MediaTekは5G通信に対応したDimensityシリーズに属するDimensity 1000C(MT6883)を2020年9月3日に発表しました。最上位モデルとなるDimensity 1000を冠していますが、同シリーズに属しているという記載もなく性能も既に発表されているDimensity 1000+やDimensity 1000Lと比較していくつかスペックが落とされているため、単独の製品となりそうです。
名称 | Dimensity 1000C | Dimensity 1000+ | Dimensity 1000L |
CPU | 4xA77 + 4xA55 | 4xA77 + 4xA55 | 4xA77 + 4xA55 |
周波数 | 2.0GHz + 2.0GHz | 2.6GHz + 2.0GHz | 2.2GHz + 2.0GHz |
GPU | Mali-G57 MC5 | Mali-G77 MC9 | Mali-G77 MC7 |
周波数 | 654MHz | 836MHz | 695MHz |
NPU | APU 3.0 | APU3.0 | APU 3.0 |
カメラ | 6400万画素
3200万画素+1600万画素 |
8000万画素
3200万画素+1600万画素 |
8000万画素
3200万画素+1600万画素 |
リフレッシュレート | 120Hz(FHD+) | 144Hz(FHD+)
90H(WQHD) |
120Hz(FHD+)
90Hz(WQHD) |
エンコード/デコード | H.264, H.265 / HEVC
H.264, H.265 / HEVC, VP-9, AV1 |
H.264, H.265 / HEVC
H.264, H.265 / HEVC, VP-9, AV1 |
H.264, H.265 / HEVC
H.264, H.265 / HEVC, VP-9, AV1 |
RAM | LPDDR4X(12GB) | LPDDR4X(16GB) | LPDDR4X(16GB) |
ストレージ | UFS 2.2 | UFS 3.0 | UFS 3.0 |
Wi-Fi | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 | Bluetooth 5.1 | Bluetooth 5.1 |
通信 | 内蔵: Helio M70
Sub-6GHz 2.34Gbps/1.25Gbps |
内蔵: Helio M70
Sub-6GHz 4.7Gbps/2.5Gbps |
内蔵: Helio M70
Sub-6GHz 4.7Gbps/2.5Gbps |
製造プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
内部コード | MT6883 | MT6889 | MT6885 |
新たに発表されたMediaTek Dimensity 1000Cのスペックは台湾TSMC製7nm FinFET製造プロセスを採用し、CPUは4xARM Cortex-A77(2.0GHz)+4xARM Cortex-A55(2.0GHz)のオクタコア構成、GPUはARM Mali-G57 MC5 @不明(追記: LG VELVET 5GのKernel Sourceから654MHzであることが判明)、ISPはシングルカメラは最大6400万画素でデュアルカメラは3200万画素+1600万画素、RAM規格はLPDDR4Xで内蔵ストレージ規格はUFS 2.2に対応し、対応リフレッシュレートはFHD+環境で120Hzに対応した製品となっています。
Dimensity 1000シリーズ製品の大きな特徴は“デュアル77”と呼ばれるもので、具体的にはCPUにARM Cortex-A77を、GPUにARM Mali-G77を採用していることが重要視されており、既に発表されているDimensity 1000+、Dimensity 1000、Dimensity 1000Lはこの“デュアル77”が採用された製品となっています。しかし、Dimensity 1000CはCPUにARM Cortex-A77を、GPUにARM Mali-G57を採用していますので“デュアル77”となっていないため、“Dimensity 1000”Cとなっていますが、Dimensity 1000シリーズに属することが出来なかったと考えています。
この他通信面においてもWi-Fi 6対応ではなくWi-Fi 5対応、5G NRでの最大通信速度が約半分になっているといった明らかな性能低下(調整)が見受けられ、少し不思議な製品となっています。この様な調整を見てDimensity 800シリーズ製品として発表できないのかと考えると思いますが、こちらはCPUはARM Cortex-A76で共通となっておりDimensity 1000CはARM Cortex-A77を採用しているので、このシリーズに属することは出来ないでしょう。そのため、Dimensity 1000シリーズとDimensity 800シリーズの間に位置する単独製品と考えています。
Dimensity 1000Cの初採用機は既に発表されており、アメリカ合衆国のT-Mobile向けLG製LG VELVET 5Gが搭載します。LG VELVETは4G製品がSnapdragon 845を、5G製品は国と地域によってSnapdragon 765 5GとSnapdragon 765G 5Gを搭載していますので、今回の発表によって同じ「LG VELVET」という名称でも、4種類のSoCを搭載したモデルが存在していることになります。
ちなみにGPUの周波数はMediaTek Dimensityシリーズ製品ということで公開されていません。XiaomiやMotorolaがDimensity 1000Cを搭載した製品を発表すると明らかになりますが、もしこのLG VELVET 5Gのみが搭載した場合、実機が入手できないと判明しません。AnTuTu Benchmark v8のスコアが公開されればおおよその値は明らかになりますが、確実な値は本体の入手が必要です。