Huawei Kirin 820 5Gを発表、HiSilicon初のミドルレンジ帯5G通信対応プロセッサー

Huawei Kirin 820 5Gを発表、HiSilicon初のミドルレンジ帯5G通信対応プロセッサー

2020年3月31日
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Huaweiは3月30日に行われたHonor 30SとHonor Changwan 9Aの発表会にて、Huawei完全子会社のHiSiliconが開発した5G通信対応のプロセッサーのHuawei Kirin 820 5G(麒麟820 5G)を発表しました。Kirin 820はHiSiliconにおいてミドルレンジ帯プロセッサーとしては初の5G通信対応製品となります。

初搭載機は同日に発表されたHonor 30Sとなっており、HuaweiブランドではなくHonorブランドが初採用です。

 

名称 Kirin 820 Kirin 810 Kirin 710
CPU 1xA76* + 3xA76* + 4xA55 2xA76* + 6xA55 4xA73 + 4xA53
周波数 2.36GHz + 2.22GHz + 1.84GHz 2.27GHz + 1.88GHz 2.2GHz + 1.7GHz
GPU Mali-G57 MP6

GPU Turbo

Kirin Gaming+ 2.0

Mali-G52 MP6

GPU Turbo

Kirin Gaming+

Mali-G51 MP4
周波数 804MHz 820MHz 1000MHz
NPU Da Vinci

1xAscend Lite

Da Vinci

Ascend D100 Lite

?
カメラ Kirin ISP 5.0 Kirin ISP 4.0 ?
リフレッシュレート ? 60Hz(FHD+) ?
RAM LPDDR4X LPDDR4X LPDDR4
ストレージ UFS 2.1 UFS 2.1 UFS 2.1
Wi-Fi Wi-Fi 6 Wi-Fi 5 802.11 b/g/n
Bluetooth Bluetooth 5.1 Bluetooth 5.0 Bluetooth 4.2
5G NR 2.9Gbps/1.2Gbps - -
4G LTE ? Cat.12/13 Cat.12/13
製造プロセス 7nm 7nm 12nm

Kirin 820は2019年6月に発表されたKirin 810の正統後継プロセッサーで、Kirin 8シリーズに属しています。Kirin 810からKirin 820への変更点としてCPUの高性能化、GPUの高性能化、5G通信対応モデムを内蔵したことが挙げられます。CPUは2xARM Cortex-A76(セミカスタム)+6xA55から1xA76(セミカスタム)+3xA76(セミカスタム)+4xA55に変更され、総計としてA76を4コアとA55を4コア使用していることになり、2018年8月に発表したKirin 980と同じコア数になります。CPU性能は2018年のハイエンドモデル級となり、2017年に発表されたハイエンド製品は2020年のミドルハイ製品よりも性能が低い状態となります。

GPUはValhallアーキテクチャーを採用したARM Mali-G57を6コア(MP6)採用(周波数は804MHz)。ARMの発表ではMali-G52からMali-G57は同一面積あたりでは30%の性能向上が謳われている製品で大幅な性能向上が期待できます。Mali-G57はMediaTek Dimensity 800に続いて採用2例目となりますが、Dimensity 800は4コア(MC4)のためコア数はKirin 820の方が多いです。

 

HonorによるとCPUはマルチコア性能が27%上昇、GPUは38%の性能向上に成功し、NPUはKirin 990/Kirin 990 5Gも搭載しているDa Vinchアーキテクチャーを採用した高性能なAIチップを採用し、Kirin 810からは約73%の性能向上に成功しています。

 

大きな特徴として5G通信対応モデムを統合した点が挙げられ、Kirin 820の登場によってHuaweiとHonorはミドルレンジ市場で5G通信対応製品を投入することが可能になります。理論値では2.9Gbpsのダウンリンク、1.2Gbpsのアップリンクに対応し、5G+4Gの待受に対応しています。競合他社の既に商用製品が出ている製品はQualcommのSnapdragon 765 5GSnapdragon 765G 5G、SamsungのExynos 980、MediaTekのDimensity 1000Lが存在し、Kirin 820はこれらの製品と戦うことになります。

 

HuaweiとHonorはKirin 820が登場する前はハイエンドモデルのみが5G通信に対応していたためミドルレンジ帯では4G LTE対応製品しか発表することが出来ず、競合他社のXiaomiやOPPO、vivoに遅れを取っていましたが今回の発表でまた流れが変わるかもしれません。Kirin 820の初搭載機のHonor 30Sは8GB+128GBモデルが2399元(約37,000円)、8GB+256GBモデルが2699元(約41,000円)に設定されており、オンライン市場では4月7日より、オフラインショップでは4月10日より販売開始です。

 

 

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