MediaTek Helio G70、G90T、P90、P70、P65、P60を比較。複雑な命名方式に混乱を生む可能性

MediaTek Helio G70、G90T、P90、P70、P65、P60を比較。複雑な命名方式に混乱を生む可能性

2020年2月7日
注:当サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

追記(2020年2月8日):データに誤りがあったため、修正を行いました。

 

MediaTek Helio G70(MT6769)のベンチマークスコアが判明したので既に搭載機が販売されている、Helio G90T(MT6785)、Helio P90(MT6779)、Helio P70(MT6771T)、Helio P65(MT6768)、Helio P60(MT6771)をAnTuTu Benchmark v8とGeekbench v5で簡単に比較します。

今回の比較はあくまでもベンチマークスコアを用いているので、バッテリーの持ちやUIなどにおける操作感は考慮していないことをご留意ください。

 

スペックはこのようになります。全て製造プロセスは12nm FinFETを採用しており、QualcommやSamsung、Huawei(HiSilicon)が採用している10nmや8nmを未だに採用していません。古い製造プロセスを採用することで価格を抑えている可能性が高く、その場合であれば低価格ながら問題の出ない性能を発揮するSoCを上手に開発していると考えられますが、技術的に12nm製造プロセスしか採用できないのであれば話は変わってきます。ただ、Dimensity 1000シリーズDimensity 800シリーズの誕生によって、意図的に古い製造プロセスを採用している可能性が高いと考えられ、上手に開発を行っているでしょう。

 

AnTuTu Benchmark v8での性能はHelio G90T(290,490点)>Helio P90(216,877点)>Helio P70(195,484点)>Helio G70(191,972点)>Helio P65(184,627点)>Helio P60(176,818点)の順番になりました。CPUやGPUに採用しているコアを見るとその性能はしっかりと順番通りになっており、特にHelio G70とHelio P65は同じスペックですがHelio G70はゲーミング(Gaming)に特化したHelio Gシリーズに属し特徴的な機能としてMediaTek HyperEngine Game Technologyを搭載しているため、GPU性能に正しく差が生まれています。

現状Helio G90Tに対するHelio Pシリーズが存在していませんので、MediaTekはまだ隠し玉を持っているかもしれません。

 

Geekbenchでのシングルコア性能はHelio G90T(490点)>Helio P90(391点)>Helio P65(352点)>Helio G70(350点)>Helio P70(314点)>Helio P60(303点)となっています。マルチコア性能は順番が変わってHelio G90T(1,618点)>Helio P90(1,483点)>Helio P70(1,454点)>Helio P60(1,445点)>Helio P65(1,276点)>Helio G70(1,259点)となっています。

Helio G70とHelio P65のマルチコア性能が低いのはLITTLEコアが1.7GHzになっている点で、その他は2.0GHzになっているので総合的な性能で見ると周波数の高いSoCの方が優れています。

 

Helio P90、Helio P70、Helio P65、Helio P60と性能と名前が一致しており、わかりやすい命名方式を採用しています。GシリーズでもHelio G90TとHelio G70は性能と名前が一致しているのでわかりやすいですが、PシリーズとGシリーズの名前が似ており、特にHelio G70はHelio P70ではなくHelio P65のゲーミングモデルなので、このあたりで混乱を生みそうです。Helio G65にすれば誰にでもわかるので、命名方式を改めてほしいと思います。

 

幸いにも日本市場はQualcomm Snapdragon搭載機が多く、MediaTek Helio搭載機はある程度の知識が持っていないと見つけることが出来ないスマートフォンが多いので、この命名方式によって損をしてしまう人は限りなく少ないでしょう。ただ、世界市場となると混乱が起きており、MediaTekは誰にでもわかる正しい命名方式を採用すべきではないかと思います。Helioシリーズよりも性能の高いDimensityシリーズでは間違った命名方式を採用しないでほしいと切に願っています。