MediaTekが本日発表したミドルレンジモデルプロセッサーのMediaTek Helio P35のベンチマークスコアが判明しましたので、様々なSoCと比較を行います。今回の比較はベンチマークスコアを用いていますので、実使用感やバッテリーの持ちを考慮していないことをご注意ください。
Helio P35はHelio P30のアップグレードモデルとなりますので比較を行いたいところですが、驚くことにHelio P30を採用したのはGIONEEのみで、搭載機のアップデートが滞っているのかベンチマークスコアを発見することが出来ませんでした。
名称 | Helio P35 | Snapdragon 625 | Helio P22 | Kirin 659 |
CPU | 4xA53 + 4xA53 | 8xA53 | 8xA53 | 4xA53 + 4xA53 |
クロック数 | 2.3GHz + 1.8GHz | 2.0GHz | 2.0GHz | 2.36GHz + 1.7GHz |
GPU | IMG GE8320 | Adreno 506 | IMG GE8320 | Mali-T830 MP2 |
クロック数 | 680MHz | 650MHz | 650MHz | 900MHz |
製造プロセス | 12nm | 14nm | 12nm | 16nm |
スペックは上図です。Helio P35はbig.LITTLEを採用しており、最大クロック数は2.3GHzで最低クロック数は1.8GHzとなっています。この他Imagination Technologies製GPUを採用しており、ここ最近のMediaTekはこの企業のGPUを採用する事例が増えており、Helio P90やHelio A22にも採用されています。
Helio P35の総合性能が86,000点程度が基本で、Xiaomiの発表どおりSnapdragon 625を上回るスコアを出しています。CPU性能やGPU性能に大きな差がないですが、実使用感を測っている(アニメーションは非考慮)UX性能で大きな差が生まれていますので、滑らかさはHelio P35搭載機の方が上になるでしょう。
総合性能でわずかながらKirin 659を上回りましたが、Kirin 659は2017年Q3に発表された製品なので1年遅れで同等性能というのはコメントが思いつかないです。GPUの性能はHelio P35が上回っていますが、Kirin 659にはゲームの際にGPUを最適化するGPU Turboがあるので一概にHelio P35が優れていると言えません。一応、製造プロセスが微細化しているのでバッテリーの持ちは期待できそうですが、“性能”を考えるのであればHelio P35が後に発表されているから優れていると考えるのは早計でしょう。
Geekbenchではシングルコア性能は980点、マルチコア性能は3,939点という結果になりました。シングルコア性能は最大クロック数が2.3GHzなので2.36GHzのKirin 659にはわずかに及ばず、マルチコア性能は2.3GHz+1.8GHzの構成になっているので2.0GHzのみの構成のSnapdragon 625には及ばずと言った位置づけです。
MediaTek Helio P35はAnTuTuベンチマークやGeekbenchで同等な性能を持つ親しいものはなく、オンリーワンな性能となっているのでMediaTekの開発はうまくいっているという見方ができます。似た性能が存在する場合はどうしても比較されますので、オンリーワンな性能は誇るべきではあります。ただそのオンリーワンな性能が“中途半端”になっているのが問題で、価格を安くしたい場合はHelio P22を、少し高くしたい場合はSnapdragon 632を採用すれば様々な問題を解消することが出来ます。
訳あってSnapdragon 625やSnapdragon 632を採用できない末端のベンダーにとっては嬉しいかもしれませんが、一般ユーザーにとってはそんな問題は関係ないので、何だか中途半端なプロセッサーがリリースされたなぁという印象しかありません。
MediaTekはフラッグシップモデル向けHelio Xの開発を中止してHelio Pの開発に注力したのでHelio P60やHelio P90、Helio P22といった素晴らしいプロセッサーが生まれていますが、今回のHelio P35はいつものMediaTekに戻ってしまったのではないかと思ってしまいます。