MediaTek Dimensityシリーズに属する5G通信に対応したMediaTek Dimensity 800(MT6873V)のAnTuTu Benchmark v8とGeekbench v5のベンチマークスコアが判明しましたので、MediaTek Helio G90T、Qualcomm Snapdragon 765G 5G、Samsung Exynos 980、Huawei Kirin 820と簡単に比較します。初搭載機は中国市場向けに販売されているOPPO A92s(OPPO PDKM00)です。
OPPO製品に搭載されているカスタムスキンのColorOSはデフォルトで省電力設定にしていますが、今回入手したスコアはパフォーマンスモードと省電力モードの2つありますので、よりわかりやすく比較ができると考えています。
Dimensity 800のスペックはTSMC製7nm FinFET製造プロセス、CPUは4xARM Cortex-A76(2.0GHz)+4xA55(2.0GHz)、GPUはARM Mali-G57 MC4 @748MHz、5G通信はSub-6GHz帯のみ対応で最大4.7Gbps/2.3Gbpsとなっています。Dimensity 800はMediaTek初のミドルレンジ帯の7nm FinFET製造プロセスを採用した製品で、比較対象のHelio G90Tを始め様々なプロセッサーは12nm FinFET製造プロセスを採用しています。
パフォーマンスモードのDimensity 800の性能はCPU性能が102,744点、GPU性能が94,805点、MEM性能が65,410点、UX性能が62,528点で総合性能が325,487点、省電力モードの性能はCPU性能が98,364点、GPU性能が90,045点、MEM性能が59,399点、UX性能が50,618点で総合性能が298,426点となっていますので、省電力モードはCPUとGPUの動きをいくつか制限をしています。パフォーマンスモード環境下でも省電力モード環境下でもHelio G90Tを上回り、5G通信に対応しているだけでなく性能においてもDimensityシリーズとHelio Gシリーズの違いが明確です。
MediaTek製プロセッサーは低いGPU性能が低いという悪いイメージとして付いていますが、Snapdragon 765G 5Gと比較するとパフォーマンスモード環境下では上回っており、QualcommだからGPUが優れていると考えるのは正しくない状態になっています。もちろん快適性の高さはアプリ側の最適化が重要ですが、Snapdragonが全てにおいて優れているという認識は間違っているのかもしれません。
CPU性能を計測するのに長けているGeekbench v5ではシングルコア性能が513点、マルチコア性能が2,177点とシングルコア性能は他の5G通信対応SoCと比較して一番低いスコアとなりました。原因としてDimensity 800はA76(2.0GHz)を採用していますが、Snapdragon 765G 5GはA76*(2.4GHz)、Exynos 980はA77(2.2GHz)、Kirin 820はA76*(2.36GHz)となっており、一番周波数が低いためスコアが低く算出されています。しかし、マルチコア性能ではA76を4コア採用していることが功を奏してKirin 820に続いて2位に位置しています。Kirin 820とDimensity 800は採用しているCPU(A76を4コア、A55を4コア)は同じですが、周波数はKirin 820のほうが高いためスコアでも2,470点と2,177点に算出されています。