Dimensity 8100とDimensity 8000、Snapdragon 888 5G、Snapdragon 870 5Gを比較

Dimensity 8100とDimensity 8000、Snapdragon 888 5G、Snapdragon 870 5Gを比較

2022年の準旗艦製品が搭載しているMediaTekのDimensity 8100とDimensity 8000、QualcommのSnapdragon 888 5G、Snapdragon 870 5GをAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5で算出された性能を用いて比較を行います。

 

MediaTekの2製品は2022年に発表された新しい製品ですが、Qualcommの2製品は前者が2021年の旗艦製品、後者が2021年の準旗艦製品が搭載していましたので、良い意味で開発資源を上手に活用しています。

 

Dimensity 8100とDimensity 8000の主な仕様は、TSMC 5nmで製造、CPUはCortex-A78を4基、Cortex-A55を4基、GPUはMali-G610 MC6、RAM規格はLPDDR5、5G通信はSub-6GHzに対応しています。

 

Snapdragon 888 5Gの主な仕様は、Samsung 5nmで製造、CPUはCortex-X1を1基、Cortex-A78を3基、Cortex-A55を4基、GPUはAdreno 660、RAM規格はLPDDR5、5G通信はSub-6GHzだけでなくmmWave(ミリ波)に対応しています。

 

Snapdragon 870 5Gの主な仕様は、TSMC 7nmで製造、CPUはCortex-A77を1基、Cortex-A77を3基、GPUはAdreno 650、RAM規格はLPDDR5、5G通信はSub-6GHzとmmWaveに対応しています。

 

Snapdragon 870 5Gは2020年の旗艦製品が搭載していたSnapdragon 865 5Gの性能向上版なので、実質的に2年も使用し続けています。この2製品は近年のQualcommの製品では完成度が高いと評されているので、準旗艦製品として実用に耐えうる限りは搭載製品が発表され続けるでしょう。

 

4製品のAnTuTu Benchmark v9の総合性能は、Dimensity 8100が852,150点、Dimensity 8000が774,133点、Snapdragon 888 5Gが839,026点、Snapdragon 870 5Gが730,753点です。

 

Dimensity 8100はSnapdragon 888 5Gと同水準、Dimensity 8000はSnapdragon 870 5Gの上に位置し、性能で判断するとMediaTekの2製品に分があるでしょう。

 

CPU性能は203,616点、191,686点、211,253点、200,639点でDimensity 8100とSnapdragon 888 5Gは差がほとんどありません。

 

細かく見るとSnapdragon 888 5Gがわずかに優れましたが、Cortex-X1は消費電力を犠牲に高い性能を発揮するように設計されているので、Cortex-A78やCortex-A77を主として採用している他の製品のほうが電力効率は優れると思います。

 

GPU性能は316,939点、277,620点、323,720点、242,083点で、Dimensity 8100とSnapdragon 888 5Gが同じ性能を発揮しました。

 

GPU性能はQualcommの牙城でしたが、Dimensity 8100の登場でその地位が揺らいでいます。現在は最適化の差でQualcommの製品が優れますが、匹敵する性能を持つMediaTekの製品を無視するのは難しいと思うので、2023年や2024年は同等に扱えるかもしれません。

 

Geekbech 5はCPU性能を計測し、シングルコア性能とマルチコア性能を算出します。前者は逐次処理、後者は並列処理の性能を計測していますので、前者も後者も非常に大事です。

 

シングルコア性能は968点、933点、1,119点、1,018点で、Cortex-X1を採用したSnapdragon 888 5Gが頭ひとつ抜けた性能を発揮しました。

 

Cortex-X1は消費電力が犠牲になりますが、Cortex-A78と比較して22%も優れた性能を発揮できるので、逐次処理の多い携帯電話では搭載する意味はあると思います。ただ、準旗艦の枠組みでは省電力性が考慮されるので、Cortex-X1の採用はあまり価値がないと思います。

 

マルチコア性能は4,064点、3,781点、3,617点、3,119点でMediaTekの2製品が2021年の旗艦製品を上回る性能を発揮しました。

 

要因として考えられるのは全体的に動作周波数が高く、LITTLE側のCortex-A55が2.0GHzに設定されているためでしょう。また、TSMC 5nmでの製造も高い性能を発揮した要因のひとつで、Samsung 5nmよりも高い製造技術と評され、高い性能を高効率で発揮することができました。

 

性能に順番をつけた場合、Dimensity 8100、Snapdragon 888 5G、Dimensity 8000、Snapdragon 870 5Gになります。2022年の準旗艦が2021年の旗艦を上回っているので、Dimensity 8100の登場は市場の活性を促す可能性があります。

 

ただ、AI性能やISP性能、通信の性能はSnapdragon 888 5Gが優れ、前述の最適化の部分でも優位性を保つため、完全に劣ったわけではありません。そのため、Dimensity 8100とSnapdragon 888 5Gは消費者目線では良い関係を持つ製品と認識できます。

 

製品を購入する際はDimensity 8100やSnapdragon 888 5Gの搭載で選択するのではなく、その他の設計や機能で選択したほうがいいでしょう。それは、この2製品の場合はどちらを搭載していても満足できる性能を発揮するためで、中身ではなく普段から目にする外観を重視してほしいと思うからです。