Samsungが2022年上半期に大量生産を予定している次世代規格の3nmのリスク生産を行ったところ、歩留まり率が10%から20%だったと韓国の媒体のSBS Bizが伝えました。リスク生産は顧客からの発注前に行う独自の試験生産を表します。
同社の3nmはGAA(Gate-All-Around)技術を発展したMBCFET(Multi-Bridge-Channel FET)技術を採用し、5nm EUVと比較して面積が最大35%縮小、性能が最大30%向上、消費電力が最大50%削減されるようです。GAA技術は競合他社のTSMCはN2と呼称する2nm、IntelはIntel 20Aと呼称する2nmで採用するため、Samsungは業界に先駆けて採用します。
2021年10月に開催したSamsung Foundry Forum 2021では3nm GAAの歩留まり率は大量生産中の4nmと同等と発表していましたが、SBS Bizは10%から20%と伝えました。4nm採用のSnapdragon 8 Gen 1が35%なので、低いところの話ですが決して同等ではありません。
そして、歩留まり率10%は1枚のウェハあたり10%が規格適合品、90%が不適合品を表すため、単刀直入に表現すると生産する度に不良品が大量に発生する状況です。ただ、歩留まり率が10%から20%は、視点を変えると大量生産中の4nmが35%なので、優れていると解釈出来なくもないです。
今回のリスク生産を経て改善を図るので、顧客から発注した製品を製造する際は歩留まり率が改善しているでしょう。しかし、旧技術の4nmが50%を超えたとの報道はないため、改善されたとしても不良品を大量に生産する状況が変わる見込みはなく、3nm GAAは厳しい生産となるでしょう。