未発表に終わった(?)Snapdragon 680を振り返る、スペック偽装によって生まれた偽の製品

未発表に終わった(?)Snapdragon 680を振り返る、スペック偽装によって生まれた偽の製品

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今からほぼ2年前となる2018年6月にSnapdragon 680がGeekbenchに出現しましたが、当時は開発者コードの存在を知らないため、簡潔に新しいQualcomm製SoCが出現したとまとめています。今回、開発者コードや今まで培ってきた知識を用いて前よりは詳しく見てみたいと思います。

 

Snapdragon 680を搭載したある機種はQualcomm sdm680 for arm64の名称で計測され、スペックはAndroid 8.1.0 Oreo+RAM 6GBとなっています。ベース周波数(最低周波数)は2.15GHzと記載され、スコアはGeekbench v4環境でシングルコア性能が1,940点、マルチコア性能が5,153点となっており、2018年当時のハイエンド向けQualcomm製SoCのSnapdragon 845はシングルコア性能が2,419点、マルチコア性能が8,913点となっていますので、Snapdragon 680の性能はミドルレンジ帯に収まるでしょう。

 

ここで開発者コードを利用してみるとCPUは2x2.80GHz(2803MHz)+4x2.15GHz(2150MHz)のヘキサコア構成、GPUはAdreno 540を採用しています。CPUはひとまず置いておいて、GPUに採用されているAdreno 540は2017年のハイエンド向けQualcomm製SoCのSnapdragon 835に搭載されていたものです。Qualcomm製品においてSnapdragon 730/730GとSnapdragon 720Gの様に同じGPU(Adreno 618)を搭載していながら名称が違うというのはよくありますが、Adreno 540はハイエンド向けのSnapdragon 835に採用されているもので、過去の例を見てもハイエンド向けGPUを他の製品に採用したという例はないため、Snapdragon 680はかなり異質な製品です。

 

更に詳しく見てみるとBuild欄に“lineage_chiron-userdebug 8.1.0 OPM2.171019.029.B1 08b1fd56f2 test-keys”と記載されています。文頭にはlineage、これはAOSPベースのカスタムROMのLineageOSを表しており、その次に書かれているchironはXiaomi Mi MIX 2のコードネームを表しています。つまり、Snapdragon 680を搭載しているのはAndroid 8.1.0 OreoベースのLineageOS 15.1を搭載したXiaomi Mi MIX 2ということになります。しかし、Xiaomi Mi MIX 2は2017年9月に発表されてSnapdragon 835を搭載しています。おかしい。

 

つまり、Snapdragon 680と思われるものはLineageOS 15.1を搭載したXiaomi Mi MIX 2によってSnapdragon 835のスペック変更し、更に名称まで変更して計測されたものということになります。かなり手が込んだ偽装となり、この様な例はSnapdragon 660を搭載したPOCO F1 Liteが発表されるかもしれないという情報に似ています。POCO F1 Liteは突如Geekbenchに姿を表し、低価格+ハイパフォーマンスで話題となったPOCO F1(Pocophone F1)の廉価モデルとなると予想されていましたが、結果的に悪意のある人によって行われた偽装だったと判明しています。

 

まとめると、Snapdragon 680は未発表に終わったのではなく、当時のQualcommは開発すらしていない製品です。今後Snapdragon 680を冠した製品が出るかもしれませんが、2018年に姿を表したSnapdragon 680(偽)とは全く違うものであることは間違いありません。ちなみにスペック偽装に使用されたXiaomi Mi MIX 2およびXiaomi Mi MIX 2を開発したXiaomiには何も悪くありません。誤解はしないようにお願いします。

 

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