台湾のMediaTekは新たな5G通信対応SoCとしてMediaTek Dimensity 720(MT6853)を発表しました。Dimensity 720は新設されたDimensity 700シリーズに属する製品で、既に発表されているDimensity 800シリーズ製品に属するDimensity 820やDimensity 800よりも下位の製品となります。
名称 | Dimensity 720 | Dimensity 820 | Dimensity 800 |
CPU | 2xA76 + 6xA55 | 4xA76 + 4xA55 | 4xA76 + 4xA55 |
周波数 | 2.0GHz + 2.0GHz | 2.6GHz + 2.0GHz | 2.0GHz + 2.0GHz |
GPU | Mali-G57 MC3 | Mali-G57 MC5 | Mali-G57 MC4 |
周波数 | 730MHz | 900MHz | 748MHz |
NPU | APU | APU 3.0
2.4 TOPS |
APU 3.0
2.4 TOPS |
カメラ | 6400万画素
2000万画素+1600万画素 |
8000万画素
3200万画素+1600万画素 |
8000万画素
3200万画素+1600万画素 |
エンコード | H.264、H.265 / HEVC | H.264、H.265 / HEVC | H.264、H.265 / HEVC |
リフレッシュレート | 90Hz(FHD+) | 120Hz(FHD+) | 120HZ(FHD+) |
RAM | LPDDR4X(12GB) | LPDDR4X(16GB) | LPDDR4X(16GB) |
ストレージ | UFS 2.2 | UFS 2.1 | UFS 2.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 5 |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 | Bluetooth 5.1 | Bluetooth 5.1 |
通信 | 内蔵: Helio M70
Sub-6GHz 2.34Gbps/1.25Gbps |
内蔵: Helio M70
Sub-6GHz 2.34Gbps/1.25Gbps |
内蔵: Helio M70
Sub-6GHz 2.34Gbps/1.25Gbps |
製造プロセス | TSMC N7 | TSMC N7 | TSMC N7 |
内部コード | MT6853 | MT6875 | MT6873 |
MediaTek Dimensity 720のスペックは台湾TSMC製7nm FinFET製造プロセス、CPUは2xARM Cortex-A76(2.0GHz)+6xARM Cortex-A55(2.0GHz)のオクタコア構成、GPUはARM Mali-G57 MC3(周波数不明)、AIチップのAPUを搭載、ISPはシングルカメラは6400万画素でデュアルカメラは2000万画素+1600万画素に対応、リフレッシュレートはFHD+(2520x1080)環境で90Hzに対応、内蔵ストレージはUFS 2.2規格に対応、5G通信対応モデムを統合しSub-6GHz帯の最大ダウンロード速度は2.3Gbps(2300Mbps)となっています。
Dimensity 820やDimensity 800と比較してCPUは4+4のオクタコア構成ではなく2+6のオクタコア構成へ、GPUはMC5やMC4から更に少なくMC3へ、リフレッシュレートは90Hz対応と様々な変更点があります。CPUの構成はゲーミングに最適化したHelio Gシリーズ製品のHelio G90およびHelio G90Tに酷似しており、Helio G90は2xARM Cortex-A76(2.0GHz)+6xARM Cortex-A55(2.0GHz)でHelio G90Tは2xARM Cortex-A76(2.05GHz)+6xARM Cortex-A55(2.0GHz)となっています。そのためCPUの性能は近くなると思いますが、製造プロセスはHelio G90/G90Tが12nm FinFETなので、7nm FinFETで製造されているDimensity 720の方が多少は優れると感じています。ただHelio Gシリーズとの大きな違いは5G通信に対応しているところなので、たとえ性能が近いとしてもDimensity 720に大きな優位点があることは間違いありません。
MediaTekの公式サイトには内蔵ストレージ規格がUFS 2.2に対応していると記載されていますが、UFS 2.1と比較してどの程度優れているのか今ののところ分っていません。UFS 2.0からUFS 2.1に関しては読み書きの速度が上昇していますが、UFS 3.0とUFS 3.1に関しては基本的な仕様は同じでパフォーマンスの改善、電力効率の改善など細かい調整が行われています。
5G通信に関しては5G+5GのDual-SIM/Dual-Standby対応し、Sub-6GHz帯ではSA(スタンドアローン)/NSA(ノンスタンドアローン)方式に対応したデュアルモード5Gとなっています。更に、NR方式で音声通話を実現するVoNR (Voice over NR)に対応しています。