HUAWEI nova 7 5G 楽活版が搭載しているHUAWEI Kirin 820Eのベンチマークスコアが明らかになりましたのでKirin 985とKirin 820、Kirin 810と比較を行います。
Kirin 820EはKirin 820の「出来栄えの悪い製品」を活用した可能性が高く、製造プロセスはTSMC製N7(7nm)、CPUは3xARM Cortex-A76* 2.22GHz+3xARM Cortex-A55 1.84GHzのヘキサ(6)コア構成、GPUはARM Mali-G57 MP6 @804MHz(?)とスペックはいくつか劣っています。この他、Kirin SoCにおいて非常に重要なNPUは非搭載となっています。
ヘキサコアを採用した製品として有名なのはSnapdragon 808やExynos 7872やMT8176がありますが、Kirin 820Eの様な3+3構成ではなく全て2+4構成を採用していますので、Kirin 820Eがいかに変則的なCPUを採用しているかわかりやすいと思います。GPUは後述するスコアから考慮していますが周波数は据え置きの可能性が高いです。
Kirin 820Eを搭載したHUAWEI nova 7 5G 楽活版(8GB+128GB)のAnTuTu Benchmark v8スコアはCPU性能が113,370点、GPU性能が118,379点、MEM性能が64,056点、UX性能が59,275点で総合性能は355,080点という結果になりました。
Kirin 820を搭載したHonor 30S(8GB+128GB)と比べてCPU性能は下がり、GPU性能はほぼ据え置きという結果になっていますので、GPUの周波数はKirin 820と同じく804MHzではないかと考えています。ちなみに、今回は記載しませんでしたがCPUの削減が行われているKirin 820EはKirin 820の非パフォーマンスモード(ノーマルモード)の性能に近いです。
CPUの性能はA76* 2.36GHzのコアがなくなったことでKirin 820の様な高い性能を発揮することは難しくなっていますが、依然としてKirin 820EはA76* 2.22GHzを採用しており、Kirin 820とKirin 820EはA76のCPU IPをそのまま使用するのではなくセミカスタムが施されているため、Dimensity 700が採用しているA76 2.2GHzと比較した場合はKirin 820Eの方が優れると考えています。
GPU性能は804MHzで据え置きとなっていますので、ゲームはGPUだけではなくCPUも使用しますので完全に同じ体験を得ることは出来ませんが、Kirin 820と近いゲーム体験を受けることが出来ると思います。
総合的に見るとKirin 820EはKirin 820からスペックを見れば分かる通り劣った製品ですが、CPU性能はKirin 810よりも高くGPU性能はKirin 820と同じで、総合性能は5G通信SoCの枠組でも上位に位置することが出来ていますので、HUAWEIは上手に活用することが出来たと感心します。このKirin 820の「出来栄えの悪い製品」がどの程度あるのか不明ですが、搭載した製品をリリースする意味はあるように感じます。