Kirin 9000とKirin 9000E、Kirin 9000Lを比較

Kirin 9000とKirin 9000E、Kirin 9000Lを比較

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Huawei Mate 40E Pro 5G(NOH-AN50)が搭載したKirin 9000LのAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能が明らかになったので、上に位置するKirin 9000とKirin 9000Eと比較します(時々Kirin 990 5Gが出てきます)。Kirin 9000Lは2月に発表されたので、現状はHuaweiの最新SoCです。

 

Kirin 9000Lの主な仕様は、プロセス技術はTSMC N5、CPUは1xCortex-A77 3.13GHz+2xCortex-A77 2.54GHz+3xCortex-A55 2.05GHz、GPUはMali-G78 MP22 @周波数不明、RAM規格はLPDDR5(2750MHz)、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、5G通信はBalong 5000を統合しSub-6GHzとmmWaveが利用できます。

 

CPUはKirin 9000と比較すると2.54GHzのCortex-A77が1基、2.05GHzのCortex-A55が1基減少し、GPUはMali-G78 MP24からMali-G78 MP22へ減少しています。CPUは構成が変わったので性能が下がるのは確定ですが、GPUは周波数が特定できていないので上がるのか下がるのか不明です。

 

この他、NPUにも変化があり、Kirin 9000は2xAscend Lite+1xAscend Tinyですが、Kirin 9000Lは1xAscend Lite+1xAscend Tinyへ減少しています。KirinのNPUは写真や動画の性能に直結するため、同じ5000万画素でもKirin 9000がより美しく撮影できます。

 

Kirin 9000とKirin 9000Lの間にKirin 9000Eがあり、Kirin 9000との変更点は、GPUがMali-G78 MP22へ減少、NPUが1xAscend Lite+1xAscend Tinyへ減少しています。

 

これまでの情報を総括すると、規格適合品がKirin 9000、選別品がKirin 9000E、選別品の選別品がKirin 9000Lです。そのため、Kirin 9000LのGPUの動作周波数はKirin 9000とKirin 9000Eと同じ759MHzが濃厚ですが、AnTuTu Benchmark v9では少し異なった結果が出ていますので、興味のある方はもう少し読み進めてください。

 

見慣れない英字があると思うので解説すると、(P)はPerformance Mode、(N)はNormal Modeを表しています。HuaweiはBM Mode事件を経て、電池の消耗は早いが高性能を発揮するPerformance ModeとHuaweiが推奨するNormal Modeの選択が可能になりました。

 

Kirin 9000L(P)のAnTuTu Benchmark v9の性能は、CPU性能が184,285点、GPU性能が322,799点、MEM性能が146,555点、UX性能が138,675点で総合性能は792,314点となりました。Kirin 9000(P)の総合性能が791,668点なので同等の性能、Kirin 9000E(P)が742,807点なのでKirin 9000Lが優位に立ちました。

 

CPU性能の注目すると、Kirin 9000は199,093点、Kirin 9000Eは194,547点、Kirin 9000Lが184,285点なので、仕様通りの性能が発揮されていると感じます。本当はKirin 9000とKirin 9000Eは同じ性能が発揮されるべきですが、散熱機構の差で少しだけ優位に働いたと考えています。

 

GPU性能は、Kirin 9000は304,662点、Kirin 9000Eは284,250点、Kirin 9000Lが322,799点なので、動作周波数が759MHzよりも高い可能性があります。仮に同じ動作周波数だった場合は私の理解を超えていますので、より詳しい方の検証が必要だと思います。

 

ちなみに、Kirin 9000L(N)の性能は、CPU性能が154,356点、GPU性能が248,465点、MEM性能が136,034点、UX性能が122,175点で総合性能は661,030点で、Kirin 990 5G(P)の総合性能が580,152点のため、(N)の場合でも欠けた製品ですが従来の製品より優れた性能を発揮しています。

 

CPU性能を計測するGeekbench 5では、(P)はシングルコア性能が973点、マルチコア性能は2,879点、(N)は887点と2,537点となりました。

 

Kirin 9000(P)はシングルコア性能が1,013点、マルチコア性能が3,675点なので、Kirin 9000Lの性能はシングルコア性能は約96%、マルチコア性能は約78%程度となります。シングルコア性能の差は「何か欠けている」が原因の可能性が高く、マルチコア性能の差は2.54GHzのCortex-A77が1基、2.05GHzのCortex-A55が1基、明確に減少しているのが原因です。

 

Kirin 9000E(P)はシングルコア性能が992点、マルチコア性能が3,659点なので、Kirin 9000と同様の差が発生しています。Kirin 9000Lはマルチコア性能に大きな差を抱えているので、Kirin 9000やKirin 9000Eと同様の操作をすると違いが生まれてくるでしょう。

 

ちなみに、Kirin 990 5G(P)のシングルコア性能は772点、マルチコア性能は3,186点なので、「欠けた」ことが原因でマルチコア性能はKirin 9000Lの方が低いです。ただ、NPUやISPの性能はKirin 9000Lが優れるため、写真撮影や動画撮影においては優位性が存在します。また、GPUの性能も圧倒的な差があるので、総合的に見るとKirin 990 5GよりもKirin 9000Lが優れていると思います。

 

Kirin 9000Lの最大の疑問はGPUの動作周波数です。動作周波数がKirin 9000やKirin 9000Eと異なって上昇している場合は「選別品なのに上昇した理由」が気になりますし、同じ場合は「性能が向上した理由」が気になりますし、減少していた場合も同様に「性能が向上した理由」が気になります。Huaweiは搭載製品のKernel Sourceを公開していない上、私自身が実機を所有していないので動作周波数の特定が出来ません。

 

搭載機は高性能な製品故に価格が高く設定され、中国市場専売なので入手難度が高く、「そのため」だけに購入する気も起きないので、Kirin 9000LのGPUの動作周波数な謎のままになると思います。「どうしても気になる」という方は自身で入手し、私に連絡していただけると幸いです。