中国のHuaweiの完全子会社HiSiliconは自動車向けSoCも開発した経験があり、Kirin 990AというSoCを市場に出しています。今回、このKirin 990Aのスペックが今さらですが判明したので、簡単に紹介します。
Kirin 990AはHUAWEI Mate 30シリーズとP40シリーズが搭載したKirin 990 5GおよびKirin 990に似た名称を採用していますが、このSoCを構成しているスペックはまったく異なります。
Kirin 990 5GはTSMC 7nm N7P、Kirin 990はTSMC 7nm N7で製造されていますが、自動車向けSoCのKirin 990AはTSMC 28nm 28HPCとされています。当時は16nmプロセスや14nmプロセスが最新とされていたようです。そのため、28nmプロセスのKirin 990Aはやや古い製造技術を採用していると見れなくもないですが、異様に古い訳では無いので問題ありません。
CPUはモバイル向けSoCのKirin 990シリーズがCortex-A76 (セミカスタム)とCortex-A55を組み合わせましたが、Huaweiに詳しい中国の情報通の@秋葉梓洛氏の情報によると、Kirin 990AはTaiShan v120 Liteを4基、Cortex-A55を4基の4+4構成を採用したようです。従来のTaishan v110はCortex-A72をベースにセミカスタムしたと伝えられていますが、TaiShan v120が何をセミカスタムしたのか不明です。
GPUはKirin 990シリーズはMali-G76 MP16でしたが、Kirin 990AはMali-G76 MP8で半分になりました。また、NPUはDa Vinciアーキテクチャに基づくAscend D100 Liteを1基、Ascend D110 Tinyを2基採用したようです。Kirin 990 5GはLiteを2基とTinyを1基、Kirin 990はそれぞれ1基ずつ採用しています。
Kirin 990Aを採用したEV自動車として、2021年4月に展示されたARCFOX αS Hiがありますが、2023年8月現在になっても販売までは至っていません。OSはHuaweiが開発したHarmonyOSを搭載するとしています。
ちなみに、αS Hiの価格は329,800元 (約665万円)とされ、かなり挑戦的な価格設定となっています。しかし、販売されていないのでこの自動車にお金を払った人はいません。