HuaweiがKirin 9010Wを静かに中国市場に投入、モバイルデータ通信に非対応

HuaweiがKirin 9010Wを静かに中国市場に投入、モバイルデータ通信に非対応

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中国のHuaweiは2024年8月6日に新製品発表会を開催し、HUAWEI MatePad Pro 12.2を発表しました。今回、その製品がまったく新しいKirin 9010Wを搭載していましたので、すでに市場に投入されているいくつかの製品と比較します。

 

名称 Kirin 9010 Kirin 9010W Kirin 9000W
CPU 1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

動作周波数 2.30GHz

2.18GHz

1.55GHz

2.19GHz

2.18GHz

1.55GHz

2.49GHz

2.15GHz

1.53GHz

GPU Maleoon 910 4CU Maleoon 910 3CU Maleoon 910 3CU
動作周波数 750MHz 750MHz 750MHz
NPU/DSP Da Vinci Architecture 3.0 (?)

1x Ascend Lite

1x Ascend Tiny

Da Vinci Architecture 3.0 (?) Da Vinci Architecture 3.0 (?)
カメラ Kirin ISP 7.0 (?) Kirin ISP 7.0 (?) Kirin ISP 7.0 (?)
リフレッシュレート ? ? ?
エンコード/デコード ? ? ?
RAM LPDDR5 (3200MHz) LPDDR5 (3200MHz) LPDDR5 (3200MHz)
ストレージ UFS 3.1 UFS 3.1 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 6 (11ac) Wi-Fi 6 (11ac) Wi-Fi 6 (11ac)
Bluetooth Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2
位置情報 GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC ? ?
通信 - - -
充電規格 HUAWEI SuperCharge HUAWEI SuperCharge HUAWEI SuperCharge
製造プロセス SMIC 7nm N+2 SMIC 7nm N+2 SMIC 7nm N+2
型番 ? ? ?

静かに登場したKirin 9010Wの主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+2、CPUは最大2.19GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.18GHzで動作するTaiShan-Midと最大1.55GHzで動作するCortex-A510 Refreshedを1+3+4構成で採用、GPUは最大750MHzで動作するMaleoon 910 3CU、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は非対応です。

 

製品名称末尾の「W」は無線LAN (WLAN)やWi-Fiを意味していると考えており、この文字が付与されている製品は例外なくモバイルデータ通信に非対応です。

 

CPUは超高性能なTaiShan-Bigが最大2.49GHzから最大2.19GHzに下がっていますが、実は性能は向上しています。数値が下がっているのに性能が向上しているからくりは、TaiShan-Bigそのものの進化が行われていることが関係しています。そのTaiShan-Bigの識別子に注目すると、それぞれの元の製品となるKirin 9010は72_3331、Kirin 9000Sは72_3330となっています。

 

この「1」の違いは、Kirin 9010とKirin 9000Sの採用したTaiShan-Bigが違うものであることを意味しており、もっと簡単に表現すると進化したことを意味しています。実際にその違いは性能に出ており、Kirin 9000Sは最大2.62GHzで動作する一方でKirin 9010は最大2.30GHzで動作しますが後者のほうが性能が高いです。そのため、Kirin 9010は0.32GHzも下がっているのに性能が高いことを考えると、0.30GHzの差になっているKirin 9010Wは確実に性能が高いことになります。

 

そして、この自社開発されたTaiShan CPUは大変めずらしくSMT (同時マルチスレッディング)に対応しています。そのため、TaiShan-BigおよびTaiShan-Midは1コア・2スレッドとなり、Kirin 9010Wは正しく表記すると8コア・12スレッドの製品です。

 

GPUは共通して自社開発したMaleoon 910 3CUを採用し、最大750MHzで動作するところも共通しているので理論上は同じ性能を発揮します。

 

現時点で判明している違いはCPUのみで、そのCPUも一見すると性能が下がっているように見えますが、実際には性能が向上しているといった製品となっています。よく知っている数字だけを見ると損をします。

 

Kirin 9010Wを初搭載した製品は前述の通り、HUAWEI MatePad Pro 12.2 (通常版と柔光版)です。8月13日より中国市場で販売を開始しており、人気のある製品です。

 

容量は、通常版が12GB+256GBと12GB+512GB、柔光版は12GB+256GBと12GB+512GBと16GB+1TBを用意しています。価格は通常版が4299元 (約88,000円)から、柔光版が4899元 (約100,000円)からに設定されています。

 

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