Snapdragon 4シリーズ初の5G対応製品となるSnapdragon 480 5Gのベンチマークスコアが判明しましたので、Snapdragon 750G 5GとSnapdragon 690 5G、Snapdragon 460と比較を行います。
Snapdragon 480 5Gのスペックは、Samsung 8nm LPP製造プロセス、CPUはKryo 460アーキテクチャを採用した2xARM Cortex-A76 2.0GHz+6xARM Cortex-A55 1.8GHzのオクタコア構成、GPUはAdreno 619 @650MHzとなっています。
通信面はSnapdragon X51 5G Modemを搭載し、FR1で定義されているSub-6GHz帯だけでなくFR2で定義されているmmWave(ミリ波)にも対応しており、現時点ではSnapdragon 6シリーズよりも優れています。この他FHD+環境での120Hzの高リフレッシュレート対応や、最新のストレージ規格UFS 2.2対応、Wi-Fi 6対応、急速充電規格Quick Charge 4+対応などSnapdragon 4シリーズとは思えないほどの高い性能を有しています。
比較対象としてSnapdragon 750G 5GとSnapdragon 690 5G、Snapdragon 460を選んだ理由として、前者2つの製品はGPUにAdreno 619とAdreno 619Lを採用しているため非常に似た製品となっていること、Snapdragon 460は4G対応製品のSnapdragon 4シリーズにおいて1番性能が高いからです。ちなみにAdreno 619Lの“L”は劣っていることを意味し、Adreno 619とAdreno 619Lは同じ周波数であっても後者のほうが劣ります。
Snapdragon 480 5GのAnTuTu Benchmark v8スコアはCPU性能が94,778点、GPU性能が70,355点、MEM性能が64,084点、UX性能が60,716点で総合性能は289,933点となっています。Snapdragon 460と比較するとCPU性能は約55%、GPU性能は約210%の性能向上に成功しており、Snapdragon 480 5GはSnapdragon 4シリーズの枠組みを貫いてSnapdragon 6シリーズにまで進んでいます。
ただ、CPUの性能はA77+A55で周波数の高いSnapdragon 750G 5Gが119,504点、A77+A55で少し周波数の低いSnapdragon 690 5Gが106,617点、A76+A55のSnapdragon 480 5Gは94,778点となっておりA77を採用していないことでSnapdragon 7シリーズやSnapdragon 6シリーズとはいい意味で差が生まれ、Snapdragon 4シリーズの製品として正しい位置にいることが出来ると思います。
そして、同じAdreno 619(シリーズ)を持つSnapdragon 750G 5GとSnapdragon 690 5Gと比較すると、800MHzのSnapdragon 750G 5Gは77,432点、565MHzのSnapdragon 690 5Gは62,344点、650MHzのSnapdragon 480 5Gは70,355点となっており、周波数通りの差が生まれています。
CPU性能を計測するのに長けているGeekbench 5ではシングルコア性能が519点、マルチコア性能は1,538点という結果になりました。
Snapdragon 460と比較してシングルコア性能は約104%、マルチコア性能は30%の性能向上に成功しており、シングルコア性能の大幅成長の要因としてCPUがARM Cortex-A73からARM Cortex-A76と非常に高性能なものに変更されたことが考えられます。マルチコア性能の性能向上がシングルコア性能ほどではないのは、CPUの構成が4+4から2+6に変更されたことが要因です。
製品が出て日があまり経っていないので確定するには早いですが、Snapdragon 480 5Gの登場によって少しだけQualcommの製品展開が見え、CPU性能とGPU性能を非常に高くしたものがSnapdragon 8シリーズ、CPU性能とGPU性能を高くしたものがSnapdragon 7シリーズ、CPU性能を高くしGPUはそれほど重視しないのがSnapdragon 6シリーズ、CPU性能は程よく高くGPU性能も程よく高いのがSnapdragon 4シリーズとなっていくのかもしれません。
今回の比較には載せていませんが、Snapdragon 480 5Gは4G対応のSnapdragon 6シリーズ製品に属するSnapdragon 675やSnapdragon 662よりも圧倒的に性能が優れているため、乗り換え先として候補に入れるのは問題ありません。むしろ価格によってはお得に性能向上が出来るため、積極的に検討するべきだと思います。