Dimensity 6100+のベンチマークスコアが判明

Dimensity 6100+のベンチマークスコアが判明

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realme 11 5Gとrealme 11x 5Gが初搭載したDimensity 6100+のベンチマークスコアが判明したので、この製品と同じくDimensity 6000シリーズに属する製品と比較します。

 

Dimensity 6000シリーズはMediaTekは「メインストリーム向けSoC」と位置づけており、現時点ではDimensityを冠する製品群としては一番下に位置します。そのため、MediaTekがDimensityにおいて最低でもこの程度の性能は発揮したいと考えられているシリーズとなります。

 

Dimensity 6100+の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 6nm N6、CPUは最大2.20GHzで動作するCortex-A76を2基、最大2.00GHzのCortex-A55を6基の2+6構成、GPUは最大1100MHzのMali-G57 MC2、RAM規格はLPDDR4X、内蔵ストレージ規格はUFS 2.2、5G通信に対応しSub-6GHz帯をサポート、この他の通信としてWi-Fi 5、Bluetooth 5.2をサポートします。

 

比較対象のDimensity 6020はDimensity 700のリネーム品、Dimensity 6080はDimensity 810から何か変化した製品 (型番がMT6833PからMT6833GPに変更)です。Dimensity 6100+の登場によってDimensity 6000シリーズが昔の製品をリネームしただけのシリーズになってしまうところを回避しました。

 

CPUは共通して高性能なCortex-A76を2基、高効率なCortex-A55を6基の2+6構成ですが、クロック数がDimensity 6100+とDimensity 6020は最大2.20GHzと最大2.00GHzに設定されている一方で、Dimensity 6080は最大2.40GHzと最大2.00になっています。そのため、Dimensity 6100+はDimensity 6080よりもCPUのクロック数が低いのに、名称は上に位置しています。

 

GPUは共通してMali-G57 MC2を採用しています。Dimensity 6020はDimensity 700のリネーム品なので950MHzと判明していますが、Dimensity 6080は型番の変更によって性能に差がある可能性を考慮して不明としています。ちなみに、今回の主役のDimensity 6100+はクロック数が最大1100MHzと判明しています。

 

気になる人がいるかわからないですが少し解説すると、MediaTekがGPUのコア数をMC表記にするのは、多くの企業がカメラの画素数をMP表記にすることが関係しています。MPはカメラの画素数の場合はメガピクセル、GPUのコア数であればマルチプロセッサーを意味するため、SoCのスペック表に異なる「MP」が存在することによって混同されることを避けています。

 

 

AnTuTu Benchmark v10 OBにおけるDimensity 6100+の性能は、CPU性能は139,118点、GPU性能は64,969点、MEM性能は115,546点、UX性能は114,269点で、総合性能は443,892点となりました。

 

何故だかわからないのですが、CPU性能は最大2.40GHzと最大2.00GHzに設定され、この場合では性能が一番高いはずのDimensity 6080が最下位になりました。違いは2基のCortex-A76だけなので大幅な差がつくことはありませんが、上にいるはずのDimensity 6080が他のSoCよりも下に位置しているのは不思議です。

 

採用したデータが悪いと言われそうなので弁明すると、現時点ではDimensity 6080を搭載した製品はInfinix NOTE 30 5GとTECNO POVA 5 Pro 5Gと少ないです。ですが、これらの製品をレビューした記事や動画では同様の性能が発揮されており、CPU性能が130,000点を超えることはありませんでした。

 

Dimensity 6100+のCPU性能は競合他社製品で表すとSnapdragon 690 5G程度で、現時点でそれなりに快適に利用する必要最低限のCPU性能と言えます。一方でGPU性能はQualcommの製品で同等のものがなく、CPU性能で例に出したSnapdragon 690 5Gよりもやや低い性能を発揮しています。

 

Dimensity 6100+とSnapdragon 690 5Gが似た性能を発揮しているとわかりましたが、これらの製品には明確な違いがあり、サポートするLPDDR4X RAMのメモリークロックに違いがあります。前者は2133MHzですが後者は1866MHzなので、同じLPDDR4X RAMを搭載した場合は前者のほうが優れた性能を発揮します。

 

 

Geekbench 6におけるDimensity 6100+の性能は、シングルコア性能が733点、マルチコア性能が1,971点となりました。GeekbenchはAnTuTu Benchmarkとは異なり、基準点が存在しています。Geekbench 6では2022年1月に発表されたPC向けのIntel Core i7-12700の発揮する性能が2,500点に設定されています。

 

Dimensity 6080はAnTuTu v10 OBでは満足のいく性能が発揮できませんでしたが、シングルコア性能は高性能なCortex-A76が最大2.40GHzに設定されていることによって、最大2.20GHzの他のSoCよりも高い性能を発揮しました。

 

マルチコア性能でも、最大2.40GHzのCortex-A76と最大2.00GHzのCortex-A55を組み合わせたDimensity 6080が優位に立っており、AnTuTu v10 OBでの不甲斐ないCPU性能は何故発揮されてしまったのか本当に謎です。

 

Dimensity 6100+とDimensity 6020は共通して高性能側のCortex-A76は最大2.20GHz、高効率側のCortex-A55は最大2.00GHzに設定されているので同じ性能が発揮されています。しかし、これはスペックを見ると同じ性能を発揮するのはおかしく、前者は6nmプロセス、後者は7nmプロセスで製造されているので通常は前者がわずかに優位に立つ必要があります。

 

 

Dimensity 6100+は評価が非常に難しいSoCとなりました。ほぼ同じ性能を発揮する古い製品をリネームしたDimensity 6020を継続して製造し供給し続ける方がコスト的にMediaTekにとってうれしいのではないかと思います。

 

ただ、今回の比較ではDimensity 6100+とDimensity 6020の省電力性については考慮していません。もし、この部分でDimensity 6100+に優位点があればデバイスを長く使用し続けることが出来るため、消費者にとってはうれしいと思います。

 

現時点ではDimensity 6100+はrealme 11 5Gとrealme 11x 5Gしか搭載していませんが、最近の日本市場はAQUOS wish3やLibero 5G IIIなどのDimensity 700 (現: Dimensity 6020)を搭載した製品がいくつか発表されているので、Dimensity 6100+を搭載した製品が投入される可能性はあります。

 

Dimensity 6100+は「最低限の快適な利用」を想定したDimensity 6000シリーズに属しているため、これを搭載した製品を購入したいと思った場合は価格との相談になるでしょう。ちなみに、初搭載した製品のrealme 11x 5Gは14,999インドルピー (約26,500円)、realme 11 5Gは18,999インドルピー (約33,500円)に設定されています。

 

 

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