AQUOS R11が初搭載したヘキサコアのSnapdragon 8s Gen 4のベンチマークスコアが判明しました。そのため、通常のオクタコアのSnapdragon 8s Gen 4や1世代前のSnapdragon 8s Gen 3などとの比較に加え、過去のAQUOS Rシリーズが搭載したSoCとも比較します。AQUOS R11の購入を考えている方は是非読んでいただければと思います。
今回の性能の比較にあたり、AnTuTu BenchmarkとGeekbenchで算出された性能を利用しています。前者のAnTuTuは開発元がiOSとAndroidの異なるOSでの比較ができないと発表しているので、お手持ちのiPhoneで算出された性能を比較するのはお控えください。なお、後者のGeekbenchは異なるOSでの比較が可能なので、こちらは是非とも比較してください。
ヘキサコア版Snapdragon 8s Gen 4の主な仕様は、製造プロセスがTSMC 4nm N4P、CPUは最大3.21GHzで動作するCortex-A720と最大2.80GHzで動作するCortex-A720と最大2.02GHzで動作するCortex-A720を1+4+1構成で採用、GPUはAdreno 825、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、モバイルデータ通信は5Gをサポートします。
通常のオクタコアのSnapdragon 8s Gen 4からの変更点は、CPUは最大3.01GHzで動作するCortex-A720が1基減り、最大2.80GHzで動作するように調整され元からある最大2.80GHzで動作するCortex-A720と合流し、最大2.02GHzで動作するCortex-A720は1基減って1+4+1構成になりました。GPUは通常版と同じだと思っていたのですが、数々のベンチマークスコアを見ると最大1150MHzではなく、それよりも低く設定されている可能性があると考えています。
ヘキサコア版Snapdragon 8s Gen 4のAnTuTu v11における性能は、CPU性能が626,884点、GPU性能が713,883点、MEM性能が390,293点、UX性能が429,341点で、総合性能が2,160,401点 (約216万点)となりました。
やはりオクタコアからヘキサコアになっているのでCPU性能は低く算出されており、ヘキサコアのSnapdragon 8s Gen 4の性能は通常のSnapdragon 8s Gen 4の約86.6%となっています。最大3.01GHzで動作するCortex-A720が消え、最大2.80GHzで動作するCortex-A720に調整されて合流したのはかなりの影響があったと考えられます。この点にがっかりする人は多いと思います。
GPUはAdreno 825で共通していますが、通常のSnapdragon 8s Gen 4の約87.8%しか性能が発揮されていません。Nothing Phone (3)やPOCO F7、Meizu 22でも低くて79万点程度のため、AQUOS R11の71万点はかなり低いです。そのため、通常版の1150MHzよりも低い数値に設定されているのではないかと予想しています。これに関してはAQUOS R11実機を入手するしかありませんが、その検証のために16万円は厳しいです。
ちなみに、現在のSHARPはAQUOS R8 proが搭載しているSnapdragon 8 Gen 2が最上位の性能を誇りますが、ヘキサコアのSnapdragon 8s Gen 4はその性能を上回ることに成功しており、新製品のAQUOS R11が最高の性能を誇る製品となりました。そのため、ヘキサコアの魔力に取り憑かれて性能の点で乗り換えを悩んでいるという人は、この上の図を見て冷静に判断してほしいです。
ヘキサコア版Snapdragon 8s Gen 4のGeekbench 6での性能は、シングルコア性能が2,070点で、マルチコア性能が5,846点となりました。Geekbenchには基準点があり、IntelのCore i3-8100の性能が1,000点に設定されています。
通常のSnapdragon 8s Gen 4と比較すると、ヘキサコアのSnapdragon 8s Gen 4の性能は、シングルコア性能が約97.3%でマルチコア性能が約85.8%となりました。シングルコア性能は理論上は同じ性能を発揮するので、この差はSHARPの調整が関わっていると考えています。一方でマルチコア性能は動作周波数も考慮する必要がありますが、そもそもの時点でCortex-A720が2基減っているのでこういった差が発生するのは当然です。
AQUOS R8 proが搭載しているSnapdragon 8 Gen 2と比較すると、AnTuTu v11の場合と同じくどちらも性能が上回っており、シングルコア性能は約102.3%で、マルチコア性能は約106.1%となっています。ヘキサコアなのにオクタコアよりマルチコア性能が高いのは、高性能なCortex-A715とA710をCortex-A720に刷新し、高効率なCortex-A510の後継を採用しないといった決断から来ています。
その決断が強く表れているのは1世代前のSnapdragon 8s Gen 3との比較で、ヘキサコアのSnapdragon 8s Gen 4と通常のSnapdragon 8s Gen 3の違いは最大2.02GHzで動作するものが1基のCortex-A720なのか3基のCortex-A520なのかといった点ですが、この差だけで前者の方が性能が高くなっています。もちろんCortex-X4が最大3.21GHzと最大3.01GHzの違いはありますが、それでもヘキサコアがオクタコアを上回るのはCortex-A520の採用を見送っていることが大きいと考えています。
次はAQUOS Rシリーズが搭載したSoCで比較を行います。新たに発表されたのはAQUOS R11でR11 proではありませんので、こちらではAQUOS R9 proやR8 proは考慮しませんのでご了承ください。実を言うと、前述の比較にその「pro」が搭載したSoCの比較が含まれているので、それに気付かない程度であれば気にしなくてもいいと思います。
AQUOS Rシリーズは2024年5月に発表されたAQUOS R9がSnapdragon 7+ Gen 3を採用しましたが、2025年5月に発表されたAQUOS R10も引き続き採用したことで成長が止まってしまいました。しかし、AQUOS R11でヘキサコア版ではありますがSnapdragon 8s Gen 4を採用することでようやく性能が向上しました。AnTuTu v11ではCPU性能に大きな差はありませんが、GPU性能はしっかりと差が発生し、約67.1% (約1.7倍)の性能向上が行われています。
同じSnapdragon 8シリーズを搭載したAQUOS R8やR7と比較すると、CPU性能はR8とはあまり差がありませんが、R7は差が発生して約36.2%も向上しました。GPUは圧倒的な差があり、R8は約65.6%の向上、R7は約219.7% (約3.2倍)の向上となっています。AQUOS R7が搭載したSnapdragon 8 Gen 1は発熱の問題を抱えているので、AQUOS R11のどこにも惹かれないといった印象ではない限りは乗り換えると満足できると思います。
Geekbench 6を利用した比較では、ヘキサコアのSnapdragon 8s Gen 4の性能は、AQUOS R10とR9が採用したSnapdragon 7+ Gen 3からシングルコア性能は約12.0%、マルチコア性能は約17.5%の向上に成功しています。シングルコア性能はCortex-X4で共通していますが、最大2.80GHzから最大3.21GHzで動作するようになったので向上しています。そして、マルチコア性能はSnapdragon 8s Gen 3の時と同じく、3基のCortex-A520ではなく1基のCortex-A720を採用することで性能が向上しました。
AQUOS R7が搭載したSnapdragon 8 Gen 1と比較すると、シングルコア性能は約26.8%で、マルチコア性能は約45.5%の性能向上が行われています。このAQUOS R7のサポートは実質的に終了しているので、セキュリティの面でも性能の面でも機種を新しくするのを考慮してみてはいかがでしょうか。
AQUOS R11が搭載したSnapdragon 8s Gen 4はオクタコアではなくヘキサコアで残念に感じた人も多いでしょうが、少なくともSHARPが展開している製品において最上位の性能を誇っていることは間違いありません。日本市場ではNothing Phone (3)やPOCO F7がオクタコアのSnapdragon 8s Gen 4を搭載し販売されているのでそれと比べると当然性能が低いですが、SHARPの製品を愛用している人は「最高の性能」よりも「SHARPの安心」に重きを置いていると思うので、同企業が展開している製品で最高の性能を有していれば問題はないのではないでしょうか。
そのため、AQUOS R11の性能は昨年のAQUOS R10よりも性能が低いのではないか、と感じた人にとっては今回の比較はうれしいものになると思います。危惧されていた性能に関しては問題ありません。ただ、最大の欠点として挙げられているmicroSDカード非対応については、SDカードリーダーを利用して対処するか、いっそ他社の製品に乗り換えるといった方法しかないでしょう。来年に発表されるであろうAQUOS R12で対応するように戻すか不明なので、このR11での非対応を契機にmicroSDカードとの関わりを一度考える必要があると思います。
ヘキサコアのSnapdragon 8s Gen 4を初搭載したAQUOS R11は2026年7月9日以降に販売を開始し、容量がNTTドコモとソフトバンク向けは12GB+256GBで、SIMフリー市場向けは12GB+512GBとなっています。価格はNTTドコモは新規一括で162,470円、ソフトバンクは新規一括で156,960円、SIMフリー市場はSHARPのCOCORO STOREで163,900円に設定されています。







