek Helio P60の製造プロセスは12nmとなっていますが、Qualcommはそれを飛ばして14nmから10nmに飛んでいます。SAMSUNGもExynos 9 Octa(8890)からExynos 9 Series(8895)で同じく14nmから10nmになっていますので、SoCの開発スピードが早くなっていると考えられます。

CPUのコア数は完全に独自カスタマイズとなったSnapdragon 820/821のみクアッドコア構成、他はARM Cortexをセミカスタムしたオクタコア構成となっています。クロック数も世代が進化する毎に上がっていっていますが、LITTLE側のコアは2.0GHzを超えたものはありません。SAMSUNG Exynosも超えていないので安定性とパフォーマンスの双方を獲得しようとするとこうなるのかもしれません。

GPUのクロック数は中国ではSAMSUNG Galaxy S9/S9+が発表されており、AIDA64を使ってプラットフォームの情報を確認した画像をいくつか拝見しましたが最大クロック数が表示されていませんので“?”表記にしています。詳細なスコアは後述しますがかなり進化しているので恐らくクロック数は上がっているのではないかと見ています。

 

AnTuTu Benchmark

総合性能

実機での計測では27万点を超えているものもありますが、AnTuTuが公開したスコアは26万点です。低いように感じられますがSnapdragon 835から5万点以上の進化を見せており、Snapdragon 821からSnapdragon 835よりも成長度合いが大きいことになります。ただ、Snapdragon 810からSnapdragon 820へは更に上がり幅の多い7万点もの進化を見せています。これは製造プロセスやGPUの進化が大きいでしょう。

 

CPU性能

CPU性能はSnapdragon 845が9万点に迫るスコアを出しており、Snapdragon 835から約27,000点のスコアアップとなっています。これはCPUのコアが進化したというのも関係していますが、クロック数の上昇や製造プロセスの進化も大きく関係しています。

bigコアに使用されているA75はマイクロプロセッサの脆弱性「Meltdown」と「Spectre」に該当しているので心配されていましたが、このスコアを見るとその心配はあまり必要ないかもしれません。安心してSnapdragon 845搭載機を買うことが出来ます。

Snapdragon 820とSnapdragon 821の違いはbigコアのクロック数なので4,000点程度の進化に留まっています。

 

GPU性能

GPU性能はSnapdragon 845が大台となる10万点を突破し、圧倒的な性能を見せつけています。十分快適なSnapdragon 835よりも快適にゲームがプレイ出来るという事になり、音楽ゲームやアクションゲームの瞬間的なものにも対応できるようになります。3D処理をふんだんに使ったゲームをするのであればどれを選ぶかは明白でしょう。

一応Snapdragon 835でも十分すぎる性能を持っていますので、費用対効果(コストパフォーマンス)を考えるとSnapsragon 835搭載機を買うほうがいいかもしれません。しかし、今の所Snapdragon 845を搭載した機種の価格は高いですが中国のメーカーが採用し始めると価格に変化が起き、2018年Q3(7-9月)にはSnapdragon 845の方が費用対効果が高くなると思います。

Snapdragon 820/821でもMediaTek Helio X30(約51,000点)よりも高く、HiSilicon Kirin 970の一世代前のKirin 960(約69,000点)と同レベルとなっていますのでこちらでも満足のいくゲームプレイは出来ると思います。ただ、ゲームの開発がSnapdragon 845やSnapdragon 835をメインとして行われると辛くなっていきますので、新たにこのプラットフォームを搭載した機種をゲーム目的に買うのはやめたほうが良いでしょう。

 

UX性能

この数値が高いと快適性が高いということになります。今の所4万点以上あれば通常の利用で文句は出ない利用が出来るスコアになっており、Snapdragon 821からは特に問題がないと言えます。Snapdragon 820も800点程度下回っているだけですのでこちらも問題のない利用が出来ますが、Snapdragon 810はカクつきや動作の緩慢さが出てくると思うので、こちらは快適な利用は出来ないでしょう。

 

MEM性能

MEM性能はRAMと内蔵ストレージ読み書きの速さを計測し、この数値が高いとCPU性能も高くなります。

Snapdragon 845のスコアは試作機である事も考えられますが、ほぼ完成品となっているXiaomi Mi MIX 2Sで計測されたスコアでも9,689点となっていますのでSnapdragon 845は1万点を超えることはないかもしれません。

ちなみにHiSilicon Kirin 970のスコアは13,000点を超えていますので大きな差があることになります。

 

Geekbench

Geekbenchではスコアの集計が行われていませんので、ReaMEIZUの主観で数値の良いものをピックアップしています。その際にカスタムカーネルを用いて計測されたものではないものに限定しています。

Snapdragon 845はSONY XZ2(H8296)のスコアをピックアップしています。

Snapdragon 835からSnapdragon 845へはCPUコアの進化に加えてクロック数が増加していますので大幅な進化となっています。一方でSAMSUNG Exynos 9 Series(9810)のシングルコア性能は3,600点やマルチコア性能は9,000点を超えるものもあり、GeekbenchにおけるCPU性能では大きな差があります。

Snapdragon 821からSnapdragon 835へはコア数が倍増(4-8コア)になったことによってマルチコア性能が大幅に進化しています。

 

総括

Qualcommの開発が順調に行われていることが表れている比較となりました。スペックは勿論のこと、それに付随するスコアがきちんと表れていますので新しくスマートフォンを購入する際にどれを購入すれば良いのか消費者が簡単に理解できます。Qualcomm製プラットフォームを採用しているメーカーは多いので費用対効果を気にする人、ブランドを気にする人、デザインを気にする人すべての人が満足できます。

 

残念ながら2018年3月12日現在、iOS向けAnTuTuベンチマーク Ver.7がリリースされていないので真の王者はわかりません。ただ、Androidにおける王者はSnapdragon 845という事実は揺るがないので、Androidスマートフォンを好む人にとってはこのプラットフォームが搭載されているスマートフォンが一番優れているということになります。

もちろん、スマートフォンには様々なUIが搭載されているので一概にSnapdragon 845が搭載されていればすべての人が満足するということにはならないことを忘れないで欲しいです。Snapdragon 660を搭載したスマートフォンのデザインが好みであればそれが正解になりますし、Kirin 970を搭載したスマートフォンのUIが好きならばそれが正解になります。

 

QualcommのエンジニアはSnapdragon 855の存在を認めており、製造プロセスは7nm FinFET、ダウンリンクが理論値では2GbpsになるLTE Cat.20をサポートしたQualcomm Snapdragon X24 LTE Modemを採用するそうです。一体どこまでQualcommは成長するのでしょうか。スマートフォン向けSoCに合わせて身の回りの機器も進化しますので、Qualcommの成長は今後の世界を担っていると言っても過言ではないでしょう。

 

 

参考

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