Dimensity 7500のベンチマークスコアが判明、CPU性能は積極的に向上・GPU性能は控えめに向上

Dimensity 7500のベンチマークスコアが判明、CPU性能は積極的に向上・GPU性能は控えめに向上

注:当サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

vivo S60 元気版が初搭載したDimensity 7500のベンチマークスコアが判明したので、1世代前のDimensity 7400、2世代前のDimensity 7300と比較します。この比較にDimensity 7350を加えるべきか最後まで悩みましたが、後述する理由で加えずに比較することに決めました。

 

今回の性能の比較にあたり、AnTuTu BenchmarkとGeekbenchで算出された性能を利用しています。前者のAnTuTuは開発元がiOSとAndroidの異なるOSでの比較ができないと発表しているので、お手持ちのiPhoneで算出された性能を比較するのはお控えください。なお、後者のGeekbenchは異なるOSでの比較が可能なので、こちらは是非とも比較してください。

 

2026年5月に発表されたDimensity 7500の主な仕様は、製造プロセスがTSMC 4nm N4P、CPUが最大2.60GHzで動作するC1-Proと最大2.00GHzで動作するC1-Nanoを4+4構成で採用、GPUはMali-G625 MC2、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gをサポートします。

 

Dimensity 7400や7300と比較すると、CPUはCortex-A78から5世代進みC1-Proに、Cortex-A55から3世代進みC1-Nanoになり、GPUは2世代進みMali-G625に刷新され、大幅に進化しています。一応、高効率側はCortex-A510が1回の改良、Cortex-A520も1回の改良が行われているので、高性能側と同じく5世代進んでいると解釈してもいいですが、Armは世代更新としていないのでその方針に則って3世代進んでいることにしています。

 

この比較にDimensity 7350を加えなかった理由は、Dimensity 7350がDimensity 7200のオーバークロック版で、そのDimensity 7200のCPUはCortex-A715とCortex-A510を2+6構成で採用しており、Dimensity 7300と同じラインの製品ではないと考えたからです。東京スカイツリーの高さと麻布台ヒルズの高さを比較するようで、確かに「高さ」の部分では比較できますが建造物としての役割が違うから比較は不適当と思うのと同じです。

 

Dimensity 7500のAnTuTu v11における性能は、CPU性能が435,266点、GPU性能が188,560点、MEM性能が194,335点、UX性能が343,999点で、総合性能は1,162,160点 (約116万点)となりました。Dimensity 7400でも100万点を超えることは可能ですが、安定して超えるという点ではDimensity 7500が初めて100万点を超えるSoCと言えそうです。

 

CPU性能に注目すると、Dimensity 7400から約22.3%向上、Dimensity 7300から約27.8%向上しました。Cortex-A78からC1-Proに世代が進んだ割には成長がいまいちと思うかもしれませんが、製造プロセスが共通で動作周波数も同じなのにこれほどの差が発生しているのはかなりの進化です。ちなみに、最大3.00GHzで動作するCortex-A715と最大2.00GHzで動作するCortex-A510を組み合わせているDimensity 7350のCPU性能は約39万点なので、それよりも低い動作周波数で高い性能を発揮しています。

 

GPU性能に注目すると、Dimensity 7400から約19.2%向上、Dimensity 7300から約45.4%向上しました。Dimensity 7400と比較すると3万点近く伸びているので確実に性能向上していますが、上の図を見るとわかるとおりDimensity 7300のGPUを253MHz引き上げたDimensity 7400の向上幅と同じです。両SoCがそれぞれ採用しているMali-G615とMali-G625の間にはMali-G620があるので2世代進んでいることになりますが、それを実感することが出来ない消極的な性能向上をしており非常に残念です。ちなみに、Dimensity 7350のGPU性能は18万点を超えない程度のため、これよりは高い性能を発揮しています。

 

Geekbench 6におけるDimensity 7500の性能は、シングルコア性能が1,255点で、マルチコア性能が3,490点となりました。Geekbench 6には基準点が設定されており、Intel Core i3-8100のシングルコア性能が1,000点となっています。

 

シングルコア性能に注目すると、Dimensity 7400から約15.2%向上、Dimensity 7300から約19.5%向上しました。Dimensity 7300から7400の向上幅が約3.7%であることを考えると大幅な向上を達成しており、実はこの性能は2019年12月に発表されたSnapdragon 865 5Gよりも高いです。流石にSnapdragon 888 5Gよりは低いですが、Dimensity 7500がミドルレンジ向けであることを考慮すると、そういった段階に来ていることを実感できると思います。

 

マルチコア性能に注目すると、Dimensity 7400から約14.2%向上、Dimensity 7300から約17.5%向上しました。シングルコア性能より伸び幅が狭くなっていますが、これは高効率側の3世代しか進化していないことが関係しています。高性能なコアは高い性能を発揮するために消費電力が大きくてもある程度は許容されますが、高効率なコアは消費電力が大きくなることは絶対に許されず、いい感じの性能を低い電力で発揮することを求められているので進化しづらい傾向にあります。そのため、Cortex-A55から3世代進んでC1-Nanoを採用していますが、シングルコア性能よりも伸びが小さくなっています。

 

今回の比較をまとめると、Dimensity 7500は最新のArm Lumex CSSをCPUに採用することでDimensity 7400及び7300から数世代も進化し、新たな時代を切り開きました。いい意味で「Dimensity 7000シリーズらしさ」を捨てましたので、Dimensity 7400と変わらないだろうと思っている人は是非この記事を読んでその認識を捨ててください。

 

Dimensity 7500は2026年5月に発表されたので記事執筆時点では約2ヵ月が経過しています。しかし、現時点では搭載した製品はvivo S60 元気版のみで、XiaomiやOPPO、Honorなどは採用していません。可能性としてはC1-ProやC1-Nanoのライセンス料が高く、それによってDimensity 7500のコストパフォーマンスがDimensity 7400を下回っていることで採用を見送っているのかもしれません。ただ、今回の比較を見ると純粋な性能は高く体験も大きく向上すると思うので、コスト面は重大な問題ですがどうにか頑張っていただきたいです。

 

 

Source(1) | (2) | 参考(1) | (2)