MediaTek CEO「HUAWEIのチップセットの性能は自社には遠く及ばない」、Kirinチップの復活に脅威感じず

MediaTek CEO「HUAWEIのチップセットの性能は自社には遠く及ばない」、Kirinチップの復活に脅威感じず

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中国のHUAWEIの完全子会社HiSiliconは2023年の間にSMIC (中芯国際集成電路製造)と協力して5Gに対応したKirin (麒麟)の復活を画策していると伝えれられていますが、競合他社となる台湾のMediaTekは脅威に感じていないことが明らかになりました。

 

台湾メディアのAnue鉅亨網 (Juheng.com)は、MediaTekの副会長兼CEOの蔡力行 (Rick Tsai)氏が2023年7月28日に開催した法務セミナーで、記者からHUAWEIがSMICと協力して5Gチップの生産を行っていると尋ねられた際、同氏は「MediaTekはまだHUAWEIへの出荷を承認されていない」と強調しつつ、「HUAWEIのチップセットの性能はまだ自社には遠く及ばないため、大きな影響はない」との見方を示したと明らかにしました。

 

CEOの蔡力行氏の発言にはふたつのポイントがあり、まずひとつ目はMediaTekがまだHUAWEIへの出荷が承認されていないこと、ふたつ目はHUAWEIのチップセットがMediaTekが開発するSoCに遠く及ばないことが挙げられます。

 

ひとつめの出荷については、アメリカ合衆国の企業のQualcommは5G機能をオミットしたSnapdragonの限定的な出荷が認められており、Snapdragon 8+ Gen 1やSnapdragon 778G 4Gを搭載した製品がいくつか発表されています。ただ、MediaTek CEOの発言によると5Gに対応したDimensityや4G対応のHelioは認められておらず、制裁を行ったのは当時トランプ政権のアメリカ合衆国、Qualcommはアメリカ合衆国の企業ということで、アメリカ合衆国に優位な制裁が行われているように感じます。

 

ふたつ目はHUAWEIのチップセットの性能がMediaTekのチップセットの性能に遠く及ばないという点については、HUAWEIは制裁によってSoCの根幹となるArmの新しいCPU IPやGPU IPを使用することが出来ないので、どうあがいても高性能なCortex-X3やCortex-X4を上回ることは出来ません。そういったことから、CEOは「性能」の部分では確実な優位点があるため、あまり脅威に感じていないのでしょう。

 

ただ、HUAWEIが本領発揮するのは中国市場で、この市場は人口の伸び悩みを抱えているとされていますが14億人を抱え、また、労働力人口は7億8000万人と依然として巨大な市場であることには変わりはありません。特にHUAWEIは「アメリカ合衆国にいじめられた」と認識している人も多く、買い支えることで愛国の意を示す人もいる上に、HUAWEI P60シリーズのような制裁が行われている中でも意欲的な製品の開発を続け、HUAWEIの製品に魅力を感じている普通の人もいるので、この巨大な市場を制することが出来れば怖いものはありません。

 

そのため、同じく中国市場で戦うMediaTekにとってHUAWEIの復活は脅威であり、CEOの発言は台湾の記者向けにリップサービスをした可能性があります。HUAWEIのシェアが増えれば競合他社のXiaomiやvivoからの供給が減るのは間違いないので、何としてでもDimensityやHelioの魅力や素晴らしさを私たちではなく「普通の人々」に伝える必要があります。

 

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