Exynos 1280(S5E8825)を搭載したGalaxy A53 5Gが日本市場向け発表されたので、Galaxy A52 5G搭載のSnapdragon 750G 5G、Galaxy A51 5G搭載のSnapdragon 765G 5Gを、AnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能で比較します。(Galaxy A50 5Gは存在しません)
Exynos 1280の主な仕様は、プロセス技術はSamsung 5nm LPE、CPUは2xCortex-A78 2.4GHz+6xCortex-A55 2.0GHz、GPUはMali-G68 MP4 @897MHz、RAM規格はLPDDR5(2750MHz)、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、5G通信はSub-6GHzが利用できます(mmWaveは不明)。
Exynos 1280はSamsungが詳細な仕様を公開していないため、搭載製品やKernel Sourceから判明したものを仕様として採用しています。通常は搭載製品の発表当日や1週間後に公開されていますが、Exynos 1280は仕様がまったく公開されていないので正しい比較が難しく、やや不満をいだいています。
CPUは2.4GHzのCortex-A78を2基、2.0GHzのCortex-A55を6基採用し、Snapdragon 750G 5GがCortex-A77、Snapdragon 765G 5GがCortex-A76なので順当に世代が向上しています。動作周波数は2.4GHzと2.2GHz、2.4GHzに設定されているため、Exynos 1280が他の製品より優れるでしょう。
GPUはMali-G68 MP4を採用。Google TensorやKirin 9000が採用しているMali-G78の少数版で、MP1からMP6をMali-G68、MP7からMP24をMali-G78と呼称します。そのため、極端な例となりますがMali-G68 MP6 @1000MHzとMali-G78 MP22 @1000MHzのSoCがあった場合は、1基あたりの性能は同じです。
5GはSub-6GHzの対応がGalaxy A33 5GやGalaxy A53 5Gから判明していますが、mmWave(ミリ波)の対応可否は不明です。(Galaxy A53 5G SC-53CとGalaxy A53 5G SCG15もmmWave非対応)
Exynos 1280のAnTuTu Benchmark v9の性能は、CPU性能が124,088点、GPU性能が124,992点、MEM性能が76,282点、UX性能が109,848点で総合性能は435,210点となりました。
CPUの性能に注目すると、Exynos 1280は124,088点、Snapdragon 750G 5Gが121,221点、Snapdragon 765G 5Gが112,408点なので、わずかな差ですがExynos 1280が優位に立ちました。わずかな差に収まった理由は6xCortex-A55の共通した採用が挙げられ、Cortex-A77やCortex-A78が優れていても総合的に見るとCortex-A55が多いため、性能に差がつきにくいです。総合的に見ると差はあまりありませんが、プロセス技術は最先端で、Cortex-A55を多く採用しているので省電力性は優れます。
GPU性能は、Exynos 1280は124,992点、Snapdragon 750G 5Gが93,473点、Snapdragon 765G 5Gが102,869点なので、こちらに関しては大きな差が発生しました。Mali-G68とAdreno 619、Adreno 620で異なるため、仕様を見て詳しく考察できません。
原神(Genshin Impact)がどの程度最適化を進めているのかわかりませんが、算出された性能だけで判断すると、性能を下げるとやや快適に遊べるでしょう。
CPU性能を専門的に計測するGeekbench 5の性能は、シングルコア性能が746点、マルチコア性能が1,916点となりました。Geekbench 5のシングルコア性能は2017年に発表されたIntel Core i3-8100の1,000点を基準としています。
シングルコア性能に注目すると、Exynos 1280は746点、Snapdragon 750G 5Gは629点、Snapdragon 765G 5Gは609点となり、2.4GHzのCortex-A78が圧倒的な優位性を見せました。大きな差がついているので、同じ操作をした時にExynos 1280は良い感覚を覚えると思います。
マルチコア性能は、Exynos 1280は1,916点、Snapdragon 750G 5Gが1,846点、Snapdragon 765G 5Gが1,836点で、Cortex-A55が2.0GHzに設定されているため、Exynos 1280が優位に立ちました。この差を実感する時は今すぐに来ないと思いますが、1年から2年後になるとExynos 1280を選んだ理由が出てくるでしょう。
Galaxy A51 5GやGalaxy A52 5Gからの機種変更(乗り換え)に関しては、どちらから移っても満足できると思いますので、様々な余裕があるならば問題ないと思います。
ただ、懸念材料としてSnapdragonではなくExynosを採用しているため、最適化が進んでいないゲームを利用すると満足度が下がる可能性があり、世界的に有名な原神やPUPG Mobileの場合は問題ありませんが、日本人しか遊ばないゲームは要注意です。
Galaxy A53 5GはNTTドコモとau(KDDI)、UQ mobileでの販売が発表されており、発売は2022年5月下旬以降を予定しています。日本市場における製品名はGalaxy A53 5G SC-53C、Galaxy A53 5G SCG15です。