中国のレビュアーの極客湾Geekerwan氏が告発して話題となった「レビュー機による不正」ですが、ついに巨大な組織となる中国の国営テレビ局のCCTV (中国中央電視台)が動き、その不正を暴きました。その結果は非常に残念なもので、これから何を信じればいいのか不安になります。
極客湾Geekerwan氏が意を決して告発した内容としては、特定の企業は「ゴールデンチップ」と呼ばれる高い性能を低い消費電力で達成できるチップを搭載したモデルをレビュアーに渡したり、Xiaomiなどは可変レートシェーディング (Variable Rate Shading)を初期設定で「強制的」に有効化しGPUの負荷を減らして性能向上を不当に実現しているといったものでした。しかし、Appleは目立った不正行為が見つからず、OSのアップデートで消費者向けデバイスがレビュー機よりも高い性能が発揮できるようになるといった誠実性がある企業として紹介されました。
不正問題が加熱したことがきっかけか不明ですが、ついに中国の国営テレビ局のCCTVは「不正問題の調査」に乗り出しました。サイバーセキュリティの専門家の辺亮 (Bian Liang)氏によると、3層による不正が行われており、第1層はレビュー機でハードウェアレベルの最適化、第2層はレビュアーを検知して性能を底上げするソフトウェアレベルの最適化、第3層はクラウドを利用して遠隔制御する設定の最適化があるとしています。
第1層のハードウェアレベルの最適化は極客湾Geekerwan氏が告発したことで判明した「ゴールデンチップ」で、第2層はレビュー機のファームウェア内に識別プログラムが組み込まれており、レビュアーを検知すると自動的に高性能モードを有効にするといったものです。この識別プログラムによる不正で高い性能を発揮しますが、視聴者は不正が行われていると常日頃から疑っているわけではないのでその製品が他社よりも輝いて見えるようになり、結果として製品を購入してしまうといった流れになります。
第3層はクラウドを利用した遠隔制御で、システムがレビュアーによるテスト開始を検知すると「不正モード」に切り替わり、CPU性能を自動的に向上し、画面輝度を引き上げ、バックグラウンドの読み込み処理の最適化を行います。しかもその「読み込み処理の最適化」は、アプリを切り替える際にアプリ全体ではなくインターフェースだけを読み込んでスムーズに動作しているように見せているほどの力の入れようです。
この不正を調査した辺亮 (Bian Liang)氏によると、発覚のリスクを最小限に抑えるために不正を行うメカニズムは幾度も改良が重ねられており、実態を暴くことが非常に困難になっているとしています。たまたま今回は暴けなかっただけで、第4層や第5層の不正が存在する可能性は大いにあります。
日本ではYouTuberのさいちょう氏によってREDMAGICが不正を行っていると告発され問題になりましたが、もしかするとあれは不正の中でもわかりやすいものだったのかもしれません。その前の段階で内部的には「ゴールデンチップ」の特殊なハードウェア、レビュアーを検知する特殊なファームウェアによる性能の引き上げ、クラウドを利用した遠隔制御が組み合わさっており、一般の消費者が「正しいレビュー」と「不正されたレビュー」を見抜くことは不可能です。
ただ、この問題を受けてレビュー機でのレビューを全否定するのは間違っています。大事なのは「疑うこと」で、正しく疑ってレビュー機によるレビュー動画を視聴したり、レビュー記事を読んだりしましょう。あなたが疑いの目で業界を監視すると、正しい情報が出てくることに繋がります。監視を放棄するとまた不正の温床になってしまいます。
今回は性能に注目して不正が暴かれたので、カメラに関しては信頼できると感じた人もいるかもしれませんが、実は過去にカメラで不正をした企業があります。特定の企業名を出すとvivoで、今回の不正と酷似していますが調整されたファームウェアを搭載してDXOMARKにテストさせていたことがありました。不正にまみれたこの業界、いったいどうすれば正常化するでしょうか。





