Xiaomi Mi 9 SEが初搭載機となったQualcomm Snapdragon 712 Mobile PlatformのAnTuTuベンチマークスコアが判明しました。主要なベンチマークアプリとしてGeekbenchもありますが、こちらはわかっていません。
スペック表です。Snapdragon 712はSnapdragon 710から構成は変えずにCPUとGPUのクロック数を上昇し、急速充電規格をQuick Charge 4(QC 4)からQC 4+に規格を更新されています。
Snapdragon 675とはCPUのコアが異なっており、Snapdragon 712はCortex-A75を採用していますがSnapdragon 675はCortex-A76を搭載しています。Cortex-A76はSnapdragon 855やHiSilicon Kirin 980に採用されている優れたマイクロプロセッサで、ミドルレンジモデル向けながら採用されています。ただ、重要な違いとしてGPUが異なっており、基本的にAdreno 6xxの数字が高いほど性能が良くなるように製造されていますので、おそらくGPU性能はSnapdragon 712に軍配が上がるでしょう。
製造プロセスはミドルレンジモデル向けとしては最小の10nm FinFETが採用されています。
Snapdragon 712のAnTuTuベンチマークはCPU性能が71,562点、GPU性能が55,835点で総合性能が181,293点という結果になりました。CPU性能はSnapdragon 710から6%、GPU性能は16%、総合性能は5%の性能向上に成功しました。
CPUはA75コアのみがクロック数が増加していますので伸び幅としてはそれほどではありません。一方でGPU性能はクロック数が500MHzから610MHzへ上昇したことが要因となって大きくスコアが増加しています。
ただ、総合的な上昇幅がそこまで大きくないのでSnapdragon 710搭載機からSnapdragon 712搭載機へ乗り換えても快適度の上昇はそれほど感じられないと思います。
Geekbenchのスコアも判明しました。シングルコア性能は3%、マルチコア性能は2%の性能向上となり、大きくスコアを伸ばしていません。CPUは2xA75+6xA55のオクタコア構成なので、2xA76+6xA55のオクタコア構成のSnapdragon 675には及んでいません。
CPU性能優先のSnapdragon 6シリーズ、GPU性能優先のSnapdragon 7シリーズと分けられていますので、用途によって選びやすくはなっているでしょう。
今からミドルレンジモデルスマートフォンを製造する企業にとってはSnapdragon 712の存在は大きいでしょうが、Snapdragon 710の採用経験のある企業にとっては中途半端なプラットフォームでしょう。初搭載機となったXiaomi Mi 9 SEは従来機としてSnapdragon 710を搭載したXiaomi Mi 8 SEが存在していますが、発表サイクルを早めた結果このままでは内部的に何も変わっていないことを避けたいと考え、Snapdragon 712の開発をQualcommに提案し採用した可能性があります。
同じ様な例としてXiaomi Mi Playに搭載されたMediaTek Helio P35も性能としては中途半端に仕上がっており、Xiaomiは製品の発表サイクルに苦しんでいる用に感じられます。
Snapdragon 710搭載機の後継機としてSnapdragon 712を搭載するのは得策とは言えません。新たなシリーズ展開するときにはこれ以上のないベストなプラットフォームですが、既に性能が多くの人に知れ渡っているSnapdragon 710を搭載するほうがコストも掛からないので、企業にとってはそこまで魅力的なプラットフォームには思えないでしょう。
Snapdragon 710とSnapdragon 712の正統後継機として開発コード「Magpie」が判明しているので、それを楽しみに待つほうがいいと思います。