HiSilicon Kirin 970とKirin 960、Kirin 955、Kirin 950を比較

Huaweiに独占提供されているHiSilicon製プロセッサーの最新版となる「Kirin 970」を旧世代の「Kirin 960」と「Kirin 955」と「Kirin 950」をAnTuTuベンチマークとGeekbenchを用いて比較します。

使用するツールはAnTuTuベンチマーク Ver.7とGeekbench 4で、AnTuTuベンチマークで使用するスコアは2018年1月のランキング現在1位のHuawei Mate 10 Pro(Kirin 970)と12位のHuawei nova 2s(Kirin 960)と41位のHuawei P9(Kirin 955)と42位のHuawei Mate 8(Kirin 950)で、GeekbenchではReaMEIZUの主観で数値が良いものを抽出します。

AnTuTuベンチマークのスコアは1000回以上計測されたものの平均点ですので比較に使用するのに妥当だと判断しています。

 

スペック

製造プロセスは小さいほうが省電力性と高性能化に期待できるのでKirin 950からKirin 960までは順序よく進化し、Kirin 960からKirin 970へは14nmを飛ばしていますので飛躍的に性能が上がることになります。CPUのコア数は同じで、コアはA73+A53でクロック数もKirin 970とKirin 960は変わらず、Kirin 955とKirin 950はコアはA72+A53で同じですが、クロック数が微増しています。GPUに大きな変更があり、今まではMP4と心もとなかったですがKirin 960からSAMSUNG製プロセッサーのExynosのように多く搭載するように変更され、Kirin 970ではクロック数は下がったものの12コアも搭載しています。

 

総合性能

Kirin 970は2018年1月時点でのスコアランキングでSnapdragon 835を抑えて1位になっています。HiSilicon製プロセッサーでは代々MEM性能が高くなる傾向にあり、今回はCPU性能とGPU性能とUX性能で差が生まれなかったのでこのMEM性能によってKirin 970が3,000点程の差をつけています。

Kirin 955からKirin 960は56,252点、Kirin 960からKirin 970は29,715点で性能アップ度合いで見ればKirin 955からKirin 960の方が大幅に進化しているようです。これはCPUコアの性能とGPUの性能とコア数とクロック数が増加したというのが大きいでしょう。

 

CPU性能

Kirin 950からKirin 960への3,000点の差は大きいですが、Kirin 960からKirin 970への10,904点が更に大きく、CPUは一切変更されていないので製造プロセスが16nmから10nmになったことが大きく関係しているでしょう。

Kirin 960はKirin 955からCPUのコアがA72(2.52GHz)からA73(2.36GHz)に変更されているのでもう少しスコアが伸びると見ていましたが、クロック数が下がっていたり製造プロセスに大きな変化がないので成長こそはしているものの見違えるように変化してはいません。

 

GPU性能

マイナーチェンジ版のkirin 955がベースモデルのKirin 950よりスコアが下がっており、もうひとつの搭載機であるHuawei P9 Plusは1000回以上計測されていないためランキングから除外されているので何故スコアが下がったのか直接的な原因はわかりません。考えられる事象として古いファームウェアで計測するとスコアにばらつきが出たりします。

Kirin 955からKirin 960はGPUの性能が上がったのに加えてコア数も倍増し、更にはクロック数も上がったので43,038点も増加しています。このあたりからHuawei製スマートフォンでゲームをしても問題がないと言われ始め、一番大きい事柄としてアイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(デレステ)がKirinプロセッサーへの最適化を行い、これによって輪郭のギザギザ(ジャギー)が無くなり、快適にプレイできるようになりました。

Kirin 970は更にスペックアップが行われ、Kirin 960から15,359点の成長となっています。Kirin 955からKirin 960と比較をすると思った以上にスコアが伸びていない理由としてクロック数が減少している可能性が考えられます。

とは言えAnTuTuベンチマーク4位のOnePlus 5(Qualcomm Snapdragon 835)のGPU性能は83,774点なので充分すぎる性能を持っていることになります。

 

UX性能

UX性能というのはユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)を計測したもので簡単に言えば使いやすさです。計測されているのは画像処理やデータ処理、マルチタスクの速さとなっており、このスコアが高いと快適性が高いということになります。

Snapdragon 835の平均スコアが44,000点程度なのでKirin 970も同程度の快適性を誇っているようです。

ちなみにMeizu PRO 7 Plus(MediaTek Helio X30)は31,288点、OnePlus 3T(Snapdragon 821)は41,419点となっています。

 

MEM性能

MEM性能はRAMと内蔵ストレージ読み書きの速さを計測し、この数値が高いとCPU性能も高くなります。

HiSilicon製プロセッサーは代々このスコアが他SoCと比べて高くなっており、OnePlus 5は10,336点、OnePlus 3Tは7,652点、OnePlus 3(Snapdragon 820)は7,587点となっています。2018年のフラッグシップモデル向けSoCのSnapdragon 845は9,381点、SAMSUNG Exynos 9 Series(9810)は8,737点なのでMEM性能ではHiSiliconの独擅場になるでしょう。

 

Geekbench

Kirin 970とKirin 960はCPUに変更がないのでシングルコア性能とマルチコア性能で大きな差は表れませんでした。

Kirin 955とKirin 950はCPUのクロック数に変化があるので、やはりクロック数の上がったKirin 955がシングルコア性能とマルチコア性能共にスコアを上回っています。

 

総括

Kirin 955からKirin 960へのスペックアップが異常ですが、Kirin 960からKirin 970も順調に成長しておりますので上手に開発ができているのでしょう。

今回見たのはCPU性能やGPU性能、UX性能やMEM性能ですがKirin 970にはAI処理を行う専用プロセッサのNPU(Neural-network Processing Unit)が搭載されており、更に高いUXを提供できているように感じます。

今のところAnTuTuベンチマークスコアランキングで1位を獲得していますが、Snapdragon 845Exynos 9 Series(9810)を搭載したSAMSUNG Galaxy S9/S9+が3月に販売開始になりますので、それまでの天下となりそうです。しかしながら最近のMediaTekのように1位を取ること無く旧世代になるものもあるので、1位を獲得したというのはひとつの名誉になります。

 

2017年はHuawei P10/P10 Plus用にKirin 965の開発が噂されましたが蓋を開けてみるとなかったので、恐らく今回もHuawei P20/P20 Plus用にKirin 975が開発されるというのは可能性としては低いと思います。最近はSAMSUNGやQualcommが同年度にフラッグシップモデル向けSoCのマイナーチェンジ版の開発をしていませんので、開発費用や製品展開から見てもあまり恩恵を受けることはないのでしょう。

 

 

参考

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