中国のHuaweiは2026年6月1日に開催したHUAWEI nova 16シリーズの発表会で、同シリーズと同時にHUAWEI MatePad Pro Maxを発表しました。そして、Huaweiはこの製品に新SoCのT93とT93 Proを搭載していることを明らかにしたため、簡単にですがまとめておきます。
| 名称 | T93 Pro | T93 | T92 |
| CPU | 1x TaiShan-Big
4x TaiShan-Middle 4x TaiShan-Little (9 Cores / 14 Threads) (L3 Cache: 12MB) |
1x TaiShan-Big
3x TaiShan-Middle 4x TaiShan-Little (8 Cores / 12 Threads) (L3 Cache: 12MB) |
1x TaiShan-Big
3x TaiShan-Middle 4x TaiShan-Little (8 Cores / 12 Threads) (L3 Cache: 10MB) |
| 識別子 | 72_3334
72_3399 72_3364 |
72_3334
72_3399 72_3364 |
72_3333
72_3398 72_3363 |
| リビジョン | r2p0
r2p0 r2p0 |
r2p0
r2p0 r2p0 |
r2p1
r2p1 r2p1 |
| 動作周波数 | 2.75GHz
2.27GHz 1.72GHz |
2.69GHz
2.27GHz 1.72GHz |
2.50GHz
2.27GHz 1.60GHz |
| GPU | Maleoon 935 6CU | Maleoon 935A 5CU | Maleoon 920 4CU |
| 動作周波数 | 933MHz | 933MHz | 840MHz |
| NPU/DSP | Ascend NPU
1x Lite 2x Tiny |
Ascend NPU
1x Lite 2x Tiny |
Ascend NPU
1x Lite 1x Tiny |
| カメラ | Kirin ISP 9.0 | Kirin ISP 9.0 | Kirin ISP 8.0 |
| リフレッシュレート | ? | ? | ? |
| エンコード/デコード | ? | ? | ? |
| RAM | LPDDR5X (4266MHz)
(System Level Cache: 12MB) |
LPDDR5X (4266MHz)
(System Level Cache: 12MB) |
LPDDR5X (4266MHz)
(System Level Cache: 8MB) |
| ストレージ | UFS 4.0 | UFS 4.0 | UFS 4.0 |
| USB | USB 3.1 Gen 1 | USB 3.1 Gen 1 | USB 3.1 Gen 1 |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 (11be) | Wi-Fi 7 (11be) | Wi-Fi 7 (11be) |
| Bluetooth | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 5.2 |
| 位置情報 | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo
(GNSS: L1 / L5) |
GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo
(GNSS: L1 / L5) |
GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo
(GNSS: L1 / L5) |
| 通信 | - | - | - |
| 充電規格 | HUAWEI SuperCharge | HUAWEI SuperCharge | HUAWEI SuperCharge |
| 製造プロセス | SMIC 7nm N+3 | SMIC 7nm N+3 | SIMC 7nm N+2 |
| 型番 | ? | ? | ? |
| 公式サイト | - | - | - |
新たに登場したKirin T93 Proの主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+3、CPUが最大2.75GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.27GHzで動作するTaiShan-Middleと最大1.72GHzで動作するTaiShan-Littleを1+4+4構成で採用、GPUは最大933MHzで動作するMaleoon 935 6CU、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、モバイルデータ通信は非対応です。
同時に登場したKirin T93の主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+3、CPUが最大2.69GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.27GHzで動作するTaiShan-Middleと最大1.72GHzで動作するTaiShan-Littleを1+3+4構成で採用、GPUは最大933MHzで動作するMaleoon 935A 5CU、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、モバイルデータ通信は非対応です。
Kirin T93 ProはHUAWEI Mate 80 Proなどが搭載しているKirin 9030 Proからモデム機能を無効化、Kirin T93はHUAWEI Mate 80などが搭載しているKirin 9030からモデム機能を無効化されたものです。モデム機能を無効化するのは歩留まりの問題ではなく、必要ないから無効化していると考えています。Snapdragon 8 Elite Gen 5を搭載してもモバイルデータ通信に非対応のOPPO Pad 5 ProやLEGION Tab (8.8”、5)が展開されているのと同じ理由でしょう。
Huaweiが自社開発しているCPUのTaiShan (泰山)はSMT (同時マルチスレッディング)に対応しており、モバイルデバイス向けながら「1コア・2スレッド」が実現されています。これにより、Kirin T93 Proは2+8+4の計14スレッド、Kirin T93は2+6+4の計12スレッドとなっています。この技術はQualcommやMediaTek、Apple、Google、サムスン電子といった企業は採用していないので、Huaweiは業界に先駆けて採用しています。
HuaweiはKirinの製造をSMICに委託していますが、このSMICは経済政策によってASMLのEUV (極端紫外線)露光装置を導入できず、従来のDUV (深紫外線)露光装置を利用せざるを得ない状況となっています。これによりTSMCやサムスンファウンドリが達成している5nmプロセスの壁を突破することが事実上不可能となっています。そのため、CPUの性能を上方向に高める性能向上には業界を変革する技術が必要になりますが、横方向であれば現在の技術で向上できるので導入したと業界では考えられています。
そんな中、Huaweiは苦難な状況ではありますが研究開発を重ね、2026年5月にムーアの法則に代わる新たな法則「タウの法則」を提唱します。その法則によって2026年にはCPUの動作周波数は3.10GHzに達し、2029年には4.00GHzに、2031年には5.00GHzとなり、業界を変革して上方向に性能を高めることが出来るようになりました。これまでのKirinは競合他社と比較すると2年から3年古い性能でしたが、新たな法則によって最終的には同程度の性能になる可能性があります。
HUAWEI MatePad Pro Maxが搭載したKirin T93 Proは、2024年11月に発表されたHUAWEI MatePad Pro 13.2" 2025が搭載したKirin T92と比較してCPU性能は25%、GPU性能は40%、NPU性能は70%も向上したと発表しました。同社は経済政策を受けてからは新しいKirinの性能向上を「総合性能」で発表していましたが、これは項目ごとに発表しているのでかなり異例です。
自社開発OSのHarmonyOSの最適化を考慮した総合的な性能向上幅は45%で、公開されている情報によるとHUAWEI MatePad Pro MaxはHarmonyOS 6.1.0.130を搭載し、HUAWEI MatePad Pro 13.2" 2025はHarmonyOS 4.3を搭載しているようです。SoC単体の性能向上と、OSも考慮した性能向上を両方提示するのは親切です。これは「あらゆるものを自社開発している」強みを活かしています。
Kirin T93 Proを初搭載したHUAWEI MatePad Pro Maxの通常版価格は6199元 (約148,500円)からで、アンチグレアディスプレイの柔光版は7399元 (約177,500円)からに設定されています。販売は2026年6月1日より行われており、販売開始が発表日と同じです。
Kirin T93を搭載しているHUAWEI MatePad Pro Max 悦享款の価格は5999元 (約144,000円)からで、通常版と柔光版と同じく2026年6月1日より販売されています。
ちなみに、Kirin T93 Proを搭載したHUAWEI MatePad Pro Maxはヨーロッパやマレーシアなどの国際市場でも販売されていますが、Kirin T93を搭載したHUAWEI MatePad Pro Maxは中国市場のみで販売されています。そのため、Kirin T93を実感したいという方は中国市場向けを購入するしかなく、やや入手が難しくなっています。






