Snapdragon 888 5GとExynos 2100、Kirin 9000、Dimensity 1200を比較

Snapdragon 888 5GとExynos 2100、Kirin 9000、Dimensity 1200を比較

2021年5月11日
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2021年度真旗艦SoCのQualcomm製Snapdragon 888 5G、Samsung製Exynos 2100、HUAWEI(HiSilicon)製Kirin 9000、MediaTek製Dimensity 1200をAnTuTu Benchmark、Geekbench、3DMarkを用いて比較します。

 

それぞれのSoCの特徴として、Snapdragon 888 5GとExynos 2100はCPUに高性能なCortex-X1を採用、Kirin 9000はTSMC製5nmに加えて最大集積数のMali-G78 MP24を搭載、Dimensity 1200はTSMC製6nmに加えてCPUにA78(3.0GHz)を採用しています。

 

RAM規格はSnapdragon 888 5GとExynos 2100とKirin 9000がLPDDR5をサポートしていますが、Kirin 9000のみ2750MHz。そしてDimensity 1200は1世代古いLPDDR4Xをサポートしており、2021年度の真旗艦SoCとしては少しつらい立場にいます。

 

5G NRは全てモデムが統合され、Snapdragon 888 5GとExynos 2100とKirin 9000がmmWave(ミリ波)もサポート、Dimensity 1200はSub-6GHz帯のみサポートしています。私の知る限りでは日本とアメリカ合衆国でミリ波が商用されていますが、その他の国と地域ではSub-6GHz帯のみなので対応していないことは残念ではありますが非対応でも問題はないように感じます。

 

AnTuTu Benchmark v9でのそれぞれのSoC搭載製品は、OPPO Find X3 Pro(12GB+256GB)、Galaxy S21 Ultra(12GB+256GB)、HUAWEI Mate 40 Pro(8GB+256GB)、Redmi K40 Gaming(8GB+128GB)を採用しています。

 

総合性能はSnapdragon 888 5Gが831,801点、Exynos 2100が767,865点、Kirin 9000が754,898点、Dimensity 1200が683,696点で、Snapdragon 888 5Gが頂点に立ちました。SamsungがExynos 2100で自社製CPUをやめたことでSnapdragon 888 5Gに肉薄すると考えられていましたが、残念ながらその様な結果にはなりませんでした。

 

CPU性能の着目すると、総合的に周波数の高いExynos 2100よりもSnapdragon 888 5Gの方が優れている結果が出ています。これはExynos SoC特有のガバナー“energy_step”が関係していると考えており、このガバナーは全てのコアが最大周波数で動作しないように調整されているため、全てのシーンにおいて最高性能を発揮できるSnapdragon 888 5Gが優れたと考えています。

 

GPU性能はSnapdragon 888 5Gが優位で、その次にKirin 9000が続いています。例年Kirin SoCの及第点としてGPU性能が挙げられていましたが、マイナスなイメージを払拭しています。ただ、一連の疑惑による制裁によってその完成度の高いSoCが最後なる可能性があり、更に完成度の高い後継製品の登場を見る事なく道半ばで退場を余儀なくされています。

 

Geekbench 5.4.1ではAndroid OSとiOSのクロスプラットフォームの比較を認めているので、iPhone 12シリーズが採用しているApple A14 Bionicを参考として追加しています。

 

Android OSにおいてはシングルコア性能はSnapdragon 888 5Gが優位ですが、マルチコア性能はKirin 9000が優位です。

 

シングルコア性能は同じX1を採用し最大周波数が2.9GHzになっているExynos 2100が優れるはずですが、よく見ると画像処理やHTML5やSQLiteのデータ処理で差が生まれています。さらに、直接的に関係しているかわかりませんがcacheサイズもSnapdragon 888 5Gが優れています。

 

マルチコア性能はSnapdragon 888 5GよりもKirin 9000の方がわずかに優位に。これは周波数が高いこと(特にA55は1.8GHzに対して2.05GHz)や、TSMC製5nm EUV製造プロセスの採用が要因でしょう。GeekbenchでもKirin 9000の素晴らしさが見えたので、これが最後になると思うと本当に惜しいです。

 

3DMark Wild LifeはVulkan API(iOSはMetal)を使用し、Android OSとiOSのクロスプラットフォームの比較を認めているので、こちらもA14 Bionicを参考として追加しています。

 

よりスコアの高いほうが優れており、Android OSではKirin 9000が優れていると結果が出ました。この数値が高いと潜在的な能力が高く、ゲーム利用時に処理落ちしにくいメリットがあります。もちろんアプリ側の最適化あってのゲームなので「この数値が高い=完全に優れている」とは言えないので注意してください。

 

2021年度の真旗艦SoCはSnapdragon 888 5Gで間違いないでしょう。ただ、Exynos 2100もKirin 9000もDimensity 1200も高いレベルで戦っているので、どれを選んでも満足できるのではないかと思います。

 

特に今年はGPU性能が及第点だったKirin SoC、総合的な性能不足が及第点だったDimensity SoCもその問題をクリアしているので、過去のイメージにとらわれていると足をすくわれるかもしれません。