2021年の準旗艦SoCのQualcommのSnapdragon 870 5G、HUAWEI(HiSilicon)のKirin 9000E、MediaTekのDimensity 1100、SamsungのExynos 1080をAnTuTu BenchmarkとGeekbenchを用いて簡単に比較します。
Snapdragon 870 5GはSnapdragon 865 5GのOC(オーバークロック)版、Kirin 9000EはKirin 9000の選別品、Dimensity 1100はDimensity 1200の選別品(の可能性が非常に高い)、Exynos 1080は中国市場向けの全く新しいSoCとなっています。
AnTuTu Benchmark v9でのそれぞれの搭載製品は、OPPO Find X3(8+256GB)、HUAWEI Mate 40(8+256GB)、vivo S9(12+256GB)、vivo X60 Pro(12+256GB)を採用しています。
総合性能はSnapdragon 870 5Gが717,221点、Kirin 9000Eが702,255点、Dimensity 1100が663,774点、Exynos 1080が670,282点で、総合的な性能はSnapdragon 870 5Gが優位に立ちました。
CPU性能に着目するとSnapdragon 870 5Gが高く、その次にKirin 9000Eが位置しています。Dimensity 1100とExynos 1080はA78を採用していますが、Snapdragon 870 5Gは3.2GHzのA77、Kirin 9000Eは3.13GHzのA77を採用しており、圧倒的な高周波数によって優位性が見えます。
GPU性能はKirin 9000Eが高く、その次にSnapdragon 870 5Gが位置しています。Snapdragon 870 5GはDimensity 1100やExynos 1080と似た性能を発揮していますので、GPU性能に関してはKirin 9000Eが頭ひとつ抜けています。
Dimensity 1100とExynos 1080は差がほとんどなく、「MediaTek製品は性能が低い」を完全に脱したと感じます。もちろんHelioやDimensityを冠さない製品は性能が低いですが、2020年以降に登場した製品を過去のMediaTekと同じと思っていると痛い目にあうでしょう。
Geekbench v5ではシングルコア性能はSnapdragon 870 5Gが997点で優位、マルチコア性能はDimensity 1100が3,468点で優位に立ちました。
シングルコア性能はExynos 1080のA78 2.8GHzよりもSnapdragon 870 5GのA77 3.2GHzが高く、マルチコア性能に関してA78 2.8GHz+A78 2.6GHz+A55 2.0GHzのExynos 1080がそれほど高くないのは、全てのコアが最大周波数で動かない調整を行う独自ガバナーの“energy_step”が関係しているでしょう。
総合的に見るとSnapdragon 870 5Gが準旗艦SoCの分類では一番優れています。しかしGPU性能はKirin 9000Eが優れているので全てにおいて完璧なSoCはなく、選択肢がいっぱいある良い市場になっています。
ただ、Kirin 9000Eに関してはアメリカ合衆国の制裁によって継続的な生産が出来なくなっているので、性能ではSnapdragon 870 5Gの好敵手になっていますが、入手難度から見るとSnapdragon 870 5Gの優位性は高いままでしょう。
日本ではSnapdragon 870 5Gを搭載したMotorola製moto g100が発表されていますが、Kirin 9000EやDimensity 1100、Exynos 1080搭載製品の投入の可能性は低いでしょう。