Snapdragon 732G、Snapdragon 730G、Snapdragon 730、Snapdragon 720G、Snapdragon 712を比較

Snapdragon 732G、Snapdragon 730G、Snapdragon 730、Snapdragon 720G、Snapdragon 712を比較

2020年9月14日
Benchmark

Qualcomm Snapdragon 732Gを搭載したXiaomi製POCO X3 NFCが先ごろ発表され、様々なレビュワーによって先行レビューが行われたので主要なベンチマークソフトとなるAnTuTu Benchmark v8とGeekbench v5のスコアが明らかになりました。そのため、同じSnapdragon 7シリーズに属する4G LTE対応製品(5G非対応製品)として既に市場に出ているSnapdragon 730G、Snapdragon 730、Snapdragon 720G、Snapdragon 712と簡単に比較をしたいと思います。今回の比較はあくまでもベンチマークスコアを用いていますので、実使用感に関するソフトウェアの安定度や通信の安定性、ゲーム体験やバッテリーの持ちは考慮していないことを理解してください。

 

Snapdragon 732GのスペックはSamsung製8nm LPP製造プロセス、CPUはKryo 470(2xARM Cortex-A76+6xARM Cortex-A55)のオクタコア構成で周波数は2.3GHz+1.8GHz、GPUはAdreno 618 @800MHz、RAM規格はLPDDR4X対応、最大通信速度は下りが800Mbpsで上りが150Mbpsとなっています。Snapdragon 732GはSnapdragon 730GとSnapdragon 730の周波数を向上させたモデルとなっており、特にGPUはSnapdragon 730から190MHzの上昇、Snapdragon 730Gから100MHzの上昇となっています。

 

Snapdragon 720Gと比較するとCPUの周波数は同じ、GPUの周波数は750MHzでわずか50MHzの差となっています。ただ大きな違いとしてKryo(Qualcomm製アーキテクチャ)のバージョンが異なっており、Snapdragon 732GはKryo 470でSnapdragon 720GはKryo 465となっており、Qualcommの通例では数値の低いほうが性能が低いようになっているため、同じ周波数となっていますが、細かい点ではSnapdragon 732Gの方が上回るはずです。しかしベースとなっているARM製CPU IP(簡単に言うとA76)が同じなので、一般消費者である我々は絶対のその差は気づけないと考えています。つまり、Qualcommは開発者なので違いがわかっていて型番が異なっているけれども、我々は違いに気付け無いので周波数だけを見て比較をして良いと判断しています。

 

そしてSnapdragon 732GとSnapdragon 730GとSnapdragon 720Gに共通して末尾についている“G”ですがこれはしっかりと意味があり、ゲーム体験を向上させるSnapdragon Elite Gamingが採用されているモデルを意味し、このSnapdragon Elite GamingはOS側のUI表示が遅いことによるゲームのフレームレートが低下するのを防ぐ「Jank Reducer」や外部プログラムを使ったゲームへのチート行為を防ぐ「Anti-Cheating Extensions」、ゲームのロード時間短縮や無線LAN使用時の遅延を短縮する機能などを備えた機能となっています。ゲームをするか否かで必要性が問われるものではありますが、「Anti-Cheating Extensions」はチート行為をSoC側で防ごうとするものなのでゲームを開発している人にとってはSoCの名称に“G”が冠されたモデルが普及してほしいので、我々にも少しだけ関係はあります。

 

Snapdragon 732GのAnTuTu Benchmark v8スコアはCPU性能が99,317点、GPU性能が78,933点、MEM性能が52,614点、UX性能が52,363点で総合性能は283,227点という結果になりました。XiaomiはPOCO X3 NFCの発表会で301,581点を算出したと発表していますが、これはよくあるラボスコア(実験室性能)と呼ばれるものだと考えています。ラボスコアというのは通常ではありえない設定で計測したスコアを表し、例えばアプリを限りなく少なくした状態、室温がスマートフォンにおける適温でなおかつ冷却ファンが装着されていないにせよ風が当たる状態に設置されているなど、実際にユーザーが計測するときには考えられない状況で計測したものです。ではXiaomiが発表した301,581点は全く信用できないかと言ったらそうではなく様々な条件が揃えばそのスコアにかなり近づくことも出来るので、参考値として捉えるのが正しいです。

 

AnTuTu Benchmark v8はRAM容量や内蔵ストレージの容量、リフレッシュレートによってMEM性能とUX性能が変動するのでSoCそのもののパフォーマンスを比較するのに適しているCPU性能とGPU性能を抽出し、CPU性能とGPU性能を合算したものを新たなスコアとして算出しています。これを見るとCPUとGPUともに高いスコアを発揮し、178,250点というスコアとなっています。CPU性能に着目すると2.3GHz+1.8GHzで共通しているSnapdragon 732GとSnapdragon 720GとではSnapdragon 720Gが2,500点程上回っていますが、今回利用したSnapdragon 732Gのスコアは99,317点となっているだけで、他のスコアでは100,000点を上回っていることもあったので誤差の範囲に収めてもいいかもしれません。

 

GPU性能に着目すると800MHzのSnapdragon 732Gは78,933点、750MHzのSnapdragon 720Gは71,608点、700MHzのSnapdragon 730Gは71,435点、610MHzのSnapdragon 730は65,064点となっており、周波数が高いほうがスコアが高くなっています。しかし、同じ50MHzの差でもSnapdragon 732GとSnapdragon 720Gは7,000点、Snapdragon 720Gとsnapdragon 730Gは200点と差が大きくあるのは、これはCPUやGPUではよくあるのですが例えば200MHzと250MHzでは差が少なく、900MHzと950MHzは差があるといった急に差が生まれるエリアが存在しています。今回Adreno 618は750MHzと800MHzで大きく差が生まれるというエリアだったと解釈していただくと嬉しいです。

 

CPU性能を計測するのに適しているGeekbench v5でのSnapdragon 732Gのスコアは、シングルコア性能が567点でマルチコア性能は1,760点という結果になりました。2.3GHz+1.8GHzの周波数を有しているSnapdragon 732GとSnapdragon 720Gの差は全く無く、2.2GHz+1.8GHzの周波数を有しているSnapdragon 730とSnapdragon 730Gはシングルコア性能とマルチコア性能でわずかな差が生まれていますが、これは実使用において違いを感じるほどのスコア差では有りません。

 

今回の比較を通してわかったのはSnapdragon 732Gは既に市場に出ているSnapdragon 720GやSnapdragon 730Gと比較して驚くほどの差はないということです。もちろん一番優れているのはSnapdragon 732Gであることもわかりましたが、Snapdragon 720GではなくSnapdragon 732Gを搭載しているから、Snapdragon 732GではなくSnapdragon 730Gを搭載しているからという理由でスマートフォンを購入したりしなかったりするほどの差ではありませんので、デザインやカメラ、バッテリーの容量などが自分にとってどれほど惹かれるものがあるかを重視して選ぶほうが満足ができるでしょう。

 

 

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