6月22日の午前、MediaTekがDimensity 9000+を発表しました。同製品はRedmi K50 Proやvivo X80が搭載したDimensity 9000の性能向上版で、QualcommのSnapdragon 8 Gen 1とSnapdragon 8+ Gen 1の関係と同じです。
名称 | Dimensity 9000+ | Dimensity 9000 |
CPU | 1xCortex-X2
3xCortex-A710 4xCortex-A510 8MB sL3 Cache |
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動作周波数 | 3.20GHz+2.85GHz+1.80GHz | 3.05GHz+2.85GHz+1.80GHz |
GPU | Mali-G710 MC10
HyperEngine 5.0 |
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動作周波数 | ? | 848MHz |
NPU/DSP | APU 590
4xPerformance 2xFlexible |
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カメラ | Triple 18-bits Imagiq 790 ISP
3億2000万画素 or 3x3200万画素 9 Gigapixels per Second |
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リフレッシュレート | MiraVision 790
144Hz(WQHD+) 180Hz(FHD+) |
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エンコード/デコード | Encode: 8K@24FPS H.265, H.264
Decode: 8K@30FPS H.265, VP9, AV1 |
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RAM | LPDDR5X(3750MHz)
LPDDR5(3200MHz) 6MB System Level Cache |
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ストレージ | UFS 3.1 | |
Wi-Fi | Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E | |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 | |
位置情報 | GPS, BeiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC | |
通信 | 統合: 5G Modem
Sub-6GHz/- (7Gbps/2.5Gbps) |
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充電規格 | ? | |
プロセス技術 | TSMC 4nm(N4) | |
型番 | ? | MT6893 |
前述の通り、Dimensity 9000+はDimensity 9000の性能向上版で、主な変更点はCPUとGPUの2つです。Snapdragon 8+ Gen 1はCPUやGPUの性能だけでなく製造する工場が変更されましたが、Dimensity 9000+はDimensity 9000と同じ工場で製造された製品なので、「別物」ではなく「性能向上版」が正しい表現だと考えています。
CPUはUltra-CoreのCortex-X2を1基、Super-CoreのCortex-A710を3基、Efficiency-CoreのCortex-A510を4基、という構成は維持していますが、Cortex-X2の動作周波数が3.05GHzから3.20GHzへ上昇しました。これにより、MediaTekはCPUの性能が5%向上したと発表しています。
GPUはMali-G710 MC10を維持していますが、10%の性能向上に成功したと発表しているので、848MHzよりも高くなることが確定しています。仮に動作周波数が10%向上した場合は、単純計算で933MHzとなります。
ISPはImagiq 790を引き続き採用し、最大3億2000万画素の撮影に対応しています。3眼構成では3x3200万画素に対応しており、処理能力に関してはSnapdragon 8+ Gen 1よりも高いです。
RAM規格はLPDDR5Xに対応し、周波数は3750MHzです。Snapdragon 8+ Gen 1やExynos 2200はLPDDR5で3200MHzに対応しているため、先の規格を採用し最先端の技術が利用できますが、2022年6月現在、LPDDR5X RAMを商用化した企業がないので差がつくのはもう少し先の未来になるでしょう。
5G通信はSub-6GHzに対応しmmWave(ミリ波)は非対応。Snapdragon 8+ Gen 1やExynos 2200はmmWaveに対応しているので遅れていますが、同技術が商用化しているのは非常に限られた国な上に範囲が非常に狭いので、対応していないことは残念ですが問題はないと考えています。
Dimensity 9000+を初搭載した製品の登場時期は、2022年第3四半期(6月-9月)を予定していると発表しています。採用する企業に関しては、Dimensity 9000を採用した経験のあるXiaomi、OPPO、vivoの採用が有力視されています。