サムスン電子のファウンドリ事業部がNVIDIAやQualcomm、IBMなどの大口顧客を獲得したと韓国メディアの韓国経済新聞が報道しました。同企業のファウンドリ事業部は慢性的な歩留まりの低さを抱えていますが、アメリカの企業と協力して改善を行っているとされ、それらがさまざまな顧客に評価されたかたちと見ています。
韓国経済新聞によると、業界に先駆けて採用したGAA(Gate-All-Around)構造を利用する3nmプロセスの顧客を獲得したようです。競合他社のTSMCは、3nmではFinFET構造を引き続き採用し、2nmからGAA構造を採用する予定で、2025年の量産に向けて研究開発を進めているとされています。
11月22日、半導体業界に流れた情報によると、サムスン電子ファウンドリ事業部は、高性能コンピューティング(HPC)チップを設計する5社から6社のアメリカ・中国のファブレス企業と協力して3nmプロセスを採用した半導体を開発していることがわかったそうです。
その中に大口顧客となるIBM、NVIDIA、Qualcomm、Baiduが含まれており、IBMはサーバー用CPU、Baiduはクラウドデータセンター用人工知能チップを設計しているようです。
サムスン電子の3nmプロセスはSF3E、SF3、SF3Pがありますが、前者は2022年に量産を開始し、現在は暗号資産をマイニングする中国の企業がASICの製造を委託しているとの報道があります。その他のプロセスのSF3は2024年に、SF3Pは2025年の量産を予定しているため、今回の情報はまだまだ先の話と言えそうです。
Qualcommは今回の報道が出る前から3nmプロセスを評価しているとの情報がありましたが、確たる情報源からの情報ではありませんでしたので、今回の情報は信頼性のある韓国経済新聞の報道なので採用が決まったと見ても良さそうです。現在、同社が採用するプロセスはSF3(旧3GAP)とされているので、2024年末に発表予定のSnapdragon 8 Gen 4で採用すると見ています。
これらの顧客会社は3nmプロセスの技術力、複数のサプライチェーン確保の必要性などを総合的に考慮し、サムスン電子のファウンドリ事業部へ製造を委託することに決めたようです。半導体業界では、TSMCの圧倒的な技術力に敗北を喫しているサムスン電子が3nmプロセスをきっかけに、反撃を行う可能性があるとの見通しがあります。