Samsung Exynos 2100を発表、5nm EUV+ARM Cortex-X1 CPUを採用

Samsung Exynos 2100を発表、5nm EUV+ARM Cortex-X1 CPUを採用

2021年1月13日
Processor/Platform

SamsungはExynos SoCの新製品発表会を2021年1月12日(現地時間)に開催し、新フラッグシップ製品としてSamsung Exynos 2100を発表しました。2020年の製品が採用したExynos SoCの名称はExynos 990となっているため、大きく命名法則が変わっています。

 

名称 Exynos 2100 Exynos 990 Exynos 1080
CPU 1xX1+3xA78+4xA55 2xExynos M5+2xA76+4xA55 1xA78+3xA78+4xA55
周波数 2.9GHz+2.8GHz+2.2GHz 2.73GHz+2.50GHz+2.00GHz 2.8GHz+2.6GHz+2.0GHz
GPU Mali-G78 MP14 Mali-G77 MP11 Mali-G78 MP10
周波数 800MHz 850MHz
NPU/DSP Triple NPU+DSP

26 TOPS

Dual NPU+DSP

15 TOPS

NPU+DSP

5.7 TOPS

カメラ 2億画素

3200万画素+3200万画素

1億800万画素

2480万画素+2480万画素

2億画素

3200万画素+3200万画素

リフレッシュレート 4K/WQUXGA@120Hz

WQHD+@144Hz

4K@60Hz

WQHD+@120Hz

WQHD+@90Hz

FHD+@144Hz

エンコード/デコード 10bit 8K@30FPS & 4K@120FPS encode & 8K@60FPS decode

H.265/HEVC, H.264, VP9, AV1(decode)

10bit 8K@30FPS & 4K UHD@120FPS encode & decode

H.265/HEVC, H.264, VP9

10bit 4K@60FPS encode & decode

H.265/HEVC, H.264, VP9, VP8

RAM LPDDR5 LPDDR5 LPDDR5

LPDDR4X

ストレージ UFS 3.1 UFS 3.0

UFS 2.1

UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 6 Wi-Fi 6 Wi-Fi 6
Bluetooth Bkuetooth 5.2 Bluetooth 5.0 Bluetooth 5.2
位置情報 GPS/Glonass/BeiDou/Galileo
通信 統合: 5G Modem

5G NR

Sub-6GHz: 5.1Gbps/1.92Gbps

mmWave: 7.35Gbps/3.67Gbps

 

4G LTE

LTE Cat.24/18(3.0Gbps/422Gbps)

外部: Exynos Modem 5123

5G NR

Sub-6GHz: 5.1Gbps/?

mmWave: 7.35Gbps/?

 

4G LTE

LTE Cat.24/22(3.0Gbps/422Mbps)

統合: 5G Mobem

5G NR

Sub-6GHz: 5.1Gbps/1.28Gbps

mmWave: 3.67Gbps/3.67Gbps

 

4G LTE

LTE Cat.18/18(1.2Gbps/200Mbps)

製造プロセス 5nm LPE 7nm LPP 5nm LPE
内部コード S5E9830 S5E9815

Exynos 2100の大きな特徴してGalaxy S7/S7 edgeが搭載したExynos 8890から始まっていた独自開発のカスタムCPUコアとなるExynos M(Mongoose)を採用せず、ARM製CPU IPのARM Cortex-X1を採用しています。ARM Cortex-X1はARMとSamsungが共同開発したCPU IPとなっているのでSamsungがCPU IPの開発を完全にやめたわけではないことは注意したいところですが、SamsungはExynos Mの設計を担っていたテキサス州にあるR&D Centerを2019年末に閉鎖しているため、今後新たなExynos Mを採用したExynos SoCが生まれることはないでしょう。

 

Exynos Mは“独自開発”という点がフィーチャーされることが多かったですが、ARM Cortex CPU IPと比較して性能や電力効率の低下が叫ばれ、2020年のGalaxy S20シリーズとGalaxy Note20シリーズが搭載したExynos 990では、競合他社製品となるQualcomm Snapdragon 865 5G/865 Plus 5Gとの性能に大きな差が生まれていることで、同じ機種なのに同じユーザー体験を実感することが出来ない事が明らかになり、署名サイトにて「特定の市場におけるExynos SoCの搭載を取りやめてほしい」と言った声や、「開発者ではない限りExynos SoCを搭載した製品は購入する意味はない」と論評されたりしました。様々な失敗を経てSamsungはExynos 2100ではExynos MではなくARM Cortex-X1を選択したため、理論上は同じくARM Cortex-X1を搭載しているSnapdragon 888 5Gと同じユーザー体験を実感することが出来るでしょう。

 

Exynos 2100はExynos 1080と同様にSamsung製5nm EUV(5nm LPP)製造プロセスを採用し、従来世代の7nm EUV(7nm LPP)と比較して10%の性能向上、20%の電力効率の改善が期待できます。スマートフォンやタブレットは日常的に利用する製品なので、性能が上がることは喜ばしいですがそれに伴って消費電力も増えていてはバッテリーの容量が徐々に巨大化して今度は重量を気にする必要が出てくるため、消費電力が下がるのは非常に喜ばしいことです。

 

CPUは1xARM Cortex-X1 2.9GHz+3xARM Cortex-A78 2.8GHz+4xARM Cortex-A55 2.2GHzのオクタコア構成を採用し、Exynos 990と比較してCPU性能は30%の向上、シングルコア性能は19%、マルチコア性能は33の向上が行えていると発表しています。Exynos 9820からExynos 990はCPU性能が20%の向上を謳っていたため、従来製品よりも更に高い性能向上幅となっています。

 

GPUはARM Mali-G78 MP14を採用し、ARM Mali-G77 MP11 @800MHzのExynos 990と比較して40%の性能向上が出来ているようです。ARMはMali-G78はMali-G77と比較して25%の性能向上を謳い、Exynos 2100はExynos 990からGPUのコア数が27%増加しているため、周波数は800MHzよりも少し低くなっているかもしれません。

 

また、SamsungはExynos 2100にてCPUやGPU、その他の処理の消費電力を監視及び最適化する高度なAdvanced Muti-IP Governor(AMIGO)技術を統合し、画面上の激しい動きに対しても、より長い使用時間を提供することが可能になっています。

 

AI性能においてはNPUの設計を2コア設計から3コア設計へと進化させ、また、NPUの消費電力を2倍近くも効率化させています。具体的な性能の数値として26 TOPSと非常に高い性能を有していますが、2019年の製品となるExynos 990は当初10 TOPSと発表されていたのにも関わらずExynos 2100の発表会では15 TOPSに修正されています。この10 TOPSから15 TOPSへの修正は発表直後となる2019年10月24日から2020年4月8日の167日(5ヶ月と15日)の間に行われており、当初はDSPの性能として10 TOPSと記載していましたがデュアルコアNPU+DSPの性能として15 TOPSに修正しています。そのため、Exynos 990からの慣例に則ってExynos 2100のAI性能となる26 TOPSはトリプルコアNPU+DSPの総合的な性能となっています。

 

ISP(Image Signal Processing)においてはシングルカメラでは最大2億画素に対応し、現在はSamsung ISOCELL HM1やISOCELL HM2の1億800万画素が最大画素数となっていますので、今後2億画素のイメージセンサーが発表される可能性があることを示唆しているのかもしれません。デュアルカメラ構成においては3200万画素+3200万画素に対応、最大搭載カメラ数は6つとなっています。

 

通信面においてはFR1で定義されているSub-6GHzとFR2で定義されているmmWaveに対応した5G通信対応モデムを統合し、最大通信速度はSub-6GHzでは5.1Gbps、mmWaveでは7.35Gbpsとなっています。Exynos 990ではSoCとModemが統合されていませんでしたが、Exynos 2100では統合され、電力効率の向上やスペースの確保(スマートフォンやタブレット)が可能になっていると話しています。

 

Exynos 2100は現在量産中であると公開し、このSoCは後日発表されるGalaxy S21、Galaxy S21+、Galaxy S21 UltraのGalaxy S21シリーズが採用する予定です。Galaxy Sシリーズは国と地域によってExynos SoC搭載モデルとSnapdragon搭載モデルが存在していますが、Geekbenchからは韓国市場と国際市場はExynos 2100、アメリカ市場やカナダ市場の北米市場ではSnapdragon 888 5Gを搭載することが明らかになっています。

 

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