Google Tensor G3のベンチマークスコアが判明

Google Tensor G3のベンチマークスコアが判明

2023年10月19日
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今回、Pixel 8とPixel 8 Proが初搭載したGoogle Tensor G3のベンチマークスコアが判明したので過去の製品と比較します。

 

今回の比較のために引用したデータはピーク時の性能のため、継続的な利用を行った際の安定性に関しては考慮していません。そういった性能を知りたい場合は実際に動作させている様子がわかるレビュー記事や動画を見るといいでしょう。

 

Google Tensor G3の主な仕様は、製造プロセスはSamsung 4nm SF4 (旧4LPP)、CPUは最大2.91GHzで動作するCortex-X3を1基、最大2.37GHzのCortex-A715を4基、最大1.70GHzのCortex-A510 Refreshedを4基で1+4+4のノナコア構成、GPUは最大890MHzと最大900MHzのMali-G710 MP7、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHzとmmWave (ミリ波)をサポート、この他Wi-Fi 7とBluetooth 5.3をサポートします。

 

製造プロセスはSamsungの4nmプロセスに基づくSF4で、Googleは初めて4nmプロセスを採用しました。Google Tensor G2と初代Google Tensor (実質的にG1)はSamsungの5nmプロセスを採用していたので競合他社から遅れをとっていましたが、Pixel 8シリーズの発売をもって追いつくことに成功しました。

 

CPUはCortex-X3を1基とCortex-A715を4基、Cortex-A510 Refreshedを4基の1+4+4構成を採用しています。ユニークなノナコア構成を採用している点は多くの人たちが注目する部分ですが、個人的には高効率なCortex-A510 Refreshedが最大1.70GHzとやや低い設定になっていることが気になります。

 

GPUはMali-G715 MP7で、Google Tensor G2が採用したMali-G710から1世代新しいものになりました。Armの発表によるとMali-G715はMali-G710から15%の性能向上に成功したとされているため、同じ積載数ですが性能は上がると見ています。

 

 

AnTuTu Benchmark v10 OBにおけるGoogle Tensor G3の性能は、CPU性能が371,423点、GPU性能が372,744点、MEM性能が187,629点、UX性能が209,388点で総合性能は1,141,184点となりました。

 

Google Tensor G2と比較してCPU性能は約50.4%、GPU性能は約38.8%の性能向上に成功しました。製品としては1世代進化しただけですが、性能向上幅は競合他社における2世代進化と同等と言えます。

 

CPU性能の大幅な向上に寄与したのは構成するCPUがすべて新しい世代になったこと、オクタコア構成からユニークなノナコア構成になったことのふたつが考えられます。

 

Google Tensor G2では超高性能コアとして2020年5月に発表されたCortex-X1を2022年の製品に搭載しましたが、今回のGoogle Tensor G3では2022年6月に発表されたCortex-X3を採用したため、大きく性能が向上したと考えています。

 

GPUは積載数は共通ですが、採用したものがMali-G710からMali-G715に新しくなったので性能向上に成功しました。また、細かい点で言えば基本的な処理を担当するShadersのクロック周波数が848MHzから約4.8%高い890MHzに上昇したため、こういったところからも性能向上に寄与したと思います。

 

ひとつ注意点としてGPU性能の「数値」だけを見ると初代Google TensorがGoogle Tensor G3を上回っていることになりますが、実は前者が計測したのはLite版における性能です。そのため、計測におけるシナリオやストレス要件が異なり、通常版とLite版は比較できません。GPU以外の性能 (総合性能は除く)は比較できるため、CPU性能に注目するとGoogle Tensor G3は初代Google Tensorと比較して約42.7%の性能向上に成功しました。

 

 

Geekbench 6におけるGoogle Tensor G3の性能は、シングルコア性能が1,767点、マルチコア性能が4,579点となりました。

 

Google Tensor G2と比較すると、シングルコア性能は約18.0%、マルチコア性能は約17.3%の成長に成功していることがわかりました。

 

シングルコア性能はCortex-X3とCortex-X1の性能を比較しており、当然といえば当然ですが性能向上に成功しました。補足情報として記しておくと、最大2.91GHzのCortex-X2の性能は1,663点です。

 

マルチコア性能は2+2+4のオクタコア構成から1+4+4のノナコア構成になったので大きく成長すると思いましたが、実際には期待するほどの成長は実現されませんでした。この要因として考えられるのは高効率コアとして採用したCortex-A510 Refreshedが最大1.70GHzに設定されていることだと思います。

 

 

Google Tensor G3は従来品のGoogle Tensor G2から飛躍的な成長を遂げていますので、Pixel 8とPixel 7では明らかな体験の差があると考えています。ただ、競合他社のフラッグシップ向けの製品と同等の性能ではないことには注意が必要です。

 

特にCPU性能は超高性能コアがCortex-X1からCortex-X3に変更されたので、瞬間的な処理は横に並べなくても違いに気づくことができるでしょう。そして、GPU性能も従来品から大きな成長に成功してるため、高負荷な要求を行うアプリ (原神や崩壊:スターレイルなど)で設定をひとつ上にしても問題ないと思います。

 

Google Tensor G3を搭載したPixel 8とPixel 8 Proは日本市場でも販売されており、Google公式が運営するGoogleストアの他に、NTTドコモ、au、ソフトバンクで購入することができます。