Meizu 20 Infinityが発表、「無界設計」に基づき衛星通信にも対応した意欲的な製品

Meizu 20 Infinityが発表、「無界設計」に基づき衛星通信にも対応した意欲的な製品

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中国自動車大手のGeely(吉利)傘下のXingji Meizu Group(星紀魅族集団)は2023年3月30日にLynk & Coと共同で新製品発表会を開始し、新製品としてMeizu 20 Infinity(魅族 20 Infinity 無界版)を発表しました。Meizu 20 Infinityの他にMeizu 20、Meizu 20 Proを同時に発表しており、詳細はこちらこちらを御覧ください。

 

Meizu 20 InfinityはMeizu 20 Proの上位版ではなくMeizu 20シリーズの無界版という位置づけで、「Meizu 20」で共通した名称ですが単独の製品となっています。最上位版という表現も厳密には異なっているため、このあたりの認識には注意が必要です。

 

Meizu 20 Infinityは筐体に硬度HV722のMeizu Titan Glassを前面と背面の両面に採用しており、これは業界で初めての試みとしています。ある企業が採用したセラミックシールドと呼ばれるガラスの硬度がHV702なので、Meizu Titan Glassはさらに硬いことがわかります。そして、65gの鋼球の衝撃に耐え、1135MPaの曲げ強度となっています。

 

フレームは超軽量なステンレス素材で、厳密には316Lと表記されるサージカルステンレスを採用しています。この素材は医療用のメスやハサミに使用され、腐食しにくいことが特徴のひとつです。この素材を採用することで30%の重量減、40%の散熱の改善が見込まれます。

 

カラー展開は、ブラック系統の星辰黒、シルバー系統の太空銀、グリーン系統の星雲緑で構成され、Meizu 20 Proと同じく渋い色を採用しています。

 

ディスプレイは中国のBOE製のものを採用し、主なスペックは、素材がBOE Q9、解像度は2K+(3192x1368)、アスペクト比は21:9、リフレッシュレートは1-120Hz LTPO、タッチサンプリングレートは480Hz、ピーク輝度は1850nit、1920HzのPWM調光の他に、HDR10+認証を通過しています。4辺が等幅(2.48mm)の画面を採用しており、Meizuは業界初の4面等幅ディスプレイとアピールしています。

 

アスペクト比は前述の通り21:9で、この数値はXperia 1シリーズやXperia 5シリーズなどと同じです。デメリットとして縦長になるので使いにくいという声も聞かれますが、製品としての美しさが際立つ部分でもあるので、無界設計ことInfinite Designを追求する製品なので、使用感を犠牲にして見栄えをよくするのは面白い試みだと感じます。

 

前面のカメラはpoLight社が開発したTLensを業界で初めて前面のカメラで採用し、このTLensは人間の眼球の水晶体にように、圧電アクチュエータが電圧によって変形することでミリ秒レベルでフォーカスが合うと説明しました。発表会では業界初採用なのにさらっと説明されてしまったため、優れた技術がMeizu 20 Infinityに搭載されていることに気づいていないメディアがかなりあります。そのため、この部分においては非常に残念です。

 

前面のカメラの画素数は3200万画素で、センサーはSonyのIMX616と明らかにされています。このセンサーはHuawei Mate 30 ProやOPPO Find X2 Proなどが搭載した比較的古いものなので、優れた技術を採用していますが優れたセンサーは採用していません。

 

また、業界初の試みとしてカメラレンズのフレームを放棄し、本体とサファイアレンズを一体化するユニボディを実現。サファイアレンズは1.3mmの薄さを実現し、各レンズの内側にはふたつのサファイアが光学的にはめ込まれており、優れた写真撮影を実現できるとしています。

 

背面のカメラはスーツの袖の飾りボタンを模した設計を採用し、メインと広角の5000万画素でSony IMX766、超広角とマクロの1200万画素でIMX563、サブとズームの1200万画素でIMX663、dToFで構成されています。dToFは光を射出して戻ってくるまでの時間を計測し、物体との距離を計算する方式で、背景をきれいにボケさせることが出来るようになります。

 

フラッシュはMeizu 20やMeizu 20 Proが採用したリング状ではなく多くの製品が採用している普遍的なものを採用しているため、同じ「Meizu 20」なのに一体感が薄れるような状態になっています。これは、リング状のフラッシュを採用するとカメラレンズが本体と一体化しないなどの理由があると考えており、泣く泣く採用を取りやめたと思います。

 

Meizu 20 InfinityはGeely傘下のGeespace(時空道宇)と共同開発した衛星通信チップ「Meizu Tianwen S1」を搭載し、文字を使ったメッセージ、音声を使ったメッセージを双方向で送受信することが可能になっています。ただ、この機能が利用できるには中国政府の許可が必要で、残念ながら今すぐには使えません。

 

SoCは最大3.19GHzで動作するCortex-X3を採用したSnapdragon 8 Gen 2、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0で、現時点のAndroidで最強を誇るSoCと規格を採用しています。Meizu 20 Infinityは無界版と呼称する意欲的な製品ですがユーザーの期待に応えており、抑えるところは基本的に抑えています。

 

価格は6299元(約122,000円)からで、12GB+256GBモデルが6299元、12GB+512GBモデルが7299元(約141,000円)、16GB+1TBモデルが8499元(約164,000円)に設定され、標準モデルが6000元を超える強気な価格になっています。カタログスペックだけでは無意味な高価格に見えますが、細かい部分を見ていくとこの価格になるのも納得ができます。

 

予約受付は発表直後の21:30(CST)から開始していますが、販売する時期については明らかにしていません。5年ほど前にはスペックは優れているけれど、結果的に販売されなかった「PPT携帯電話」と表現されるものがいくつかあったため、Meizu 20 Infinityは無事に発売してPPT携帯電話と呼ばれないようにして欲しいと思います。