中国のHuaweiは2024年9月19日、新製品としてHUAWEI MatePad Pro 12.2"とHUAWEI MatePad 12 Xを国際市場向けに発表し、それぞれの製品にKirin T91とKirin T90Aを搭載していることを明らかにしました。しかし、このKirin T91とKirin T90Aは本来の力を発揮できないかもしれません。
Huaweiは昨年の今ごろから、自社開発したTaiShan CPUを搭載したKirinを製品に搭載しています。このTaiShan CPUは大変めずらしい機能のSMT (同時マルチスレッディング)に対応しており、Kirin 9000SやKirin 9010は8コア・12スレッドになっています。詳しいことは割愛しますが、これによって8コア・8スレッドの製品よりもマルチコア性能が高くなる利点があります。
しかし、Kirin T91とKirin T90AはTaiShan CPUを採用しているものの、なぜか同時マルチスレッディングが機能していない状態になっていることがわかりました。上の画像は国際市場向けと中国市場向けのHUAWEI MatePad Pro 12.2"のGeekbenchでの計測結果で、Kirin T91のほうがマルチコア性能が低くなっていることがわかると思います。やはり、同時マルチスレッディングが機能していないことでこういった結果になりました。
同様に、Kirin T90Aを搭載したHUAWEI MatePad 12 XとKirin 9000Wを搭載したHUAWEI MatePad Airを比較した画像を作成しました。やはり、こちらでもKirin T90Aの同時マルチスレッディングが機能していないことでマルチコア性能に差があり、本来の力を発揮できていません。
Huaweiがなぜ、自社の強みでもあるTaiShan CPUを採用したKirinの同時マルチスレッディングを国際市場では有効化しないのか不明です。ただ、ひとつわかることは、Huaweiがこの機能を有効化するメリットよりもデメリットが大きいと判断したことです。
同社は日本市場では2023年8月24日にHUAWEI MatePad 11.5"を発表していますが、SMIC製Kirinを搭載した製品を発表していません。そのため、Kirin T91やKirin T90Aを搭載した製品が発表されるのか現段階では予想できませんが、もし発表された場合はTaiShan CPUの強みである同時マルチスレッディングが機能しているのかいないのかを確認してから購入することをおすすめします。