MediaTekが本日深センで行われた新製品発表会にてミドルレンジモデル向けプロセッサーとして「MediaTek Helio P90(MT6779V)」を発表しました。2018年3月に発表されたHelio P60や10月に発表されたHelio P70のマイナーチェンジモデルではなく、全くの別製品として仕上がっています。
名称 | Helio P90 | Helio P70 | Helio P60 |
CPU | 2xA75 + 6xA55 | 4xA73 + 4xA53 | 4xA73 + 4xA53 |
クロック数 | 2.2GHz + 2.0GHz | 2.1GHz + 2.0GHz | 2.0GHz + 2.0GHz |
GPU | IMG 9XM-HP8
PowerVR GM 9446 |
Mali-G72 MP3 | Mali-G72 MP3 |
クロック数 | 970MHz | 900MHz | 800MHz |
カメラ | 2400万画素+1600万画素
4800万画素 |
2400万画素+1600万画素
3200万画素 |
2000万画素+1600万画素
3200万画素 |
製造プロセス | 12nm FinFET | 12nm FinFET | 12nm FinFET |
CPUは2コアのARM Cortex-A75と6コアのCortex-A55のオクタコア構成で、クロック数がそれぞれ2.2GHzと2.0GHzです。Helio P70やHelio P60はA73+A53でしたので、今回発表されたHelio P90は大幅に性能が向上しています。
GPUはImagination Technologies製のPowerVR GM 9446を採用。コア数はオクタコア(8コア)という事でMediaTekとしては初、もしくはかなり久しぶりに多コアを搭載しています。AnTuTuベンチマークでのGPUスコアはHelio P70が32,500点、Helio P60が30,000点程度なので、Helio P90は4万点から5万点近く狙えるのではないでしょうか。最近のMediaTekはIMG PowerVRを積極採用しており、Helio P22やHelio A22、MT6739も採用しています。
カメラは穿孔型ディスプレイを採用したHonor V20に搭載されたSONY IMX586に対応できる4800万画素を搭載可能。今までのMediaTek製SoCではオーバースペック気味だったカメラの性能ですが、今回はCPUとGPU共に申し分のないものになっていますので、4800万画素のカメラを採用する企業も出てくるのではないでしょうか。
名称 | Helio P90 | Snapdragon 710 | Snapdragon 670 |
CPU | 2xA75 + 6xA55 | Kryo 360
(2xA75 + 6xA55) |
Kryo 360
(2xA75 + 6xA55) |
クロック数 | 2.2GHz + 2.0GHz | 2.2GHz + 1.7GHz | 2.0GHz + 1.7GHz |
GPU | IMX 9XM-HP8 | Adreno 616 | Adreno 615 |
クロック数 | 970MHz | 500MHz | 430MHz(?) |
製造プロセス | 12nm FinFET | 10nm FinFET | 10nm FinFET |
Helio P90のスペックを見ていて思ったのはQualcomm Snapdragon 710やSnapdragon 670と似ている点です。CPUも同じく2xA75+6xA55という構成で、かなりライバル視していると考えています。Helio P60とHelio P70がSnapdragon 660をライバル視していたように、Helio P90はSnapdragon 710とSnapdragon 670をライバル視していると考えています。特にSnapdragon 710を相手取っている可能性が高く、Snapdragon 670は開発が噂されているHelio P80が似たスペックになるでしょう。
Helio P90(MT6779V)はGeekbenchでリファレンスモデル、プロトタイプ(Android 9 Pie、RAM 6GB)と思われる機種で計測がされており、スコアはシングルコア性能が1,963点、マルチコア性能は6,716点となっています。このスコアだけで考えるとHelio P90はSnapragon 710やSnapdragon 670よりも性能が高く、マルチコア性能は15%程度の差が生まれています。
まだAnTuTuベンチマークでの計測結果が出ていないので、GPUの性能がどの程度なのかわかりませんが、もしGPUの性能がSnapdragon 710やSnapdragon 670を上回ることがあれば、ミドルレンジ市場は大きく変わるでしょう。
MediaTek Helio P90は既に供給が始まっており、2019年Q1(1月-3月)に商用デバイスが発表される予定です。初採用のベンダーは公開されていませんが、Helio P60やHelio P70の採用経歴のあるOPPOやvivo、UMIDIGIなどは採用すると考えています。