Snapdragon 4 Gen 2のベンチマークスコアが判明

Snapdragon 4 Gen 2のベンチマークスコアが判明

2023年8月2日
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中国市場向けのRedmi Note 12Rが初搭載したQualcommのSnapdragon 4 Gen 2のベンチマークスコアが判明したので、過去のSnapdragon 4シリーズと比較します。

 

ちなみに、Redmi Note 12Rは中国ではあまり出回っていないようで、このデバイスからベンチマークスコアが判明したわけではなく、インド市場向けに販売されたRedmi Note 12Rと同等の製品のRedmi 12 5Gから判明しています。

 

また、Redmi Note 12RとRedmi 12 5GはPOCOからも販売される予定で、名称はPOCO M6 Pro 5Gとされています。日本市場ではRedmi 12 5Gが販売される予定で、日本市場向けのファームウェアを用意していることが判明しており、日本で使う際に便利な独自の機能 (FeliCa)を搭載するのではないかと噂されています。

 

Snapdragon 4 Gen 2の主なスペックは上の画像 (タップで別ページ)の通りですが、詳しく書くと、製造プロセスはSamsung 4nm 4LPX、CPUは新しいKryoで最大2.21GHzのCortex-A78を2基と最大1.96GHzのCortex-A55を6基の2+6構成、GPUは新しいAdrenoで具体的にはAdreno 613、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、5G通信はSub-6GHz帯をサポートし、この他の通信としてWi-Fi 5とBluetooth 5.1をサポートします。

 

製造プロセスはSnapdragon 4 Gen 1はTSMC 6nm N6でしたが、後継製品のSnapdragon 4 Gen 2はSamsung 4nm 4LPXへ微細化しました。ただ、4LPXはQualcommが高性能な製品を台湾のTSMCで製造を委託することにした理由のひとつとなる製造プロセスで、この技術で製造された製品の名称はSnapdragon 8 Gen 1です。Snapdragon 8 Gen 1は高負荷な要件を要求された際に過度な発熱と過度な性能低下を招いたため、あまりいい印象がないSoCを製造した製造プロセスですが、Snapdragon 8 Gen 1とSnapdragon 4 Gen 2は製造に必要な技術要件が異なり、また、サムスン電子は4nmプロセスの歩留まりが大幅に改善したと発表しているので過度な心配は必要ないでしょう。

 

CPUは新しいKryoで、中身はCortex-A78を2基とCortex-A55を6基の組み合わせで、従来製品のSnapdragon 4 Gen 1と同じ構成を採用しています。ただ、Snapdragon 4 Gen 2の高性能側と高効率側のクロック数はSnapdragon 4 Gen 1と比較して高く設定されているため、確実に性能が向上するでしょう。ちなみに、Qualcommは10%の性能向上に成功したと発表しています。

 

GPUは新しいAdrenoで、実際にはAdreno 613を搭載しています。Qualcommの命名規則では数値の大きい方が性能が高いため、Adreno 613とAdreno 619のクロック数が同じであった場合は後者のほうが優れます。実際にその通りとなっており、大手メディアAndroid AuthorityはQualcommに取材を行ったところ、「先代より性能が落ちた」と認めたと記事に書いています。

 

Governor (ガバナー)はSnapdragon 8 Gen 1から採用が始まったQualcomm独自のものとなるwalt (ウォルト)をSnapdragon 4シリーズとして始めて採用しました。これによりQualcommが発揮したい性能を細かく設定できるようになります。

 

RAM規格はフラッグシップ製品が採用するLPDDR5に対応していますが、Snapdragon 4 Gen 2を採用する製品の多くはエントリー寄りのミドルレンジなので、さまざまな市場に出てくるのはLPDDR4Xを搭載したものになるでしょう。RAM規格が優れれば優れるほどGPUの性能が高く出る傾向にあるため、Snapdragon 4 Gen 2は本当の力を発揮することなく市場から消えていくのではないかと考えています。

 

内蔵ストレージ規格もRAM規格と同様にフラッグシップ製品が採用するUFS 3.1に対応しています。こちらも同様に市場に出てくるのはUFS 2.2を搭載したものになり、Snapdragon 4 Gen 2は真の実力が不明のままの製品となるでしょう。

 

 

AnTuTu Benchmark v10 OBにおけるSnapdragon 4 Gen 2の性能は、CPU性能が152,985点、GPU性能 (Lite版)が60,292点、MEM性能が122,981点、UX性能が111,591点で総合的性能は447,849点となりました。

 

スペック表ではSnapdragon 460とSnapdragon 439を含めましたが、私が調べた限りではAnTuTu v10での測定結果が見つからなかったため、Snapdragon 480 5Gまでで比較を行っています。ご了承ください。ちなみに、GPU性能はSnapdragon 8 Gen 2やDimensity 9200で計測した際と同じものではなく、Android 10未満もしくはRAM 8GB未満の場合で計測されるほうとなっており、通常のGPU性能とは比較できません。

 

CPU性能は152,985点で、Snapdragon 4 Gen 1の性能を100%とすると約103.2%となり、残念ながら大きな成長はしませんでした。データ取得元もRedmi 12 5Gは初搭載に近い製品ゆえに最適化不足も考慮すべきかもしれませんが、流石に低すぎる性能かもしれません。

 

GPU性能 (Lite版)は60,292点で、CPU性能と同様にSnapdragon 4 Gen 1の性能を100%とすると約67.4%となり、大幅に性能が下がりました。Qualcommが認めた通り従来製品から性能が下がりましたが、さらにその前の製品の2021年に発表されたSnapdragon 480 5Gよりも性能が低いのは流石にいかがなものかと感じます。

 

総合的に見ると、Snapdragon 4 Gen 2はCPU性能が優位、Snapdragon 4 Gen 1はGPU性能が優位で、個人的にはSnapdragon 4 Gen 1のほうが優れている思います。ただ、Snapdragon 4 Gen 1はTSMCで製造したのが原因なのか高価格になってしまい、多くのメーカーが採用を見送ったと伝えられていますので、これから先の未来でこのSoCを搭載した製品が出てくる可能性は低いと思います。

 

 

Snapdragon 4 Gen 2のGeekbench 6での性能は、シングルコア性能が922点、マルチコア性能が2,193点となりました。Geekbench 6には基準点があり、2022年1月に発表されたIntel Core i7-12700のシングルコア性能が2,500点に設定されています。このCPUを基準として倍の計測時間であれば1,250点、半分の計測時間であれば5,000点となり、基準点が設定されていることで自分のデバイスのCPUがどの程度の性能なのかわかりやすくなっています。

 

Snapdragon 4 Gen 1と比較すると、シングルコア性能は約10%、マルチコア性能は約12%の成長に成功しました。シングルコア性能は高性能側のCortex-A78の性能を計測していおり、Snapdragon 4 Gen 2は2.21GHzで、Snapdragon 4 Gen 1は2.02GHzなので数値通りに前者が高い性能を発揮しました。

 

マルチコア性能は高性能側のCortex-A78と高効率側のCortex-A55の性能を計測しており、Snapdragon 4 Gen 2が2.21GHzと1.96GHzで双方とも高く設定されているので、Snapdragon 4 Gen 1よりも高い性能を発揮することに成功しました。特に、コア数の多いCortex-A55のクロック数が高く設定されているため、正しく差をつけることに成功したと考えています。

 

 

Snapdragon 4 Gen 2の性能を振り返ると、素直に存在を認められないものがまた誕生してしまったなと感じます。Snapdragon 4 Gen 1からCPU性能が向上した一方で、GPU性能は従来製品はおろか、さらにその前の製品の性能を下回っており、評価することが非常に難しいです。

 

おそらくこの記事を見てくれた人も思ったと思いますが、私もSnapdragon 4 Gen 2のAnTuTu v10におけるGPU性能の低さに開いた口が塞がりませんでした。Snapdragon 4 Gen 1よりも性能が低いことは覚悟していたので、Snapdragon 480 5Gとの間の性能になるのではないかと考えてた自分を慰めてあげたいくらいです。

 

この性能は今のQualcommの製品で表すことが出来ず、特に5Gに対応したSoCの中ではぶっちぎりの最下位の性能を悪い意味で誇っています。これでは高負荷な要求をするPUBG Mobileや原神 (Genshin Impact)を楽しむことは難しいでしょう。これらのゲームは様々な人が遊ぶので設定が豪華なため、要求を下げれば遊べなくはないですが、従来製品のSnapdragon 4 Gen 1よりも低い設定にしなければいけないのはどう考えてもおかしいです。

 

Redmi 12 5Gは日本市場でも販売される予定ですが、Snapdragon 480 5Gが溢れかえっている日本市場においてSnapdragon 4 Gen 2の魅力はあまりないので、Snapdragon 439を搭載しているRakuten MiniやHelio G85を搭載しているmoto g13、Snapdragon 662を搭載しているRedmi 9Tなどの5Gに非対応な製品を所有している場合は乗り換える価値がありますが、5Gに対応した製品を所有している場合は手元にあるデバイスを使い続けるほうがいいでしょう。