HUAWEI Kirin 990Eのベンチマークスコアが判明、Kirin 990 5GとKirin 990と比較

HUAWEI Kirin 990Eのベンチマークスコアが判明、Kirin 990 5GとKirin 990と比較

2020年12月7日
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HUAWEI Mate 30E Pro 5Gが搭載しているTSMC製7nm+ EUV製造プロセスを採用したHUAWEI Kirin 990EのAnTuTu BenchmarkスコアとGeekbenchスコアが明らかになったので、マイナーチェンジ元となっているHUAWEI Kirin 990 5GとHUAWEI Kirin 990と簡単に比較を行います。比較に使用するベンチマークソフトはAnTuTu Benchmark v8とGeekbench 5で、AnTuTu Benchmark v8におけるスコアはAnTuTuが公開したものを使用するためパフォーマンスモードとノーマルモードの両計測が含まれた平均点となっているため、Kirin 990 5GとKirin 990のスコアもAnTuTuが公開しているものを使用します。

 

まず簡単にKirin 990Eを搭載したHUAWEI Mate 30E Pro 5GとKirin 990 5Gを搭載したHUAWEI Mate 30 Pro 5G、Kirin 990を搭載したHUAWEI Mate 30 Proのスペックを表にしてまとめています。HUAWEI Mate 30シリーズには5G通信に対応した5Gモデルと4G通信に対応した4Gモデルが有り、中国市場では両モデルが販売されていますが日本市場では5GモデルとなるHUAWEI Mate 30 Pro 5GがSIMフリー市場で販売されています。

 

型番がHAUWEI Mate 30 Pro 5GがLIO-AN00、HUAWEI Mate 30 ProがLIO-AL00、HUAWEI Mate 30E Pro 5GがLIO-AN00mとなっていることから、HUAWEI Mate 30E Pro 5GのベースモデルはHUAWEI Mate 30 Pro 5Gというのがわかると思います。HUAWEI Mate 30 Pro 5GとHUAWEI Mate 30E Pro 5Gのスペックを見てみると違いは内蔵ストレージ 512GBの有無、SoCがKirin 990 5GかKirin 990Eの違いだけになっています。価格は発表当初の価格を採用し、2020年12月現在HUAWEI Mate 30 Pro 5Gは8GB+128GBモデルが5899元、8GB+256GBモデルが6399元、8GB+512GBモデルが7399元となっているため、HUAWEI Mate 30E Pro 5Gの方がいくつか低く設定されています。

 

Kirin 990Eのスペックは台湾TSMC製7nm+ EUV製造プロセス、CPUは2xARM Cortex-A76+2xARM Cortex-A76+4xARM Cortex-A55のオクタコア構成で周波数は2.86GHz+2.36GHz+1.95GHz、GPUはARM Mali-G76 MP14 @周波数不明、5Gモデムを内蔵しているため5G通信に対応となっています。CPUはKirin 990 5Gと同じ、GPUはKirin 990 5GとKirin 990よりも2コア少なくなっています。

 

AnTuTu Benchmark v8におけるKirin 990Eのスコアは、CPU性能が141,908点、GPU性能が156,143点、MEM性能が90,652点、UX性能が67,844点で総合性能は456,551点となりました。CPU性能は周波数を考えるとKirin 990 5Gと同じになるはずですが、Kirin 990 5Gの方が高いのはノーマルモードよりもパフォーマンスモードで計測したモデルが多かったことが考えられます。実際、AnTuTuに公開してあるKirin 990 5Gを搭載した製品の中には同様のスコアを有しているものがあるため、Kirin 990 5GとKirin 990EのCPU性能は同じと考えても良いでしょう。

 

GPU性能はKirin 990 5GとKirin 990がARM Mali-G76 MP16 @600MHzとなっているため理論上は同じスコアになりますが、これも同様の現象によってKirin 990 5Gの方が高くなっていると考えています。しかし、Kirin 990 5GとKirin 990、ARM Mali-G76 MP14 @周波数不明を搭載したKirin 990Eを比較したところ、スコアがいくつか下がっていることが確認できます。GPUの周波数が不明なので完全な要因は不明ですが、GPUのコアが2個少ないことが要因となってスコアが低く算出されていると考えています。Kirin 990Eが算出したGPU性能の156,143点は、Qualcomm Snapdragon 855の約17万点、Snapdragon 845の約14万点のちょうど間の性能を有し、また、Kirin 990 5GとKirin 990の従来製品となるKirin 980は約13.5万点なのでKirin 990シリーズ製品であること名乗っても良い性能を有しています。

 

Geekbench 5でのスコアは、シングルコア性能は753点でマルチコア性能は2,986点という結果になりました。Kirin 990 5G、Kirin 990、Kirin 990Eともに2.86GHzのARM Cortex-A76を採用しているのでシングルコア性能は同じで、マルチコア性能はKirin 990 5GとKirin 990Eが2.86GHz+2.36GHz+1.95GHzなのに対しKirin 990は2.86GHz+2.09GHz+1.86GHzと周波数が下がっているのでKirin 990 5GとKirin 990Eは同じ性能でKirin 990は少し低い性能ということになりました。

 

Kirin 990EはKirin 990 5Gの下位方向のマイナーチェンジモデルで、CPUの性能はKirin 990 5Gと同じ、GPUの性能はKirin 990 5Gよりも低いという結果になりました。また、Kirin 990と比較するとCPU性能はKirin 990Eが優位で、GPU性能はKirin 990が優位になっているため、甲乙つけがたい製品となっています。Kirin 990Eは5G通信対応モデムを統合しているという利点から5G通信を利用できるという強みがあると考えてしまいますが、Kirin 990は単体では5G通信に非対応ですが外部モデムとしてBalong 5000を採用すれば5G通信を利用できるため、5G通信という観点からは特に強みにはならないでしょう。

 

ただ、Kirin 990 5GとKirin 990とKirin 990Eを比較するからわかりにくいですが、Kirin 990搭載製品は中国市場でも非常に少ないので考慮しなければKirin 990 5GとKirin 990Eの比較になり、性能差がわかりやすい状態となっています。