Qualcommが先日発表したSnapdragon 780G 5Gを初搭載したXiaomi Mi 11 青春版とXiaomi Mi 11 Lite 5Gが2021年3月29日に発表され、様々なメディアがレビューを行ったためAnTuTu Benchmark v9スコアが判明しました。
今回判明したスコアを従来製品となるSnapdragon 768G 5G、Snapdragon 765G 5G、Snapdragon 750G 5Gと比較を行います。Snapdragon 765G 5Gには標準モデルとしてSnapdragon 765 5Gがありますが、採用例が少ないので比較する意味は薄いと考えて今回は含めていません。
Snapdragon 780G 5Gのスペックは、Samsung 5nm EUV製造プロセス、CPUはKryo 670(1xA78 2.4GHz+3xA78 2.2GHz+4xA55 1.9GHz)のオクタコア構成、GPUはAdreno 642 @490MHzとなっています。Snapdragon 7シリーズとして初めて5nm EUV製造プロセスを、CPUにARM Cortex-A78を初採用した製品です。
通信面においては最新規格のWi-Fi 6やWi-Fi 6E、Bluetooth 5.2に対応していますが、5G NRは従来製品で対応していたFR2で定義されているmmWave(ミリ波)に非対応。中国ではmmWaveが商用化していないため中国を主とするのであれば問題ありませんが、アメリカ合衆国のVerizonはSnapdragon 765G 5Gを搭載しmmWaveに対応した製品を発表しているので後継製品が生み出しにくくなる可能性があり、どのように対処するのか気になるところではあります。
今回から先日Open Betaが公開されたAnTuTu Benchmark v9のスコアを利用しているため、今まで主流だったAnTuTu Benchmark v8とは大きく異なっていることに注意してください。
Snapdragon 780G 5Gのスコアは、CPU性能が161,154点、GPU性能が165,895点、MEM性能が90,567点、UX性能が119,653点で総合性能は537,269点の結果となりました。Xiaomi Mi 11 Youth Editionの発表会では567,861点だと発表されていますが、このスコアはラボスコアと呼ばれる特殊な環境で計測された再現性の低いスコアなので、ポテンシャルは秘めているが実使用では違ったスコアが出ると認識してください。
性能は、Snapdragon 768G 5Gと比較してCPU性能は約27%、GPU性能は約42%の向上、Snapdragon 750G 5Gと比較してCPU性能は約33%、GPU性能は約74%の向上となっており、Snapdragon 7シリーズとして非常に高い性能を発揮しています。
Snapdragon 730GからSnapdragon 765G 5G/768G 5GはCPU性能よりもGPU性能に重きを置いた向上が見られましたが、Snapdragon 765G 5G/768G 5GからSnapdragon 780G 5GはCPU性能とGPU性能ともに向上しており、Snapdragon 7シリーズの性能の底上げが一気に行われた感じがします。
Xiaomi Mi 11 Youth Editionは国際市場ではXiaomi Mi 11 Lite 5Gとして発表されており、Xiaomi製品における高性能SoCの初搭載製品は中国市場で先に発表され、その1-2ヶ月後に国際市場向けが発表される流れでしたが今回の場合は違います。
日本市場の投入に関しては憶測の域を出ませんが、従来製品となるXiaomi Mi 10 Lite 5G XIG01がauから発表されているため、後継製品のXiaomi Mi 11 Lite 5Gには期待がかかります。
ただ、この製品が日本市場に投入されなくとも、Snapdragon 780G 5Gを搭載した製品はいくつか発表されるはずなので、Snapdragon 765G 5G搭載製品の購入を考えている人は中価格・高性能を実現するであろう搭載製品を待ってみるのもいいかもしれません。