Snapdragon 7+ Gen 2のベンチマークスコアが判明

Snapdragon 7+ Gen 2のベンチマークスコアが判明

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Redmi Note 12 Turboが初搭載したSnapdragon 7+ Gen 2のベンチマークスコアが判明したので、従来製品のSnapdragon 7 Gen 1とSnapdragon 780G 5G、Snapdragon 778G 5Gと比較します。

 

今回の比較で用いる「性能」はピーク性能を意味しており、安定して継続的に高い性能を発揮する安定性は考慮していません。個人的な意見ですが、安定性に関しては搭載したデバイスを購入し使用する以外にわからないと思うので、今回の比較では考慮していません。

 

そして、性能の比較に採用したベンチマークのひとつのAnTuTu Benchmarkは開発元がiOS搭載デバイスとAndroid搭載デバイスの数値を比較することが出来ないと声明を発表しているため、今回の比較で使用した数値をiPhoneやiPadと比較するのはやめてください。ただ、Geekbenchに関してはクロスプラットフォームでの比較を認めているので、こちらの数値は比較することが出来ます。

 

Snapdragon 7+ Gen 2の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 4nm N4、CPUはKryoで2.91GHzで動作するCortex-X2を1基、2.49GHzで動作するCortex-A710を3基、1.80GHzで動作するCortex-A510を4基の1+3+4構成、GPUは580MHzで動作するAdreno 725、RAM規格はLPDDR5に対応、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1に対応、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHz帯とmmWaveをサポート、この他にWi-FI 6EとBluetooth 5.3に対応します。

 

Snapdragon 7+ Gen 2はSnapdragon 7 Gen 1の正統な後継製品ですが、Snapdragon 7+ Gen 1やSnapdragon 7 Gen 2が存在しない中でこの名称が採用されています。そのため、少しややこしい名称となっていますが、今回の比較を通じて正しい名称を覚えて欲しいと思います。

 

Snapdragon 7 Gen 1と比較すると、製造場所がサムスン電子からTSMCに変更され、CPUは高性能なCortex-X2が追加され、GPUはAdreno 644からAdreno 725に変更され世代が更新しました。

 

製造プロセスは同じく4nmプロセスに基づいていますが、現時点ではTSMCのほうが技術力が高いとされており、Snapdragon 8 Gen 1とSnapdragon 8+ Gen 1はまったく異なる性能を発揮している前例があります。そのため、Snapdragon 7+ Gen 2もSnapdragon 7 Gen 1よりも優れた性能を発揮するでしょう。

 

CPUはCortex-X2とCortex-A710、Cortex-A510を組み合わせた構成に変更され、Snapdragon 7シリーズとして初めてCortex-Xが採用されました。この大幅な構成の変更によって、大きな性能向上が期待でき、特にシングルコア性能に関しては別物の性能を発揮するでしょう。

 

GPUはAdreno 644からAdreno 725に変更され、世代が更新されました。Adreno 725はSnapdragon 8 Gen 1が搭載しているAdreno 730に似た名称になっていますが、「5」の違いによって何かの機能が削除されたり無効化されたりしていると思うので、Adreno 730と同じ性能を発揮する可能性は限りなく低いです。

 

勘の良い方はSnapdragon 7+ Gen 2の基本的なスペックがSnapdragon 8+ Gen 1に似ていると気がついたかもしれませんが、これは採用したXiaomiが「同宗同源」という言葉を用いて同じ起源を持つが違う製品だと発表しており、クロック数を調整したモデルではないとしています。

 

Snapdragon 7+ Gen 2のAnTuTu Benchmark v9における性能は、CPU性能が245,133点、GPU性能が359,353点、MEM性能が211,283点、UX性能が181,132点で総合性能が996,901点となりました。

 

同SoCを採用したXiaomiとrealmeはラボスコアで100万点を超えたと発表していますが、消費者の手にわたって計測されたもので100万点を超えたものは見つからなかったので、やはりラボスコアはラボスコアとして扱う必要があります。

 

ただ、ピーク性能は100万点に近い数値を出しており、これはXiaomi 12 ProやOnePlus 10 Proなどが採用したSnapdragon 8 Gen 1の調子の良い時に出る性能なので、ミドルハイ市場向けSoCが昨年のフラッグシップ向けSoCを上回ってしまう現象が発生しています。

 

Snapdragon 7 Gen 1と比較すると、CPU性能は約50%、GPU性能は約101%の性能向上に成功しており、このような性能向上を経験したのは初めてです。特にGPU性能は2倍の性能向上となっており、「Snapdragon 7 Gen 1とは何だったのか」と言えるほどに進化しました。

 

CPU性能に関しては、Cortex-X2の採用だけでなくCortex-A710のクロック数が2.49GHzと高く設定されており、さらに、TSMCの4nmプロセスで製造したことで効率的な電力供給が可能になったので、大きく性能が向上したと考えています。

 

GPU性能は、Adreno 644からAdreno 725に世代が進化したことで大きく性能が向上したと考えています。Adreno 644自体の性能が低すぎる欠点もありますが、Adreno 725の採用は大きく影響しているでしょう。

 

Geekbench 6の性能は、シングルコア性能が1,663点、マルチコア性能が4,486点となりました。このベンチマークには基準点があり、2022年1月に発表されたIntel Core i7-12700の性能が2,500点に設定されています。このCPUを基準として倍の計測時間であれば1,250点、半分の計測時間であれば5,000点となり、基準点が設定されていることで自分の製品のCPUがどの程度の性能なのかわかりやすくなっています。

 

Snapdragon 7 Gen 1と比較すると、シングルコア性能は約57%、マルチコア性能は約54%の成長に成功しました。シングルコア性能は2.91GHzのCortex-X2と2.40GHzのCortex-A710を比較するので当然の差が生まれますが、これほどまでの差が同じシリーズの製品、さらには世代をひとつ更新した製品で生まれるのは本当に異例でしょう。

 

マルチコア性能はCortex-X2の採用とCortex-A710の高クロック化が相まって性能が高くなりましたが、ここまでの差を生み出したのは製造プロセスも関係していると考えており、同じ4nmプロセスに基づいて製造されていますが実際の技術は大きく違うのでしょう。

 

Snapdragon 7+ Gen 2の性能はSnapdragon 7 Gen 1から見違えるものとなっており、XiaomiやOPPOがSnapdragon 7 Gen 1を採用したことを後悔するような完成度になっています。また、Snapdragon 8 Gen 1に近い性能をミドルレンジ製品が発揮することで、昨年の上半期のフラッグシップ製品を購入した人を後悔させるようなことにもなっています。

 

CPU性能は約50%、GPU性能は約100%の成長に成功しており、CPUはCortex-X2を採用したことで瞬間的な処理に強くなり、GPUはAdreno 730に似たAdreno 725を採用したことで優れたゲーム体験が提供されるようになります。特にゲームの体験は大きく向上するでしょう。

 

現在はRedmi Note 12 Turboとrealme GT Neo5 SEが採用し、中国市場限定で販売されていますが、XiaomiのサブブランドのPOCOがSnapdragon 7+ Gen 2を採用した製品を国際市場で販売するような動きを見せており、多くの人がこのSoCの素晴らしさを体験できるようになる未来がすぐそこまで来ています。

 

日本市場での展開は現時点では不明ですが、もし仮にこのSoCを搭載した製品が投入された場合は何も考えずに購入しても満足できると思います。それほどまでにこのSoCの完成度が非常に高いので、長らく聞かなかった「コスパ」に優れた製品が欲しいのであれば是非ともこのSoCをスルーしないでください。