HiSilicon Kirin 810を過去のフラッグシップモデル向けSoCと比較、Kirin 970よりも高性能に

Huaweiが先日発表した台湾TSMC製7nm FinFET製造プロセスを採用したHiSilicon Kirin 810はAnTuTuベンチマークでは約237,000点のスコアを持っています。このスコアは今のミドルレンジ市場においては圧倒的に性能が高く、Qualcommが発表したSnapdragon 730よりも性能が高いことで大きな注目を集めています。

このKirin 810は過去のフラッグシップモデル向けプロセッサーと比較するとどうなるのかに疑問を持ちましたので、AnTuTuベンチマークとGeekbenchを用いて簡単に比較したいと思います。

 

今回の比較に採用したのはKirin 970、Snapdragon 835、Exynos 9810の3つです。このSoCを初搭載した機種がリリースされたのは2017年、2017年、2018年です。これらの後継機となるKirin 980は約30万点、Snapdragon 845は約29万点(Android 9 Pie環境)、Exynos 9820は約33万点なので全くの比較対象にならないため、今回はこの3つのSoCを選択しています。

CPUはやはり先日発表されたということもあって他のSoCが採用しているARM Cortex-A73やCortex-A53ではなくそれよりも新しく高性能なCortex-A76とCortex-A55を採用していますが、GPUはARM Maliを採用しているKirin 970とExynos 9810と比較すると世代(グレード)が異なってコア数も大きく違うことが見えてきます。過去にはどんなにミドルレンジモデル向けSoCの性能が上がってもGPU性能では過去のフラッグシップモデル向けSoCには全く敵わなく、ミドルレンジモデル向けSoCはGPU性能が低いので多くの人には勧められないということも言われてきました。

 

Kirin 810はKirin 970のCPU性能を強化したプロセッサーになっており、Huawei(+Honor)製品におけるフラッグシップレベルの性能が出ていることがわかります。プロセッサーの性能で見るのであればKirin 970搭載機よりもKirin 810搭載機の方が優れていることになりますが、スマートフォンそのものの大きな差としてカメラ性能やディスプレイの品質、音質などはやはりフラッグシップモデルの方が優れていますので、一概にKirin 810搭載機を買う方が良いとは言い切れません。

細かく見ていくと、CPU性能ではCortex-A76とCortex-A55を採用したことでCortex-A73やCortex-A53を採用したSoCよりも高いことが表れています。残念ながらGPU性能は過去のフラッグシップモデルに匹敵する性能とまではならず、やはりミドルレンジモデルとフラッグシップモデルには大きな差があります。ただHuawei(+Honor)に搭載されているカスタムスキンのEMUIによるGPUの動きを最適化するGPU Turbo機能、そしてKirin 810には様々な点で最適化を行うKirin Gaming+技術がありますので、過去のフラッグシップモデルと同様な快適なゲーム体験を享受することができると思います。

 

CPU性能を計測するのに長けているGeekbenchではシングルコア性能とマルチコア性能ともにKirin 970とSnapdragon 835を上回ることに成功しましたが、自社開発CPUのExynos M3を搭載したExynos 9810には勝つことは出来ませんでした。

とは言え過去のフラッグシップモデル以上の性能を誇っていることは間違いなく、更に最近は昨今のフラッグシップモデルでも性能を持て余している傾向にありますので余程のことがない限りカクツキは無いでしょう。更にEMUIの完成度も高いので個人的に合う合わないはあると思いますが、動作面で不満が出るということはないと考えています。

 

Kirin 810の存在はQualcomm、Samsung、MediaTekにとって驚異となっています。特にQualcommは現在のミドルレンジモデル向けSoCとしてはSnapdragon 730とSnapdragon 730Gが最新ですが、Kirin 810は両SoCよりも性能が高く、更にQualcommにとっても誇りでもあるGPU性能においてもKirin 810が上回っています。ゲームをするならSnapdragonではなくKirin、そんな時代がいつか来るかもしれません。

 

今の所Kirin 810の搭載が明らかになっているのは中国市場向けに発表されたHuawei nova 5のみでこの機種は7月20日に発売予定です。この機種が日本市場向けに投入されるのか今現在は不明ですが、Kirin 710初搭載機は2018年11月末にHuawei Mate 20 liteが販売開始となりましたので、Kirin 810搭載機は2019年10月から12月に発表されると考えています。