サムスン電子がExynos 2500を発表、3nm GAAプロセス採用

サムスン電子がExynos 2500を発表、3nm GAAプロセス採用

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韓国のサムスン電子は2025年6月23日、新しいSoCとしてExynos 2500を発表しました。GAA (Gate-All-Around)構造を採用した3nmプロセスで製造されています。

 

名称 Exynos 2500 Exynos 2400 Exynos 2200
CPU 1x Cortex-X925

2x Cortex-A725

5x Cortex-A725

2x Cortex-A520

1x Cortex-X4

2x Cortex-A720

3x Cortex-A720

4x Cortex-A520

1x Cortex-X2

3x Cortex-A710

4x Cortex-A510

動作周波数 3.30GHz

2.74GHz

2.36GHz

1.80GHz

3.21GHz

2.90GHz

2.59GHz

1.95GHz

2.95GHz (2.80GHz)

2.70GHz (2.52GHz)

2.10GHz (1.82GHz)

GPU Xclipse 950 8WGP 16CU

(mRDNA 3)

Xclipse 940 6WGP 12CU

(mRDNA 3)

Xclipse 920 3WGP 6CU

(mRDNA 2)

動作周波数 999MHz 1095MHz 1306MHz
NPU/DSP 24K MAC NPU(2-GNPU + 2-SNPU) and DSP 17K MAC NPU(2-GNPU + 2-SNPU) and DSP Dual-core NPU and DSP
カメラ 3億2000万画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3200万画素(ZSL) 3億2000万画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3200万画素(ZSL) 2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL)
リフレッシュレート 120Hz (4K / WQUXGA) 120Hz (4K / WQUXGA) 120Hz (4K / WQUXGA)

144Hz (QHD+)

エンコード/デコード Encode: 8K@30fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps H.265, VP9, AV1

Encode: 8K@30fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps H.265, VP9, AV1

Encode: 8K@30fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps H.265, VP9, AV1

RAM LPDDR5X (4800MHz) LPDDR5X (4266MHz) LPDDR5 (3200MHz)
ストレージ UFS 4.0 UFS 4.0 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 7 (11be) Wi-Fi 6E (11ax) Wi-Fi 6E (11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.4 Bluetooth 5.3 Bluetooth 5.2
位置情報 ? ? ?
通信 統合: 5G Modem (3GPP Rel-17)

Sub-6GHz

(DL: 9.64Gbps / UL: 2.55Gbps)

mmWave

(DL: 12.1Gbps / UL: 3.67Gbps)

LTE Cat.24/22

(DL: 3Gbps / UL: 422Mbps)

統合: 5G Modem (3GPP Rel-17)

Sub-6GHz

(DL: 9.64Gbps / UL: 2.55Gbps)

mmWave

(DL: 12.1Gbps / UL: 3.67Gbps)

LTE Cat.24/22

(DL: 3Gbps / UL: 422Mbps)

統合: 5G Modem (3GPP Rel-16)

Sub-6GHz

(DL: 5.1Gbps / UL: 2.55Gbps)

mmWave

(DL: 7.35Gbps / UL: 3.67Gbps)

LTE Cat.24/22

(DL: 3Gbps / UL: 422Mbps)

充電規格 - - -
製造プロセス Samsung 3nm SF3 Samsung 4nm SF4P Samsung 4nm SF4E
型番 S5E9955 S5E9945 S5E9925
公式サイト Samsung Samsung Samsung

Exynos 2500の主な仕様は、製造プロセスがSamsung 3nm SF3、CPUは最大3.30GHzで動作するCortex-X925と最大2.74GHzで動作するCortex-A725と最大2.36GHzで動作するCortex-A725と最大1.80GHzで動作するCortex-A520を1+2+5+2構成、GPUは最大999MHzで動作するXclipse 950 8WGP、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、モバイルデータ通信は5G NRに対応します。

 

Exynos 2500の注目点として挙げられるのは製造プロセスで、GAA構造を採用した3nmプロセスとなっています。いくつかのメディアでExynos 2500が初めて3nm GAAプロセスを採用したと記載されていますが、本当の最初はExynos W1000です。Exynos 2500と3nmプロセスで「初めて」とつける場合は「スマートフォン向け」という言葉が必要です。

 

CPUはデカコア構成で、サムスン電子は1+7+2構成を採用したと発表しています。この「7」の部分はCortex-A725を意味していますが、実際には最大2.74GHzで動作するものが2基と最大2.36GHzで動作するものが5基のため、動作周波数を基準とした表記にすると1+2+5+2構成になります。これを考慮すると、高性能なものよりも高効率なもののほうが多いです。

 

性能に関してはシングルコア性能のみ言及し、Exynos 2400と比較して15%向上したとしています。Cortex-X925を開発したArmはCortex-X4と比較して36%の性能向上に成功したと発表していますが、それらを採用しているサムスン電子はなぜか半分にも満たない15%の向上と発表し、不可解な状況になっています。そして、サムスン電子はCortex-X925ではなくCortex-X5と誤記載しており、この点に関しては中国語圏・英語圏でなぜ表記を間違ってしまうのかと指摘されています。

 

さらに、気になる点として高効率なCortex-A520をExynos 2500と2400で継続して採用していますが、Exynos 2400では最大1.95GHzに設定されていたのに対し、後継のExynos 2500では最大1.80GHzに下がっているのは不思議です。基本的に同じものを採用する際は動作周波数が上昇する傾向にあるためです。この謎は実機を購入して検証する人にお願いするとしましょう。数値が下がっていても製造プロセスによって性能が向上していれば問題ありません。

 

GPUはAMDのRDNA 3アーキテクチャに基づくXclipse 950を採用し、前作のXclipse 940は6WGP 12CUでしたが今作は8WGP 16CUに増加しました。また、RB (Render Back-end)と呼ばれるものが4RBから8RBに増加しており、この数値については増加すると性能が高くなるようなので増えたのは素晴らしいです。

 

GPUにも気になる部分があり、Exynos 2200からXclipse GPUを採用していますが、新しい製品になるにあたり動作周波数が徐々に減少しています。特にこのExynos 2500は試作段階では1306MHzだった様子がうかがえていますので、何かしらの要因で999MHzに調整されてしまったのでしょう。いろいろと心配です。

 

RAM規格は中国市場でLPDDR5X Ultraと呼称される4800MHz (9600Mbps)に対応しました。規格の進化はGPU性能の向上が期待でき、意外と見過ごされていまいますがかなり重要な点です。

 

Exynos 2500はGalaxy Z Flip7が初搭載する見込みで、Galaxy Z Flipシリーズとして初めてExynosを採用する予定です。これまではQualcommのSnapdragonを採用し、さらにGalaxy Z Flip6とZ Flip5ではfor Galaxyという特別なものを搭載していました。そのため、Galaxy Z Flip7は今後のExynosを決定づける製品になる可能性があります。

 

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