台湾のMediaTekは2026年5月28日、新SoCとしてDimensity 7500を発表しました。同社はリリース記事を書くことなくひっそりと公式サイトに掲載しましたが、それではもったいない魅力的なSoCなので是非ともこの記事を読んで存在を覚えてほしいです。
| 名称 | Dimensity 7500 | Dimensity 7400 | Dimensity 7300 |
| CPU | 4x C1-Pro
4x C1-Nano |
4x Cortex-A78
4x Cortex-A55 |
4x Cortex-A78
4x Cortex-A55 |
| 識別子 | 65_3467
65_3466 |
65_3393
65_3333 |
65_3393
65_3333 |
| リビジョン | ?
? |
r1p0
r2p0 |
r1p0
r2p0 |
| 動作周波数 | 2.60GHz
2.00GHz |
2.60GHz
2.00GHz |
2.50GHz
2.00GHz |
| GPU | Mali-G625 MC2 | Mali-G615 MC2 r1p3 | Mali-G615 MC2 r1p3 |
| 動作周波数 | ? | 1300MHz | 1047MHz |
| NPU/DSP | NPU 850 | NPU 655 | NPU 655 |
| カメラ | 14-bit Imagiq 1050 HDR-ISP
2億画素 |
12-bit Imagiq 950 HDR-ISP
2億画素 |
12-bit Imagiq 950 HDR-ISP
2億画素 |
| リフレッシュレート | 144Hz (1344x2800) / Primary
120Hz (1300x1200) / Secondary |
120Hz (WFHD+)
144Hz (FHD+) |
120Hz (WFHD+)
144Hz (FHD+) |
| エンコード/デコード | Encode: 4K@30fps H.265, H.264
Decode: 4K@30fps H.265, H.264, VP9 |
Encode: 4K@30fps H.265, H.264
Decode: 4K@30fps H.265, H.264, VP9 |
Encode: 4K@30fps H.265, H.264
Decode: 4K@30fps H.265, H.264, VP9 |
| RAM | LPDDR5 (6400Mbps) | LPDDR5 (6400Mbps)
LPDDR4X (4266Mbps) |
LPDDR5 (6400Mbps)
LPDDR4X (4266Mbps) |
| ストレージ | UFS 3.1 | UFS 3.1
UFS 2.2 |
UFS 3.1
UFS 2.2 |
| USB | ? | ? | ? |
| Wi-Fi | Wi-Fi 6E (11ax) | Wi-Fi 6E (11ax) | Wi-Fi 6E (11ax) |
| Bluetooth | Bluetooth 5.4 | Bluetooth 5.4 | Bluetooth 5.4 |
| 位置情報 | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC |
| 通信 | 統合: 5G Modem (Release-17)
Sub-6GHz (DL: 5.2Gbps) |
統合: 5G Modem (Release-16)
Sub-6GHz (DL: 3.27Gbps) |
統合: 5G Modem (Release-16)
Sub-6GHz (DL: 3.27Gbps) |
| 充電規格 | - | - | - |
| 製造プロセス | TSMC 4nm N4P (?) | TSMC 4nm N4P | TSMC 4nm N4P |
| 型番 | MT6881 | MT6878T | MT6878 |
| 公式サイト | MediaTek | MediaTek | MediaTek |
新たに発表されたDimensity 7500の主な仕様は、製造プロセスがTSMC 4nm N4P (?)、CPUは最大2.60GHzで動作するC1-Proと最大2.00GHzで動作するC1-Nanoを4+4で搭載、GPUはMali-G625 MC2、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gをサポートします。
見逃せない特徴はCPUで、2025年9月に発表された最新CPU IPのC1-ProとNanoを採用しています。現在、ミドルハイ向けSoCでC1シリーズのCPUを搭載しているものはないので業界初となりますが、これをMediaTekは静かに発表しました。また、Dimensity 7500が発表されるまでC1-Nanoはどの企業も採用しておらず、これは特定のランクではなくそもそもの採用が世界初となります。
ビッグコアとして採用しているC1-ProはCortex-A725の後継IPで、1世代前のDimensity 7400がCortex-A78を採用しているため、Cortex-A710やA720、A725といった3世代を飛ばしました。この進化によって、アーキテクチャがArmv8.2-AからArmv9.3-Aに変わり、32-bitのサポートが終了してAArch64 Onlyとなりました。古い32-bit環境で動作するように開発されていたオリジナルのFlappy Birdなどが動作しなくなります。
Armによると、C1-Proの性能はCortex-A725と比較して16%向上し、電力効率は12%向上しているようです。リトルコアとして採用されたC1-NanoはCortex-A520の後継で、性能向上幅は不明ですが、電力効率は26%も向上したと発表されています。かなりの進化が期待できそうです。

残念なことにMediaTekは、公式サイトでDimensity 7500のCPU性能がDimensity 7400からどの程度向上したのか言及していません。しかし、幸いなことに初採用したvivoが公開しており、その情報によるとシングルコア性能は24%、マルチコア性能は21%も向上したようです。
MediaTekが明らかにしているDimensity 7400からDimensity 7500の向上幅は、ビデオトランスコードが68%高速、ファイルの転送速度が40%向上、アプリの切り替えが30%高速、ゲームの読み込みが19%短縮、アプリのインストール速度が11%向上、アプリの新規起動が11%高速、日常的に利用するアプリで電力効率が5%から9%向上、ゲームで電力効率が4%から7%向上の8項目です。

いろいろと進化していますが残念なことに、C1-ProとC1-NanoはSME2 (Scalable Matrix Extension 2)に対応していますが、Geekbenchの計測結果を見る限りDimensity 7500は非対応です。対応するとAI性能の向上が期待できますが、製品の位置を考慮したのでしょうか。対応していなくてもそれほど問題はないですが、事実として書いておきます。
GPUはMali-G625を採用しており、Dimensity 7400がMali-G615を採用しているのでMali-G620を飛ばしました。ArmはCPUのC1-ProやC1-Nanoと同時に、GPUもMali G1シリーズを発表しており、Mali-G625の後継IPがMali G1-Proですが、MediaTekは採用を見送っています。採用を見送った理由は不明ですが、Mali-G620を飛ばしていることは紛れもない事実なので大幅な性能向上が期待できます。
ISPは12-bitから14-bitに変わり、扱える色の数が約687億色から約4兆4000億色に上昇し、夜景や逆光といった暗所の環境で撮影する時に強みを発揮するでしょう。カメラ面での進化も抜かりなく行われています。
通信面はモデムがRelease-17準拠になり、下り最大速度が3.27Gbpsから5.2Gbpsに上昇しました。あくまでも最大速度なので実際の速度は下がりますが、それでも上限が上がったことで3.27Gbpsよりも高い通信速度を体験できるようになっています。

初搭載製品は5月29日に発表されたvivo S60 Vitalityで、8GB+256GBモデルが2899元 (約68,000円)に設定されています。6月3日より中国で販売される予定で、国際市場での展開は不明です。

