QualcommがSnapdragon 8 Gen 2を発表、電力効率を追求しつつもCPU性能は35%、GPU性能は25%も向上

QualcommがSnapdragon 8 Gen 2を発表、電力効率を追求しつつもCPU性能は35%、GPU性能は25%も向上

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Qualcommは現地時間2022年11月15日にSnapdragon Summit 2022を開催し、新しい旗艦製品としてSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platformを発表しました。

 

今回発表した製品のSnapdragon 8 Gen 2はSnapdragon 8 Gen 1の後継製品で、「Gen 2」は第2世代を表します。今のところ「Gen 1」が2021年、「Gen 2」が2022年となっていますので、2030年まではいつ発表されたのかわかりやすいと思っています。

 

リーク時では、Snapdragon 8 Gen 2はSnapdragon 835を開発した人材が投入され、消費電力に重きをおいて開発が進められていると報道されていました。実際に発表された製品は、PPTでは消費電力に追求する場面が多く見られ、そういった人材が投入されたのは不明ですが、消費電力に重きをおいて開発が進められたのは間違いないでしょう。

 

名称 Snapdragon 8 Gen 2 Snapdragon 8 Gen 1
CPU Kryo

1x Cortex-X3

2x Cortex-A715

2x Cortex-A710

3x Cortex-A510 (2022)

8MB sL3 Cache

Kryo

1x Cortex-X2

3x Cortex-A710

4x Cortex-A510 (2021)

6MB sL3 Cache

動作周波数 3.19GHz+2.80GHz+2.80GHz+2.02GHz 3.00GHz+2.50GHz+1.79GHz
GPU Adreno 740 Adreno 730
動作周波数 818MHz
NPU/DSP Hexagon Hexagon
カメラ Triple 18-bit Spectra Cognitive ISP

2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL)

3.2 Gigapixels per Second

Triple 18-bit Spectra ISP

2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL)

3.2 Gigapixels per Second

リフレッシュレート 60Hz(4K)

144Hz(QHD+)

60Hz(4K)

144Hz(QHD+)

エンコード/デコード Encode: 8K@30FPS/4K@120FPS 10-bit H.265, VP9

Decode: 8K@60FPS H.264, H.265, VP8, VP9, AV1

HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 720p@960FPS

Encode: 8K@30FPS/4K@120FPS 10-bit H.265, VP9

Decode: 8K@60FPS H.264, H.265, VP8, VP9

HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 720p@960FPS

RAM LPDDR5X(4200MHz)

6MB System Level Cache

LPDDR5(3200MHz)

4MB System Level Cache

ストレージ UFS 4.0 UFS 3.1
Wi-Fi FastConnect 7800

Wi-Fi 6E/Wi-Fi 7 (5.8Gbps)

FastConnect 6900

Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E (3.6Gbps)

Bluetooth FastConnect 7800

Bluetooth 5.3

FastConnect 6900

Bluetooth 5.3

位置情報 GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NaviC GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NaviC
通信 統合: X70 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

10Gbps/3.5Gbps

統合: X65 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

10Gbps/3Gbps

充電規格 Quick Charge 5 Quick Charge 5
製造プロセス TSMC 4nm N4 Samsung 4nm 4LPX
型番 SM8550-AB SM8450

Snapdragon 8 Gen 1の他にSnapdragon 8+ Gen 1を並べてほしい方が多いと思いますが、後継製品と従来製品はこの表にしたふたつの製品なので、今回はSnapdragon 8+ Gen 1を含めていません。

 

性能の差を知りたい場合は、Snapdragon 8 Gen 2のAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能が判明した際に比較を行ってはっきりと差をつける予定なので、その記事が公開されるまでは本サイトを応援してほしいです。

 

Snapdragon 8 Gen 2の主なスペックは、製造プロセスがTSMC 4nm N4、CPUが3.19GHzで動作するCortex-X3を1基、2.80GHzで動作するCortex-A715を2基、2.80GHzで動作するCortex-A710を2基、2.02GHzで動作するCortex-A510 (2022)を3基の1+2+2+3構成で、GPUは新しいAdrenoで実際の名称はAdreno 740、RAM規格はLPDDR5Xで動作周波数は4200MHz、内蔵ストレージの規格はUFS 4.0、5G通信はSub-6GHz帯とmmWave対応、Wi-Fi規格はWi-Fi 7対応、Bluetooth規格はBluetooth 5.3対応、急速充電はQuick Charge 5に対応しています。

 

CPUは最大3.2GHzのCortex-X3を採用し、性能は35%向上、電力効率は40%も向上しました。構成としては1+4+3構成と発表していますが、この表記はPrime、Performance、Efficiencyの総数を表しているだけで、実際にはPerformanceの部分は2基のCortex-A715と2基のCortex-A710が含まれているので、正確に記す場合は1+2+2+3構成となります。

 

Cortex-A710の継続採用の理由として32bitのサポートを挙げるメディアもありますが、設計を見直したRefreshed版のCortex-A510は32bitをサポートしているので、Cortex-A710は性能と電力効率を同時に上げるために採用したと考えています。そのため、高性能なCPUはCortex-A715とCortex-A710があるうえに、32bitで構成されたアプリを動作させる際には、高効率はCortex-A510だけでなく高性能なCortex-A710が動作するので、より良い体験を提供してくれると考えています。

 

GPUは新しいAdrenoを採用し、名称はAdreno 740と判明しています。従来製品と比較して性能は25%向上、電力効率は45%も向上し、Vulkan 1.3のサポートを明らかにしました。

 

GPUの大きな特徴としてリアルタイムなハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングに対応しました。これにより、水面の反射や、木漏れ日の微妙な陰影などをよりリアルに表現することが可能になり、よりよりゲーム体験が提供されます。

 

AIの性能は従来製品と比較して4.35倍になり、電力効率は60%も向上しました。さらに、INT4の演算に対応し、INT8と比較して60%も電力効率が向上し、AI推論は90%も高速化しました。

 

ISPそのものに進化は見られませんが、HexagonとISPを接続するCognitive ISPを実現させました。これにより、より繊細な写真・動画が撮影できるとしています。

 

そして、2億画素に関してはサムスン電子のISOCELL HP3がSnapdragonに最適化されており、高画素かつ高品質な写真・動画が撮影できるとしています。従来製品ではあくまでも対応しているという状態でしたが、最適化されているとのことなので、そういった画素数のカメラを搭載した製品でも納得のできる撮影ができると思います。

 

去年の時点で協力を表明していましたが、今回発表したSnapdragon Gen 2でSonyのIMX 800、IMX 989で対応しているQDOL4(Quad-Exposure Digital Overlap)技術を最大限に活用できると発表しました。DOL-HDRと呼ばれる独自の技術です。

 

IMX 989は1型のセンサーで、著名な製品としてXiaomi 12S Ultraが採用しており、優れた撮影ができると有名なので、今後は搭載製品が増えてさらなる高品質な撮影ができるようになるでしょう。

 

Snapdragon 8 Gen 2は世界で初めてWi-Fi 7に対応し、FastConnect 7800を搭載することでピーク速度は5.8Gbpsと発表しました。

 

Wi-Fi 7 ReadyではなくWi-Fi 7に対応していると公式サイトに記載しているので、遠くない未来に優れた体験ができ、人生に深みをもたらしてくれるでしょう。

 

採用する企業はASUS ROG、HONOR、iQOO、Motorola、nubia、OnePlus、OPPO、REDMAGIC、Redmi、SHARP、Sony、vivo、Xiaomi、XINGJI/MEIZU、ZTEと明らかにしました。著名な企業としてBlack Sharkがありますが、何故か今回は採用する企業のリストには含まれていません。

 

主な進化点は以上の通りで、電力効率の向上を追求し、それをアピールするような動きが見られました。消費者としては性能の向上も大事ですが、いかに長く使用できて、発熱が少ないかに注目がいきますので、電力効率を追求することは実際に手にして体験するユーザーのことを考えていると思います。

 

初搭載製品は明らかにされていませんが、中国市場では2022年11月中に発表される予定で、国際市場では来年の2023年1月になると見られています。

 

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