Snapdragon 8 Gen 1が発表、わかりやすさを追求した新命名規則適用の最初の製品

Snapdragon 8 Gen 1が発表、わかりやすさを追求した新命名規則適用の最初の製品

2021年12月2日
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Qualcommは2021年12月1日(現地時間: 11月30日)にSnapdragon Tech Summit 2021を開催し、新しいSnapdragon 8シリーズに属する2021年-2022年の旗艦製品向けSoCのSnapdragon 8 Gen 1を発表しました。

 

Snapdragon 8 Gen 1はリーク時ではSnapdragon 898 5GやSnapdragon 895 5Gと予想されていましたが、命名方式の簡素化が行われて大きく名称が変更しました。

 

名称 Snapdragon 8 Gen 1 Snapdragon 888 5G Snapdragon 865 5G
CPU Kryo

(X2+A710+A510)

1+3+4構成

Kryo 680

(X1+A78+A55)

1+3+4構成

Kryo 585

(A77+A77+A55)

1+3+4構成

周波数 3.0GHz+2.5GHz+1.8GHz 2.84GHz+2.42GHz+1.8GHz 2.84GHz+2.42GHz+1.8GHz
GPU Adreno Next Gen Adreno 660 Adreno 650
周波数 818MHz 840MHz 587MHz
NPU/DSP Hexagon(7th Gen) Hexagon 780(6th Gen)

26 TOPS

Hexagon 698(5th Gen)

15 TOPS

カメラ Triple 18-bit Spectra ISP

2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL)

Triple 14-bit Spectra 580 ISP

2億画素 or 8400万画素(ZSL) or 6400万画素+2500万画素(ZSL) or 3x2800万画素ZSL)

Dual 14-bit Spectra 480 ISP

2億画素 or 6400万画素(ZSL) or 2x2500万画素

リフレッシュレート 60Hz(4K)

144Hz(WQHD+)

60Hz(4K)

144Hz(WQHD+)

60Hz(4K)

144Hz(WQHD+)

エンコード/デコード 8K@30FPS/4K@120FPS H.265

Dolby Vision, HDR10, HDR10+, HLG

Slow-mo 720p@960FPS

8K@30FPS/4K@120FPS H.265

Dolby Vision, HDR10, HDR10+, HLG

Slow-mo 720p@960FPS

8K@30FPS/4K@120FPS H.265

Dolby Vision, HDR10, HDR10+, HLG

Slow-mo 720p@960FPS

RAM LPDDR5(3200MHz) LPDDR5(3200MHz) LPDDR5(2750MHz)

LPDDR4X(2133MHz)

ストレージ UFS 3.1 UFS 3.1 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 6E Wi-Fi 6E Wi-Fi 6
Bluetooth Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.1
位置情報 GPS/Glonass/BeiDou/Galileo/QZSS/NavIC GPS/Glonass/BeiDou/Galileo/QZSS/NavIC GPS/Glonass/BeiDou/Galileo/QZSS/NavIC
通信 統合: X65 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(10Gbps/3Gbps)

統合: X60 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(7.5Gbps/3Gbps)

外部: X55 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(7.5Gbps/3Gbps)

充電規格 Quick Charge 5 Quick Charge 5 Quick Charge 4+
製造プロセス Samsung 4nm

(4LPE)

Samsung 5nm

(5LPE)

TSMC 7nm

(N7P)

内部コード SM8450 SM8350 SM8250

通常、表の下は主な仕様をまとめていますが、今回は様々な点が刷新されたため、私が気づけた違いについて記載していきます。

 

まず、名称がSnapdragon 888 5G/Snapdragon 865 5Gの形式からSnapdragon 8 Gen 1へ大きく変更されました。Snapdragonは継続、8はシリーズ名、Genは世代(Generation)、1は最初の製品という意味で、2022年12月に発表される製品はSnapdragon 8 Gen 2になる見込みです。また、5G対応が当然なので“5G”の文言が無くなりました。

 

次に、KryoやAdreno、Hexagon、Spectraの型番が発表されませんでした。Snapdragon 8 Gen 1の名称変更に伴って“わかりやすさ”を追求したと考えていますが、型番である程度の情報を把握していた私にとっては逆に“わかりにくく”なりました。

 

Snapdragon 8 Gen 1は全く新しいKryo CPUを採用し、Armv9に基づいたCortex-X2とCortex-A710とCortex-A510を1+3+4構成で採用。周波数はそれぞれ3.0GHz(2.995GHz)+2.5GHz+1.80GHzで、L3 Cacheは6MBです。

 

従来製品と比較して性能は20%上昇、消費電力は30%改善しており、高性能を継続的に発揮できると公表しました。Snapdragon 888 5Gはピーク性能は非常に良いものを持っていましたが、継続的な利用の場合は明らかな発熱、それに伴って性能が急激に落ちる現状が頻繁に見られたため、Snapdragon 8 Gen 1の継続的な高性能の発揮には期待がかかります。

 

Snapdragon Gen 1搭載のAdreno GPUは新たなアーキテクチャを採用した“新世代”で、従来製品と比較して性能は30%上昇、消費電力は25%改善しています。Snapdragon 888 5GのAdreno 660は競合他社比でも高い性能を発揮し、Snapdragon 8 Gen 1は更に高くなるのでCPU性能とともにGPU性能にも期待がかかります。

 

第7世代のAI Engineは従来製品と比較して性能は4倍。AI EngineはNPUとは異なって、Kryo CPU、Adreno GPU、Hexagon Processor(Scolar, Tensor, Vector)、Sensing Hub、Memoryから成る仕組みです。

 

第3世代のSensing HubはAI Processor、DSP、Memory、Always-on ISPから成り、Always-on ISPと後述のSnapdragon Sight技術採用の18-bits ISPを組み合わせるとAlways-on Cameraを実現。この機能は前面カメラでの顔認証に用いられ、画面が暗転(消灯)していてもカメラは常時動作し、カメラが登録した顔を認識すると手を触れること無くロック解除が行われます。

 

Snapdragon 8 Gen 1はSnapdragon Sight技術採用の18-bits ISPを搭載。画像処理は毎秒3.2  Gigapixel(Snapdraon 888 5Gは2.7Gigapixel/Snapdragon 865 5Gは2.0Gigapixel)を実現し、従来製品の4000倍以上のデータが扱えるようになりました。また、8K HDR撮影、その撮影中に6400万画素での切り抜き、More Night Modeで従来製品の5倍となる30枚の画像を扱えるようになりました。

 

すべての人々に嬉しい情報としてQualcommはSonyとの協業を発表。Qualcommの本社があるアメリカ合衆国のサンディエゴに共同研究室を設立し、Sonyが持つイメージセンサーの知見を活用して次世代の優れたカメラの開発を行っていきます。

 

AI Engine面ではLeicaのLeica Leitz Look filtersを導入。プロ品質の写真撮影と動画撮影を実現するために必要とし、動画撮影時の背景のボケ味をSoCレベルできれいに表現できるようになったようです。

 

Snapdragon 8 Gen 1搭載の商用製品は2021年末に登場予定で、Black Shark、Honor、iQOO、Motorola、Nubia、OnePlus、OPPO、Realme、Redmi、SHARP、Sony、vivo、Xiaomi、ZTEなどの企業やブランドが採用するとQualcommが明らかにしています。

 

世界初採用の企業はXiaomiとなる見込みで、Xiaomi 12を近く発表すると明らかにしています。ちなみにXiaomiはXiaomi Mi 11でSnapdragon 888 5Gも初採用しており、また、Xiaomi Mi 10でSnapdragon 865 5Gも初採用しているため、3年連続での初採用になる見込みです。

 

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