Snapdragon 8+ Gen 1とSnapdragon 778G+ 5Gの性能を比較、Nothing Phoneが採用したSoC

Snapdragon 8+ Gen 1とSnapdragon 778G+ 5Gの性能を比較、Nothing Phoneが採用したSoC

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日本市場でNothing Phone (2)の販売が始まったので、前作のNothing Phone (1)が搭載していたSnapdragon 778G+ 5Gと現行のNothing Phone (2)が搭載しているSnapdragon 8+ Gen 1の性能を比較したいと思います。

 

Nothing Phone (2)を買うべきかNothing Phone (1)を買うべきかを迷っている方は、この記事を読んで少しでもいい選択につながればいいと思っています。ただ、「Nothing Phone」を構成しているのはSoCだけでなく、ディスプレイやカメラ、本体のデザインなど複数の要素が絡み合っているので、あくまでもひとつの参考として捉えてくれるとうれしいです。

 

実は現在、Snapdragon 8+ Gen 1は2種類のモデルがあり、SoC関係に詳しい人々の間では最大3.19GHzのモデルを「通常版」、最大3.00GHzのモデルを「低クロック版」という名称を頭につけてわかりやすく表現し、違いがわかるようにしています。

 

2種類のSnapdragon 8+ Gen 1の共通するスペックは、製造プロセスはTSMC 4nm N4、CPUはKryoでCortex-X2を1基、Cortex-A710を3基、Cortex-A510を4基の1+3+4構成、GPUはAdreno 730、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、5G通信に対応しSub-6GHz帯とmmWave (ミリ波)をサポート、この他の通信はWi-Fi 6EとBluetooth 5.3をサポートします。

 

これらのモデルで異なるのはCPUのクロック数で、通常版は3.19GHzと2.75GHz、2.02GHzに設定されていますが、低クロック版は3.00GHzと2.50GHz、1.80GHzに設定されているため、すべてのコアのクロック数が下げられています。

 

そのため、CPUの性能は確実に差が生まれるので、Snapdragon 8+ Gen 1が2種類あると知っていないと、自分の所有しているデバイスが本来の性能を発揮していないと勘違いする可能性もあります。この記事を読むことで、2種類あることを知っている人をひとりでも増やせたらいいなと思っています。

 

ちなみに、この低クロック版のSnapdragon 8+ Gen 1は通常版のSnapdragon 8+ Gen 1の規格不適合品を選別したものではないかと推測されていますが、現時点でQualcommからの正式な発表はないので、あくまでも「選別品の可能性が高い」という状態になっています。

 

GPUのAdreno 730は共通して最大900MHzに設定されているので、通常版と低クロック版の違いはCPUのクロック数のみとなります。理論上は同じGPU性能を発揮するため、もしかするとゲームをプレイする際は通常版よりも低クロック版の方が安定するかもしれません。

 

ちなみに、最新作のNothing Phone (2)が搭載しているSnapdragon 8+ Gen 1は、Cortex-X2が最大3.00GHzに設定されている低クロック版です。悪質なメディアでは通常版と同じ数値が記載されていたりするので、この記事を読んでどちらのSnapdragon 8+ Gen 1を搭載しているのか正しく認識してほしいと思います。

 

Nothingが低クロック版を採用した本当の理由はわかっていませんが、低クロック版は通常版と比べて供給価格がわずかに低いとされていますので、Nothing Phoneの特徴的なデザインとなるGlyph Interface (グリフ・インターフェイス)を進化する余裕が少しだけ生まれます。それが功を奏したのか不明ですが、Nothing Phone (2)はPhone (1)よりもセグメントが増えて多機能になり、利便性が格段に向上しました。

 

Nothing Phone (2)が搭載した低クロック版のSnapdragon 8+ Gen 1のAnTuTu Benchmark v10 OBの性能は、CPU性能が364,651点、GPU性能が489,657点、MEM性能が242,791点、UX性能が255,775点で総合的な性能は1,352,874点となりました。

 

通常のSnapdragon 8+ Gen 1の性能と比較すると、総合的な性能は約1.0%劣り、CPU性能は約2.2%劣り、GPU性能は約0.3%優れました。GPU性能はほぼ同じで、差がついたCPU性能も約8,000点で、エントリーからミドルレンジではこの差は大きいですが、ハイエンドにおいては誤差の範囲となります。もちろん、この数値が示す通り低クロック版の方が低く算出されていますが、劇的に操作感が変わることはないのであまり影響はないと考えてもいいでしょう。

 

前作のNothing Phone (1)が搭載したSnapdragon 778G+ 5Gと比較すると、総合的な性能は約102.7%、CPU性能は約65.5%、GPU性能は約214.0%の成長に成功しています。搭載したSoCの位置がSnapdragon 7シリーズからSnapdragon 8シリーズに変更されたので、このような成長ができたのは当然といえば当然なのかもしれませんが、Nothing Phone (1)とPhone (2)の市場での位置がまったくの別物となりました。

 

Nothing Phone (2)が搭載した低クロック版のSnapdragon 8+ Gen 1のGeekbench 6での性能は、シングルコア性能は1,764点、マルチコア性能は4,689点となりました。このGeekbench 6はAnTuTu Benchmarkとは異なって基準点が設定されており、2022年1月に発表されたPC向けCPUのIntel Core i7-12700のシングルコア性能が2,500点に設定されています。そのため、このCPUを基準として倍の計測時間であれば1,250点、半分の計測時間であれば5,000点となりますので、基準点が設定されていることで自分が所有するデバイスのCPUがどの程度の性能なのかわかりやすくなっています。

 

通常版のSnapdragon 8+ Gen 1と比較すると、シングルコア性能は約5.2%、マルチコア性能は約5.0%劣る結果となりました。シングルコア性能は今回の場合は高性能側のCortex-X2の性能を計測しており、通常版は3.19GHzで低クロック版は3.00GHzなので正しく差が発生しました。しかし、約5.2%の違いを体感するのは極めて難度が高いので、実際のところはそれほど差がないと認識してもいいかもしれません。

 

マルチコア性能はCortex-X2だけでなく、高性能側のCortex-A710、高効率側のCortex-A510の総合的な性能を計測し、特に3基のCortex-A710が2.75GHzから2.50GHzに減少したのでしっかりと差がつく結果になりました。マルチコア性能は約5.0%の差でシングルコア性能と同等の差となっていますが、こちらは残念ながら誤差ではなく、通常版と同じ操作をしたときに少しだけ違いを感じることができるかもしれません。ただ、その違いを感じるには通常版と低クロック版を横に並べて同じ操作をする必要があるため、あまり気にする必要はないでしょう。

 

Nothing Phone (2)とNothing Phone (1)が搭載したSoCの性能を簡単に比較してみました。前作となるNothing Phone (1)はSnapdragon 778G+ 5Gを搭載したことでミドルハイとして市場に出ましたが、最新作のNothing Phone (2)は高性能な低クロックのSnapdragon 8+ Gen 1を搭載したことでハイエンド (もしくは準ハイエンド)として市場に出ました。

 

そのため、Nothing Phone (2)とPhone (1)の製品の位置が変更されているため、それほど高い性能は必要ないという方は前作のPhone (1)を、高い性能を無駄なく使う予定だという人は最新作のPhone (2)を購入するといいでしょう。

 

偉そうに講釈を垂れましたが、面白いことに日本市場ではNothingが努力したおかげか最新作のPhone (2)と前作Phone (1)の価格差があまりなく、Phone (2)の8+128GBモデルは79,800円 (税込)の一方で、Phone (1)の8+128GBモデルは73,800円 (税込)に設定され、わずか6,000円しか違いがありません。(注意: Phone (1)はブラック限定、Phone (2)はグレー限定で、いずれも公式サイト専売)

 

つまり、「Nothing Phone (1)が絶対に欲しい」という方はそれをおすすめしますし、それを買うほうが満足できると思いますが、「Nothingの製品が欲しい」という方は絶対に最新作のNothing Phone (2)をおすすめします。それは、Phone (1)からPhone (2)のわずか1年で性能が倍以上上昇しているためです。