Snapdragon 8 Gen 1とDimensity 9000、Exynos 2200を比較

Snapdragon 8 Gen 1とDimensity 9000、Exynos 2200を比較

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QualcommのSnapdragon 8 Gen 1、MediaTekのDimensity 9000、SamsungのExynos 2200をAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5を用いて比較を行います。今回の3製品はAndroid市場で旗艦級の性能を有しており、「より優れたものが求められる市場」で戦っています。

 

主な仕様は上の通りで、CPUはArmv9に基づいたCortex-X2、Cortex-A710、Cortex-A510を採用しています。動作周波数が異なり、Cortex-X2に注目すると、Snapdragon 8 Gen 1は3.0GHz、Dimensity 9000は3.05GHz、Exynos 2200は2.80GHzで、Exynos 2200は他の2種類と比較すると低く設定されています。

 

GPUはAdreno 730、Mali-G710 MC10、Xclipse 920で異なるため、残念ながら仕様を見ただけで比較できません。Xclipse 920はAMDと協業で開発され、AMD RDNA 2に基づいています。Android界隈に鳴り物入りで参入したので、性能がどの程度なのか気になる人は多いでしょう。

 

GovernorはDimensity 9000のみ「?」表記ですが、私が調べた情報ではsugov_extの採用が明らかになっています。ただ、何故かGeekbenchの測定結果でsugov_extと表示されないので、現状は「?」表記が正しいと思っています。

 

通信はDimensity 9000のみmmWave(ミリ波)に非対応。商用化している国と地域が限定的なので採用しなくても問題ありませんが、競合他社の旗艦製品が対応している中でSub-6GHz帯のみ対応で遅れを取っている現状は打破すべきかと思います。

 

AnTuTu Benchmark v9における総合性能は、Snapdragon 8 Gen 1が1,032,356点、Dimensity 9000が1,025,654点、Exynos 2200が965,352点で、Exynos 2200は大台の100万点を超えませんでした。総合性能ではSnapdragon 8 Gen 1とDimensity 9000の差はほぼ無いです。

 

CPU性能は、Snapdragon 8 Gen 1が232,770点、Dimensity 9000が258,427点、Exynos 2200が229,909点で、Dimensity 9000が優れました。Snapdragon 8 Gen 1とExynos 2200は誤差におさめられますが、Dimensity 9000は圧倒的な優位性があり、その理由はCortex-A710の動作周波数が2.85GHzで、Snapdragon 8 Gen 1の2.5GHz、Exynos 2200の2.52GHzよりも高く設定されているためだと考えています。

 

GPU性能は、Snapdragon 8 Gen 1が453,855点、Dimensity 9000が394,939点、Exynos 2200が408,168点で、Snapdragon 8 Gen 1が優れました。Exynos 2200のXclipse 920は搭載が判明した際は大きな注目を集めましたが、結果としてはSnapdragon 8 Gen 1より劣った上にDimensity 9000と差がない性能を発揮し、残念ながら期待外れとなりました。

 

Geekbench 5はCPU性能を専門的に計測し、シングルコア性能とマルチコア性能を算出します。Geekbench 5における性能は、Snapdragon 8 Gen 1は1,242点と3,654点、Dimensity 9000は1,303点と4,321点、Exynos 2200は1,177点と3,579点で、どちらの性能でもDimensity 9000が優れました。

 

シングルコア性能はCortex-X2の動作周波数が大きく関係し、3.05GHzのDimensity 9000が優れました。Dimensity 9000は3.05GHzに対してSnapdragon 8 Gen 1は3.0GHzなので0.05GHzの差ですが、計測時の動作周波数を見るとDimensity 9000は3.05GHzを維持、Snapdragon 8 Gen 1は2.8GHzを維持しているので、仕様と動作時の周波数が大きく異なるため、より高い周波数を維持したDimensity 9000が高く算出されています。

 

マルチコア性能はDimensity 9000が圧倒的な優位性を発揮しました。Cortex-A710が2.85GHzで高い点や、前述した3.05GHzの維持が複合的に作用して高い性能を発揮したのでしょう。Cortex-A510はSnapdragon 8 Gen 1、Dimensity 9000、Exynos 2200は1.8GHz前後に設定されているため、差を生み出したのはCortex-X2とCortex-A710だと考えています。

 

 

3製品を比較して明らかになったのは、CPU性能はDimensity 9000、GPU性能はSnapdragon 8 Gen 1、どちらも劣ったのはExynos 2200です。Exynos 2200は欧州市場向けGalaxy S22とGalaxy S22+、Galaxy S22 Ultraが搭載しているので日本に在住している限りは大きな影響を受けませんが、欧州に在住する人々は悲しい思いをしているでしょう。更に、Exynos 2200を搭載したGalaxy S22の3製品は位置情報を正しく取得できないGPS問題を抱えているようで、稀に見る完成度の低さとなっています。

 

Snapdragon 8 Gen 1とDimensity 9000の差はAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5から明らかになりましたが、現状は人間の目で違いを感じるのは不可能なので、Snapdragon 8 Gen 1とDimensity 9000を比較するのではなく、製品の機能や設計、価格を考慮して購入を決定したほうがいいと思います。ひとつ言える点としてはmmWave対応の差があるので、商用化されている国と地域では製品が特定の帯域に対応し、移動場所や居住地域で利用できる場合はSnapdragon 8 Gen 1を選択したほうがいいでしょう。