UNISOCが「ums9621」を開発中、Arm Cortex-A76の呪縛解けず

UNISOCが「ums9621」を開発中、Arm Cortex-A76の呪縛解けず

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中国のUNISOCが新製品としてums9621を開発していることがGeekbenchによって明らかになりました。同社の製品はエントリーからミドルレンジ向けSoCが多く、今現在ではハイエンド向けSoCを開発した経験がありません。

 

Geekbench 5に登場したums9621を搭載した製品の主なスペックは、Android 13、RAM 6GBとなっています。CPUのスペックは、2.30GHzを2基、2.18GHzを6基の2+6構成を採用しており、発揮された性能はシングルコア性能が552点、マルチコア性能が1,707点で、競合他社製品のSnapdragon 720Gと近い性能を発揮しています。

 

多くのサイトでは新製品の開発を見つけた、という記事で終わると思いますが、本サイトではもう少し詳しく見てみたいと思います。そのため、開発者コードを利用してみると、CPUの識別子が3339なので、2.30GHzを発揮する方はCortex-A76を採用しており、必然的に2.18GHzを発揮する方はCortex-A55を採用していることが判明しました。

 

Cortex-A76は2018年に発表されたArmのCPU IPで、多くの競合他社は新規の採用を控えていっています。ただ、UNISOCは最上位製品のT820にCortex-A76を採用しているため、どんなに最新の製品でもCortex-A76を採用せざるを得ない状況で、これは呪縛にとらわれていると言っても過言ではないでしょう。

 

GPUはMali-G57 MC2で、クロック数は不明です。上位製品のT820やT770はMali-G57 MC4で積載数が多い状態となっているので、今回発見した新製品はミドルレンジ向けのSoCになると考えています。

 

そして、この新製品は面白いことに独自のGovernorとなるuscfreqを採用しており、従来のschedutilを採用していません。そのため、この製品はUNISOCが発揮したい性能を発揮できるように命令されたもので、私が知る限りでは同社では初の試みです。ちなみに、Snapdragon 8 Gen 2はwaltと呼ばれる独自のGovernorを採用しています。

 

ums9621は型番なので、新製品の名称は現時点では不明です。そして、5G対応なのか非対応なのかも不明で、これらの情報に関してはUNISOC公式の正式な発表を待つ他にありません。確実に言えるのはUNISOCが新製品を開発していることで、今後の動向に注目です。

 

 

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