Apple A12 Bionic、HiSilicon Kirin 980、Kirin 970、Qualcomm Snapdragon 845、SAMSUNG Exynos 9810を比較

2018年に搭載機が発表されているApple A12 BionicとHiSilicon Kirin 980とKirin 970とQualcomm Snapdragon 845(オーバークロックも含む)、SAMSUNG Exynos 9 Series 9810の比較を行います。Kirin 970は他の4つと分類が違うように感じますがKirin 970は2017年Q4から2018年Q3向けに開発されていますので今回の比較に入れる必要があると考えています。そして、MediaTekはフラッグシップモデルのHelio Xシリーズのプロセッサーを2018年に発表しておらず、一番スペックが高いものがミドルレンジモデル向けのHelio P60なので分類が違うため、今回の比較に入れていません。

今回の比較はAnTuTuベンチマークとGeekbenchを用いて行いますので、アニメーションによる実使用感やバッテリーの持ち時間を考えていないことをご了承ください。あくまでもSoCとしての比較になります。

比較に用いるのはAnTuTuベンチマークのグローバル市場における10月のデータ、Geekbenchは数値が良いものを私がピックアップします。スマートフォンはA12 BionicがiPhone XS、Kirin 980がHUAWEI Mate 20 Pro、Kirin 970がHUAWEI P20 Pro、Snapdragon 845がOnePlus 6でOCがASUS ROG Phone、Exynos 9810がGalaxy S9+となっています。

 

スペック表は上画像のようになります。大きな特徴として2018年Q3に発表されたA12 BionicとKirin 980は現在最小となる7nm製造プロセスを採用しています。CPUコア数はA12 Bionicのみヘキサコア構成(6コア)で他はオクタコア構成(8コア)、GPUはA12 Bionicはクアッドコア構成(4コア)でSnapdragon 845は非公表、Kirin 980とKirin 970とExynos 9810はMPxxの数字がコア数です。

LTEカテゴリーはA12 BionicにはQualcommと仲違いをしたためIntel製モデムが搭載されており、特別素晴らしいものではなくなっています。この分野は基地局を製造しているHiSiliconのKirin 980が一番優れていますが今の所そのネットワークを体感することが出来ないので、カタログスペックでは一番優れているという評価になります。

 

総合性能ではA12 Bionicが断トツで1位という結果に。Kirin 980はSnapdrago 845と比較していく文化優れていると発表しており、その通りに優れています。Kirin 970はやはり2017年のSoCという事で最下位に。この中ではExynos 9810のスコアが特に低く、どの性能が伸びなかったのかをしっかりと見ていこうと思います。

 

CPU性能ではA12 Bionicが6コアながらトップに立っています。次点でARM Cortex-A76を初採用したKirin 980、Snapdragon 845はオーバークロックしたモデルが通常モデルをしっかりと上回っており、意味のあるオーバークロックとなっています。

Kirin 970はA73がパフォーマンスコアになっているため最下位に、Exynos 9810は89,257点でSnapdragon 845とはそれほど大きな差が生まれていません。

 

GPU性能はA12 BionicがCPU性能に引き続きトップを取りました。Kirin 980は残念なことにSnapdragon 845に負けている現状で、ゲームの快適度は確実にSnapdragon 845搭載機のほうが優れています。HUAWEIにはGPU Turbo技術がありますが、Snapdragon 845搭載機にもゲームをするときにパフォーマンスを最適化する機能はありますので、この差をソフトウェア処理で埋めることは難しいと考えています。

Exynos 9810はCPU性能では大きな差がありませんでしたが、GPU性能で3万点近くの差が生まれています。これはARM Mali-G72 MP18という構成ですがクロック数がMediaTekでも驚きの572MHzの低クロックなことが原因でしょう。従来機となるExynos 8895も10nm製造プロセスなので、変化のないExynos 9810は発熱を考慮してこの低クロックにした可能性があります。低クロックにするのであればコア数を減らして高クロックにしたら他の部分に新たなチップや回路を設置することが出来たのではないでしょうか。

 

UX性能はデータ処理や画像処理を計測しており、この数値が実使用感に関わってきます。ただアニメーションは考慮していないので、少し独特なColorOSを搭載しているOPPO Find Xでも59,452点というスコアを持っています。この数値が優れていれば一概に快適だというものではありませんが基準値となるスコアがあり、4万点で不満の出ない動き、5万点で不自由のない動きとなっています。6万点は更に不満、不自由のない動きが期待できますのでこの中ではKirin 970とExynos 9810はひとつ落ちてしまいます。

 

MEM性能はRAMやストレージの読み書きの速さを計測しており、特に比重が大きいのは内蔵ストレージの読み書きです。Kirin 980は内蔵ストレージのスコアだけで11,000点というスコアになっており、多くのSoCを超えています。アプリをたくさん起動させるタイプの人はKirin 980搭載機を買うほうが良く、大量のアプリをうまく使いこなしている方はHUAWEI Mate 20 Proが合います。

 

GeekbenchではA12 Bionicがトップに。シングルコア性能は5,000点に肉薄、マルチコア性能は11,000点超えとなっています。Kirin 980はA76を採用したことでシングルコア性能が3,000点超え、マルチコア性能は10,000点を超えることに成功しています。Exynos 9810のシングルコア性能が高いのはL3 Cacheが関わっているという見方が強く、Exynos 9810は4MB、Snapdragon 845は2MBとなっています。確かにExynos 9810の方がL3 Cacheの数値が高く、更にシングルコア性能のスコアも高いので大きく関係していると考えています。

Android向けSoCはシングルコア性能が3,000点超え、マルチコア性能が10,000点超えが基準になってくるでしょう。

 

搭載されているOSが違うのであくまでも参考となりますがSoCのマシンパワーではApple A12 Bionicが優れていることになっています。特にCPU性能とGPU性能は他SoCを圧倒しており敵なしの状態となっています。

Android向けSoCではKirin 980が優れており、7nm製造プロセスやCortex-A76、Mali-G76を初採用したのが大きいでしょう。Kirin 980はSnapdragon 845をライバル視していますので、Qualcommは次期Snapdragonでどこまで上回れるのかが注目になります。SnapdragonはGPU性能に定評がありますので、A12 Bionicと肉薄することになれば面白いと考えています。

 

MediaTekは2017年後半にHelio Xシリーズの開発の中止を発表、2018年後半に再度開発をするとリークされていましたが、11月現在そのような話は一切ありません。低価格高性能が売りであったMediaTekはQualcommにその座を奪われていまい、苦しい状況になっていましたがミドルレンジモデルに注力し、方針転換後の最初のSoCとなるHelio P60の完成度は高く、OPPOやvivoに採用されて順調な売上が期待できているようです。

Helio Xシリーズは唯一無二のデカコア構成(10コア)を採用しているのでこの構成を続けてほしいと期待していますが難しいのでしょうか。いわゆる2流メーカーのUlefoneやUMIDIGI、VerneeなどはHelio XシリーズよりもHelio Pシリーズを採用しているモデルが多く、1流メーカーはSnapdragonを採用するので、やはり現実的に見て開発を再開するのは難しいでしょう。

 

QualcommはSnapdragon 845の後継機としてSnapdragon 8150を、SAMSUNGはExynos 9810の後継機としてExynos 9820を開発していますのでこちらに期待がかかります。どちらも7nm製造プロセス、2+2+4のオクタコア構成になる見込みで、大きく差が開くのはGPU性能になるでしょう。SAMSUNGはExynos 9810での失敗を見直し、Qualcommは引き続き先進的な開発をする必要があります。

 

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