ちょうど去年の今頃に発表されたミドルハイモデル向けQualcomm製プラットフォーム「Qualcomm Snapdragon 660 Mobile Platform」をミドルレンジモデル向けに提供されているSnapdragon 636とSnapdragon 630、Snapdragon 626、Snapdragon 625をAnTuTuベンチマークとGeekbenchを用いて比較します。比較に使用したツールはAnTuTuベンチマーク Ver.7とGeekbench 4です。
それぞれの搭載機種はMeizu 15、Meizu E3、Moto G6 Plus、Vivo V9、Meizu M6 Noteです。全ての機種でAnTuTuベンチマークのスコアランキングに載っていないので、実機を持っているMeizu M6 Noteを除きGoogle検索で見つけることが出来たスコアで比較を行います。ですので、使用するスコアが最高点に近かったり最低点に近かったりするので気をつけて下さい、
あくまでもベンチマークによって算出されたスコアで比較をしていますので、実感に関しては今回は比較していません。ご了承下さい。
スペック
スペックは上画像のとおりです。Snapdragon 660/636と他の違いはビッグコアに高性能なARM Cortex-A73を採用している点で、更にマイクロアーキテクチャのQualcomm Kryoを採用し、セミカスタムコアになっています。これによってARMが提供しているマイクロプロセッサよりも少し性能が上がります。
このスペック表を見るとSnapdragon 636はSnapdragon 660の廉価モデルとして考えるのが正しく、そしてSnapdragon 630はSnapdragon 636の廉価モデルではなくSnapdragon 626/625のアップグレードモデルになります。
Snapdragon 636のRAM規格はLPDDR4と書かれているところもありますが、Meizu E3を始めXiaomi Redmi Note 5 Pro(India)がLPDDR4XのRAMを搭載していますので今回はこの表示にしています。
総合性能
総合性能では数字の順番にスコアが高くなっています。Snapdragon 660とSnapdragon 636の差は16,052点で、その後ろは21,731点、557点、14,448点です。CPUのクロック数のみが変わったSnapdragon 626とSnapdragon 625の差が開きすぎているように見え、少しばかりvivoによるベンチマークの最適化(Benchmark Cheating)も考えないといけないかもしれません。今回はただの比較なので追求はしません。
CPU性能
CPU性能ではSnapdragon 660が6万点に迫る58,188点、Snapdragon 636が55,414点という結果になりました。同じマイクロアーキテクチャに同じマイクロプロセッサを搭載していますがクロック数が大きく異なっており、これが3,000点の差を生み出したのでしょう。
Snapdragon 630とSnapdragon 626とSnapdragon 625ではSnapdragon 626が44,835点で他を圧倒しています。Snapdragon 630は2.2GHz+1.8GHzなのに対してSnapdragon 626は2.2GHzだけなので優位に立ったと考えられます。
GPU性能
GPU性能ではAdreno 512を搭載したSnapdragon 660がSnapdragon 636と9,000点近くの差をつけています。CPU性能ではSnapdragon 636とSnapdragon 630の差は大きかったですが、GPU性能ではそこまで差はないように見えます。
CPU性能では圧倒したSnapdragon 626はSnapdragon 625と全く変更はないので誤差の範囲で上位にいますが、Snapdragon 630とは7,000点の差があります。この差はゲームをしていると実感できるぐらいの差があり、快適性を求めるのであればSnapdragon 630を買ったほうが良いでしょう。
UX性能
UX性能はこの数値が高いと快適性が高いということになります。2018年Q1では4万点以上あれば通常の利用で文句は出ない利用が出来るスコアになっていますので、この中ではどのプラットフォームも文句が出る可能性のあるスコアとなっています。Snapdragon 660は一部搭載機種では39,000点程ですので、スマートフォンによって大きくスコアが変動すると考えてもいいでしょう。
AnTuTuベンチマークによる快適性だけで考えるとSnapdragon 630よりSnapdragon 626の方が高いようです。
MEM性能
MEM性能はRAMと内蔵ストレージ読み書きの速さを計測し、この数値が高いとCPU性能も高くなります。
驚くことにSnapdragon 626のスコアが一番高く、先程のCPU性能で突出していたのも納得できます。MEM性能のスコアはQualcomm製プラットフォームでは代々低く、Qualcommが唯一HiSilicon Kirinに勝てないポイントでもあります。
Geekbench
Geekbenchではスコアの集計が行われていませんので、一部モデル以外はReaMEIZUの主観で数値の良いものをピックアップしています。その際にカスタムカーネルを用いて計測されたものではないものに限定しています。
GeekbenchでもSnapdragon 660が他を圧倒しています。Snapdragon 636と比較してシングルコア性能は1.2倍、マルチコア性能も1.2倍となっています。
AnTuTuベンチマークでもCPU性能が突出していたSnapdragon 626はGeekbenchでもSnapdragon 630とSnapdragon 625と大きな差を付けています。Snapdragon 630が搭載されているから必ず優秀というわけではなく、Snapdragon 626を搭載していたほうがいい場合もありそうです。実は私もMeizu M15にSnapdragon 626が搭載されていることを知った時「何故Snapdragon 630ではないのか?」という疑問を持ち、MEIZUの製品展開を疑ってしまいましたが、このスコアから考えるとSnapdragon 626を採用して良かったのかもしれません。
総括
Snapdragon 660が優れているのは勿論のこと、Snapdragon 636が廉価モデルという位置にしっかりと収まっていることがわかりました。「Snapdragon 660レベルの性能はいらないけれども・・・」という方はSnapdragon 636搭載機を買うと満足できるでしょう。
今回の比較でSnapdragon 630の良い所はGPU性能で、CPU性能はSnapdragon 626以下でSnapdragon 625と同等レベルということがわかりました。製造プロセスも変更はなく、Qualcommにしては位置づけの微妙なプラットフォームを製造してしまったなという印象が持てます。一応LTEカテゴリーではしっかりとした差がありますので、より快適な通信生活を提供できるのはSnapdragon 630になりますが、性能面ではSnapdragon 626の方が快適なのかもしれません。
新製品が発表された時に「何故Snapdragon 630ではなくSnapdragon 626を搭載しているのか」という疑問が浮かんだ時にはメーカーは性能を重視したと考えるのがベストでしょう。そして、Snapdragon 630搭載機が発表された時には「もう少し頑張ってSnapdragon 636を搭載できなかったのか」と疑問が浮かぶかもしれませんが、兄弟機のスペックや価格を考えると答えが出る可能性があります。
今回の比較はあくまでもベンチマークによって算出された数値で比較を行っていますので、実際の体感については考慮していないことをご容赦下さい。あなたが欲しいと思ったスマートフォンが一番相性の良いものになりますので、買い時を逃さないようにして下さい。
参考
- 虽小试牛刀 但已初见锋芒 魅族15深度评测-PChome
- 魅蓝 E3 评测:至少还有你 - engadget
- Teste Antutu no Moto G6 Plus - Ver Pontuação e Sensores - YouTube
- Vivo V9 Review: Vivo's Best Smartphone Offering To Date - TeknoGadyet
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